2023年10月26日木曜日

江川悦子(特殊メイクアップアーテイスト)・〔私のアート交遊録〕

江川悦子(特殊メイクアップアーテイスト)・〔私のアート交遊録〕 

本場ハリウッドで学んだ技術であらゆる顔を作り出し、今放送されているNHK大河ドラマ「どうする家康」をはじめ、数々の映画やドラマ、CMを手掛けています。  出版社で編集の仕事をした後、結婚を機に渡米、特殊メイクを生かしたハリウッド映画を見て衝撃を受け、メイクアップ学校に入学します。 子育てをしながら特殊メイクの技術を学び、ハリウッドの映画スタジオで助手となります。 映画デューン/砂の惑星』やゴーストバスターズ』、などのプロジェクトに参加、帰国後特殊メイクの製作会社を立ち上げます。 この道を歩み始ま手36年特殊メイクは俳優を役の顔に変える、体感も触感を含めたリアルを表現したいと語り、今もその最前線を走る江川さんにお話を伺いました。 

ファッション雑誌でしたので、季節の洋服を紹介したりしていました。 途中で結婚して、夫の転勤が3年目にあって、渡米することになりました。(会社を辞める)   最初はアメリカの映画を沢山観ました。  狼男に変身するという映画があり、狼男アメリカン』映画です。 人間の皮膚が伸びたり、毛が生えたりいろいろ面白く変化してゆく過程があり、興味があって、特殊メイクの学校がるという事もあり、やろうかなと思って始めました。 当時、電話かファックスぐらいしかなくて、電話をかけてアポを取るしかなかったです。 自分でやるしかなかったです。 順調に言いました。(25歳) 

一番最初はB級ホラー映画みたいで、それを手伝って、それからデューン/砂の惑星』、ゴーストバスターズ』に参加できました。 デューン/砂の惑星』の前はメタルストーム』というホラーっぽいものでしたが、いろんなことを手伝って終わってしまいました。 1982年にアカデミー賞にメイクアップ部門ができました。 特殊効果担当のリック・ベイカーさんが受賞しました。  そこから主流になってきたイメージがあります。  アメリカには6年弱居ました。夫の転勤で日本に帰って来ました。  

日本ではバブル期で営業業界も予算がありました。  日本でも新しい風をといった動きがあり、受け入れてもらいやすかった。  特殊メイクをする人は日本にはほかに一人居ました。  ゴジラをやっていた人たちがちょっと興味を持って、やり始めている感じでした。  タイミングが良かったなという感じです。  1987年親鸞 白い道』で日本映画初参加しました。 鎌倉時代の僧侶で浄土真宗の開祖親鸞の半生を描く。三國連太郎さんの原作の小説『白い道』を、三國さん自身が初監督して映画化した作品です。  日本では初めての作品なので学びながら仕事をしていました。(子育てと平行なので大変でした。)   

特殊メイクでいろんなことが出来るという事がわかって来たことと、CGみたいなものも出てきて、アニメを実写化するという事が実現できるようになりました。  特殊メイクをやるような人も増えてきました。  滝田監督の「おくりびと」ではご遺体を作りました。 触るシーン、顔を綺麗にするシーン、髭をを剃るシーンでは生きている方だとどうしても動いてしまうので、動かないものが欲しいという事で、作らせて頂きました。  肉眼でリアルでいいものを作るというのは最低限私たちの役目だろ思っているので、そういったポリシーでやっています。 動物もちゃんと植毛しないといけないが、産毛などを省略してしまうといかにも作り物とばれてしまう。 根気がいります。  私のところには今13人います。  スキャニングを導入したのは6年前です。 今は全部スキャニングで型を取って、3Dプリンターで出力しますが、2日ぐらいかかります。 それから造形の仕事になってゆきます。  

リアルさについても、皺もいろいろあるので、その見せ方も含めて観察してゆくのが重要だと思います。  架空のものを作る時にはインスピレーションに頼るしかないです。 図鑑、深海魚の図鑑とか良く観ています。  宇宙人の参考にもなります。  これとこれを組み合わせたら面白いというようなこともあります。  メイク、特殊メイクは特に演じる邪魔になってはいけない。 そういうメイクをしたことによって、役に入りやすいという風に持っていけたら、最高にいいことだと思います。  特殊メイクのすそ野は今は凄く広がっています。 独自に成長していっている世界だと思います。  CGとどこまで助け合って行けるかという事にかかってきてりるかと思います。  

この世界も好きでないと続かないと思います。 つまらないと思ったらおしまいだと思います。   常にハードルは高くという思いはあります。  自分でデザインしたキャラクターを登場させた映画を作りたいなあと思っています。 お勧めの一点としては「メタモルフォシス metamorphoses)」 2巻同時にでていて、厚くて立派な本で、リック・ベイカーさんの子ども時代から辞める60幾つまでのすべての作品の写真とか、工程が出ていて凄くおもしろい本です。 特殊メイクの集大成のような本です。