2023年10月21日土曜日

森岡毅(マーケター)          ・"強み"は磨いてつくる

森岡毅(マーケター)          ・"強み"は磨いてつくる 

消費者のニーズを分析し、戦略を立て企業に利益をもたらすマーケティング、森岡さんは大阪のテーマパークに務めていた時には、ゲームやアニメのキャラクターをいかし、家族連れや関西以外から訪れる人をターゲットにすることで、来客数の数を塗り替えるなど成功を収めました。 独立した後は幅広い業種からの依頼を受け、うどんの全国チェーンや埼玉の遊園地など数多くの企業で次々と成果を上げ、現在最強マーケターとも評されています。 そんな森岡さんは神戸大学の経営学部の出身、今回はその経営学部の教室、そして神戸の街並みを見下ろす神戸大学の100年記念館などでお話を伺います。

シュークリーム、材料が高いし、人件費も高いし、生は保存が利かない、需要予測を間違えたら凄い在庫になってしまう、物凄く利益をだすのが難しい。  長く続けることは大変な苦労だったと思います。 すべてのものが消費者の視点とビジネスの視点の両方から見えてきます。  喫茶店に入ったら利益率はどのぐらいかなとか、一日の来客数を予測して、このぐらいに売り上げで、このぐらいの回転率で、坪単価がいくらだから、ここは厳しそうだろうとか、メニューの作り方を工夫しないといけないだろうとか、いろいろ考えながらコーヒーを飲んだりします。 

神戸大学では興味あるものには徹底的に勉強してそれ以外はいろんな国にお邪魔していました。 昔は数学ぐらいしかできなかった。 国語は苦手でした。 小説の読解力がなかった。  僕がいると周りに緊張感が生まれてしまうような子でした。 クラスでもあまり馴染めなかった。 皆に屈託なく受け入れられるという事に対して、ずーっと憧れと焦燥感をどっかでもっていたような子でした。  僕は勝つためにいろいろなことを考えるので、運動会とか勝たなくていけない争いごととか、クラスで凄く役に立つ時もありました。 勝つためのシナリオを作り出すためにはどういう手を打てばいいのか、というのを考えるのが好きなんです。  皆を勝たせるのが好きになってしまいました。  もともと頭のなかで考えるのが好きだったようです。  弱みを克服するよりも強みを磨いて生かしてゆくことがいい。  

曲解されている部分もあるかもしれないが、弱みが克服できないとは思ってはいない。   消費者同士の会話を聞いたら、消費者にとって何が重要かという、洞察して理解する能力は結構マーケティングには重要です。  それを私は普通の人よりもできなかった。  言葉にならない消費者の思いを読み解くというのは、僕みたいなメカニカルな人間は駄目でした。  マーケターとは何なのかというと、消費者の本能が欲している本質的な欲求、この発?を捉えることからすべてが始まるんです。  ここを捉えないと自分が強い作戦が作れないとなったら、私は石にかじりついてもできるようになりたいと思うんです。 私は・・(聞き取れず)調査は苦手だったんですが、私なりのやり方で・・(聞き取れず)調査はそれなりに出来るようになっていきました。  私はディープな消費者と行動を共にする変なやり方をします。  彼らがどんなことに感激するのかとか、自分自身でも体験してそれを理解するというやり方をしていて、こんなことをやるマーケターはあまりいないです。 

身に付けたいスキルは、必要な経験、学びを継続さえすることが出来れば、多分身に付くと思うんです。  或る程度、モチベーション、自信が伴わないと継続するのは難しい。 好きなことを目指してやってみたいことを目指して、自分の特徴を生かしながらたどり着いた方が確実だと思います。  能力にでこぼこがある子どもとかが、小さい時にもう少し自信が持てたり、気付かせてあげる大人(親御さん、先生など)がそこに自信を持たせてあげたら面白い色どりのある社会になるんじゃないですかね。 

神戸大学在学中に阪神淡路大震災を経験。  大阪まで運ばないと焼いていただけない。 友人と一緒に彼女(両親と一緒に中国から留学生としてきた。)を運んで、彼女は日本人よりも礼節正しく頭がよく朗らかな子でした。  その子があっけなく亡くなった。 骨を拾った時に凄く軽くて、もの凄い衝撃を受けました。  自分もいつ死ぬのか判らないという事をあの時から凄く意識するようになりました。 

神戸はあらゆる切り口からいろんな魅力が見つけられる街なので、観光地としても強い実績を持ってきました。  地域再生も全く同じです。 地元であるがゆえに地元の良さがあまり判っていないですね。  今沖縄でテーマパークを作っています。(刀という会社が中心となっている。) 沖縄にテーマパークを作れば、日本のために、日本の子どもの未来のためにとてつもなくいい事業が出来ると思いました。(10年越しの野望)   稼ぐだけではだめで、人を作るという事だと思っています。 テーマパークを通じた観光人材育成の構造を地元の方と一緒になって作る、そこで豊かな生活をして子どもを大学、大学院に行かせるという事に誇りを持てる地域性にどんどん変えてゆく、10年、20年後には大きな変化が見えるのではないかと期待しています。 

学校では人間は平等だと教えられるが、権利は平等だが、チャンスは平等であるべきだと思います。 でも人は平等には生まれていない。  持って生まれたものは全部違うし、家の経済力は違う、国も違う、生まれながらにして不平等。 このことはえてして残酷です。  しかし一人一人が違うという事をポジティブに捉えることはできないのかと思います。  自分にしかできない事、自分にしか思いつかない事が何かあるんじゃないか。  自分の生き方は自分の努力次第で、いろいろ選ぶことができる。 そこをポジティブに捉えて欲しい。 若い人に対して、自身の中に必ず誰かのために役に立てる、何らかの特徴があるんだという事を、本気で信じていただきたい。  それを磨いて行って、強みを作ってゆく。 自分次第で楽しく生きられる未来がきっとあると思っています。