本田進(農業) 地域から新しい農業をめざして
京都府の職員となってからも、仕事の傍ら農業を続けてきました
20年ほど前から農薬や化学肥料を使わない、自然を生かした有機無農薬農業に取り組んでいます
本田進さんの作ったお米は、とても評価が高く京都の料亭にも納められています
この料亭はもともとは丹後の料理旅館で、丹後地方の様々な農家の協力を得て、農産物を栽培契約をして、お店で料理として提供するだけでなくて、それらを京丹後市で加工して全国に販売したりしています、シイタケや、山椒等の生産のアドバイスなどをしています
自然派の農業の魅力や苦労、地域における未来、夢などを伺います
天橋立から近いところで、農家の一戸当たりの農地面積は4から5反の小さな面積
ほとんどがお米作り、あとは山に入って炭焼きだった
昔は天秤棒の両側に直径1mの藁で編んだ容れ物に 肥料を入れたりしながら担いで田ぼまで行っていた
小学校の時に稲の観察日記を書いた (絵と文章)
よく田植えの手伝いをしていたが、ごく普通に行われていた
18歳になって就職をして、京都府の職員になった
当時は選択肢はあまりなくて、家から通えるところで京都府の職員になった
農業は親がやるから、手伝いをするという感じだったが、子供が生まれて親も動けないようになって、自分でやろうと云う気持ちになってきた
自分が農業をやっている目線で地域の事をみてゆくことが、地域の皆さんの意向に沿ったように思う
無農薬での水田 きっかけは農薬を使って消毒をするが、一斉に行っていたが、どうしても若い人が農薬を蒔く先端にいて、作業すると体調が良くないと思っていて、身体に悪いものは稲にもかけたくないと思っていた
自分の娘がアトピーになり、自分なりに勉強してみて、やっぱり食べ物なのかなあと思っていた
宮津で農薬を使わない米作りをしている人に出会って、この人に接してひらめきがあった
農薬を使わないで、稲作りをしようと始めたのが、20年前 完全に抜いたのが15年前になる
仕事があり草取りができなくて、人にお願いするがタイミングが難しくて、草ぼうぼうになり最初は収量は無かった
殿様かえるが絶滅したと、日本全国で聞くが、毎年毎年殿様蛙が一杯発生して、オタマジャクシを上手に育てるのが私の仕事でして、尻尾が落ちるまで田んぼの水を落とさない
彼らがカメムシを取ってくれるので、其れが大事でして
一匹の蛙が一日10匹以上食べて、今年もカメムシの被害がほとんど見当たらない
蛙は田んぼの守り神ですね
マムシが沢山出てきて、マムシは元気の出る薬なので、取って皮をむいて一日干しにして焼いて食べる
田んぼは生き物の住まいの場所になっている
稲の株と株の間があいている
健康な稲を作るには風通しを良くしてやる必要がある 縦横30cm開ける
草取りは手押し除草機でやる場合に狭いと、横方向の除草ができないので、横も出来るようにする為には空ける必要がある
根を伸ばすので、株が大きくなる
有機肥料 カニ殻を使っているが、これは料亭からでたカニ殻を送ってもらう
家庭から出る木、葉っぱを粉砕するものがあり其れをもらってくる
其れを混入させて肥料にする
地元のいい食材を使いたいとの話があり、共鳴して一緒にお米を作る
公務員は地域の皆さんに奉仕をする仕事、裏方を40年間やってきた
その様な気持ちになったのは40歳を越してからだった
ゴールにきたが何かやり残した事がある様な気持ちがあったが地元のいい食材を使いたい、地元の活性化にも繋がるとの話に、これだと思った
今はお米だけではなくて、山椒、 この木の栽培は難しい
木を植えて5年経ったら半分は無くなる 生存率50% 生存率が高まる条件が少しずつ判ってきた
6次産業(サービス業は3次産業 農業は1次産業 食品加工は2次産業) に共鳴します
付加価値のある農業経営をしなければならないが、そのためには6次産業の実施をしてかなければならない
農業はマーケットを知らない マーケットに必要な食材を提供しなくてはいけない
シイタケのほだ木を1000本森に取り入れる
見える形で原材料作りをしてゆく、そういう風な道もあるのかなあと思う
サンフランシスコの近くにプルーン畑を見に行ったことがある
道の両側に広大な草原が見えるが、其れは稲だった
其れを観て、同じやり方では絶対に勝てないと思った
除草剤はヘリコプター、殺虫剤はヘリコプター しかし水はあるけど雨はほとんど降らない
無農薬、有機肥料、ここにしか活路は無いと思った
日本の農業者が全て同じようにできるかと言うと、そうではないようなので、やりようによってできると思う
知り合いの或る人の言(小篠綾子さん ファッションデザイナー)
「いろいろ物作りをしてきたが、儲けてやろうと思っていろいろやってきたが、儲かった試しは一度もない、だけどこれは面白いなあと思って作った時に、そういうものが売れていって儲かる
だから儲かると思ってやっては駄目、これは面白いなあ、楽しいなあと思ってやってたら勝手についてくる」
儲かるとか儲からないと云うよりも、人生やっぱり自分がこれだと思う事を楽しんでやるのが、これが一番いいことなのかなあと思っている
あれをやろうかこれをやろうかと悩んでいるときに妻が大病を患って、いろんな方の新しい出会いがあって、いろんなアドバイスがあって一命を取り止めて、あるがままに生きてゆくのも、一つの道かなあと思う事もあるし、知り合いの方からの言葉も大切だなあと思います
農業は1年に一回しか実験は出来ない 妻の手助けもあって続けられるので、一人では続かない
若い2人が米作りを教えてほしいとの要望があり、今年は上手くいかなかったが、来年は新しい試みをしたいと頑張ってくれており、仲間が出来て楽しみです