2023年10月6日金曜日

小倉 崇(渋谷区ふれあい植物センター園長)・日本一小さい植物園へようこそ!

小倉 崇(渋谷区ふれあい植物センター園長)・日本一小さい植物園へようこそ! 

2005年に開園、老朽化に伴い一昨年から改築工事が進められていましたが、今年7月にリニューアルオープンしました。 新しく生まれ変わった大都市の小さな植物園の魅力は何なのか、小倉 崇(55歳)さんに伺いました。

今年7月29日にリニューアルオープンしました。 渋谷駅から歩いて10分ぐらいのところにあります。(渋谷、恵比寿、代官山の丁度中間地点)  敷地面積で550平米ぐらいです。(166坪ぐらい)   入って左手にボタニカルショップがあり、種、土、園芸に関するグッズが買える、ちょっとしたホームセンターみたいな機能と、ピザがテイクアウトできたり、渋谷ブレンドコーヒー(スペシャルコーヒーの中から今一番おいしいと言われているものをブレンド)を提供して居たり、ハーブウオーターを無料で提供しています。 プロジェクターでガイドの動画を流しています。(園内の楽しみ方を随時更新)      今回は果樹が中心になっています。

ほうれん草にLEDの赤を多めに2時間強めに当ててあげると、鉄分の栄養素が高まります。  いろんな野菜によって当てる光、長さを変えることによって特定栄養素を高める事が出来るというのが水耕栽培の特徴になっています。 収穫できたものは2階でサラダとして提供しています。 あと100円程度で販売をしています。(直ぐ売れる。)  土壌栽培では高温になってしまうとトマトなどは実を付けなくなってしまいますが、電力で安定して野菜が作れるという事は、ここまで気候変動が来ると、重要なやり方になって来るのかなあと思います。 

サウンドデザイナーで「マツザカダイスケ」さんという方がいて、いろんな植物の生体電位を録音してそれを音楽に変えるという活動してる音楽家です。  彼にこの植物園の果樹たちの音楽を作ってみたいと相談したら、果樹はやったことがないから是非やってみたいという事で引き受けてくれました。  夏場に流していたのはマンゴーとバナナとココヤシから生体電位(パルス)を取って、コンピューターにつなげると心電図の様に出てきます。  ココヤシでは短い太い感じボッボッボッと出てきます。  バナナは緩やかに曲線を描く様にフワッフワッと出てきます。 マンゴーの葉っぱは星屑みたいに無数の点々がワーッと出てきます。 葉っぱを触ったりすると電位が変わったりします。 心電図みたいなものを音階に変換してそれぞれ合体した音楽が流れています。 子供たちは本のy的に反応します。 大人たちは人間の作為がないので解放感を感じる見たいです。  30,40分聞いている人もいます。 

らせん階段の途中にはコーヒーの木を育てています。 上がってゆくとライブラリーがあり本棚には農業関係の本、絵本などがあります。  先月までは牧野富太郎先生が残された植物標本、写真として取り残されたものを展示していました。 牧野先生は50代のころ4か所に渡って渋谷に住んでいました。   50代のころは経済的に厳しくて、広く(膨大な標本)て安い家が欲しかった。   牧野先生が渋谷で採取した植物は湿地帯の植物ばかりでした。(渋谷は湿地帯だった。)   

3階は多目的ホールになっていますが、農家さんを招いてトークショーをしたり、映画上映会をしたり、野菜を媒介にして今まで会話をしていなかった人たちが触れ合ったり、知り合ってゆくことが出来るのではないかと思いました。 区民マルシェをいずれやってみたいと思っています。   渋谷茶の原木が残っていて、その種を頂いて苗木に育てたものを来年3月に屋上に育て始めます。  来年からここにビールのホップも栽培します。 養蜂もしていこうと思っています。  渋谷でとれた蜂蜜は本当に美味しいです。 蜜源が明治神宮、代々木公園とか丁寧に育てられた花々からなので、濃厚で美味しいです。 僕たちもできればいいなあと思っています。

私たちの植物園は一般的な果樹を育てています。  生活に密着した学び、気付きが多いと言ってくれたり、ピザが美味しいとか、居心地がいいですと言ってくれる方がたくさんいます。  植物を育てる喜び、都会のなかで植物があることそれってどういう意味がるんだろうと、いう事を感じる事、植物園を通じていろんな人が繋がり合えるような、そんな場所になって行きたいと思いました。  植物のある、長屋、公園と思っていただければ位思います。 

アーバンファーミング(都市部で農を行う事)のきっかけは2011年の東日本大震災の前月に長男が生まれたばかりで、物流がストップしたら食べ物が一切なくなってしまう、生産する機能が全くないという事に気は付きました。  ちょっとした野菜ぐらいは育てたい、という思いでアーバンファーミングを知って、それを広げる活動をしていきたいと思いました。 知り合った農家に農的な技術、知識の手ほどき受けようと思って通い始めました。  以前は出版社で仕事をしていて土とは無縁の仕事をしていました。  農に関わると利他的、考え方がシンプルになり、他人に対する敬意を持てるようになりました。 こういう社会にしたいという思いが段々育っていきました。  

アーバンファーマーズクラブを立ち上げて5年になりますが、会員は850名ぐらいいます。  メインが35歳ぐらいです。  男女比は半々ぐらいです。 ここで大学生が増えてきていて、都市における自然てなんなのか、新しい都市計画とはどういうことなのかとか、未来にどういう街、社会を作って行けばいいのかという学生さんが増えてきました。 渋谷、原宿、恵比寿に広くはないが畑が4か所あります。  土をいじると二つのホルモン、ストレスを減らしてくれるコルチゾール、多幸感をもたらすオキシトシン、この二つの成分が脳内に出ます。  

都会で収穫してその場で食べられるのは、みんな喜んでくれます。  緑比率が25%上がると温度が1℃下がると言われています。 自分たちが出来る事から少しずつ変えて行けば、少しづつでも変えてゆくことができる。  緑を増やす、食べるものは自分たち自身で作って行かなくてはいけない時代が来ると思います。  

植物園自体を育んでもらいたい。  誰でも家庭でアーバンファーミングが実践できるような講座もどんどんやって行きたい。  そこで学んだことを自宅に持ち帰って始めていただき、街中に小さな畑が生まれて行けば、渋谷の街も大きく変わってゆくと思います。   10月からは延長して21時まで開園しています。