2016年12月9日金曜日

東 俊裕(くまもと事務局長)   ・災害弱者の孤立防ぐには

東 俊裕(被災地障害者センターくまもと事務局長)・災害弱者の孤立防ぐには
今年 4月に起きた熊本地震、14日夜、16日の未明、益城町で震度7を二回観測するなど大きな地震が熊本県を襲いました。
多くの人たちが被害を受け、避難生活を送る中、支援の手が届きにくかったのが障害のある人達です。
東さんは1歳半で小児麻痺になり、足に障害が有るため車椅子で生活をしています。
東さんは熊本学園大学社会福祉学部教授で弁護士でもあります。
地震の後は障害者も過ごすことができる避難所の開設や、障害者からの相談や支援に当たる拠点作りに当たってきました。
東さんに災害時に障害者が孤立するのを防ぐにはどうしたらいいのか伺いました。

地震の一度目は揺れるはずもない様な機械が揺れて倒れてきたら死ぬなと思いました。
二度目は車椅子が右左に揺れて、とっさに机につかまって凌いだという感じでした。
15日に学生とボランティアで益城町に行ったら、道路の左右の建物が酷い状況で、16日の地震ではボランティアにいけるような状況ではなくて、学園では700人ぐらいの人たちが避難している状況でした。
障害者団体の障害者、高齢者をふくめて多くの人がきていまして、状況を見に行きました。
入った途端に身動きができない様な状況でした。
車椅子の人も廊下の壁にべたっと付いた様で、何時間もずーっとこの状態でいるとの事でした。
車椅子ではトイレにも行けない様な状況でした。
障害者も寝れるようなスペースが欲しいと思って、協力を求めました。
天井に照明器具があり危ないと言う事で高橋記念ホールがあいていて、スイッチを押して照明器具を下すことがで来て、避難場所に使えることになり、パーテーションを先ず作ってスタートしました。
障害者の方は段差の問題、とかいろいろ有り一般の避難所には避難しにくい状況にあります。
精神障害の方が残されてぽつんと崩れかけているアパートに生活していると言う事もありました。
障害者は避難所にいないから、見えない存在になってしまう。
行政も、民間団体も避難所に多くの物資を送って、多くの人員を提供して災害に関する情報をそこに集めるわけです。
障害者は一番起点となるべき場所に辿りつけない、或いはそこから出ていけと言われる。

避難誘導に関してはガイドラインが出来ていたが、避難所に避難できない状況をどう改善するのか、対策を講じてやると言うことは殆どなされていなかったと思います。
福祉避難所は所詮、既存の高齢者、障害者の入所施設がベースなので、すでに入所していて、新たに多くの人を対応できるような状況ではない。
熊本市の障害者の手帳をもっている人は4万2000人いますので、福祉避難所の対処出来る人数(1700人レベル)に対して全く足りない状況です。
一般の避難所でどのように対応できるかということが問題となりますが、考えればいろいろな事ができると思います。(運営側の視点が重要)
教育段階で障害者と健常者は分離されて教育されていて、自分の人格ができてゆく過程で、障害者がいない世界で過ごすことになるので、いざとなると障害者に対してすっぽり抜けると言う状況になる。

災害が起こると在宅等の障害者は福祉施設とは繋がっていなくて、支援が必要だと思って、こういう団体が有ると言う情報を知らせることが先ず必要だった。
チラシを4000~5000枚作って配布して、連絡が取れるようになりました。
当初は水、食糧を配布したり、夜間の介護の派遣などをして、その後入浴の支援、洗濯、等をやっていました。
部屋の提供などもしましたが、段差のないものとか条件があるので限られてきます。
どうしたら立ち直っていけるのかと言う事で継続して対応してゆきます。
7ヶ月たって、障害者支援は現在進行形と言ったところです。
トイレは車椅子から降りて這いつくばって行くとか、風呂も容易に入れないとか、困っている事はいっぱいあります。
弁護士として障害者の人権問題としてやってきましたが、災害において、人として当たり前に扱われていない事に非常に大きな怒りを感じます、だから頑張るしかないです。

1歳半で小児麻痺になり、色々経験してきました。理不尽な事をされたことも随分ありました。
私は比較的軽度な障害なのですが、重度の障害の人はとても語りつくせない様な障害者は多いと思います。
大学生時代、重度の障害者のボランティアで行っていて、そこで運動会が有り、歩けないのでハイハイしながら競争する種目が有り、遅い子に対して真ん中にいた子が、遅い子の手を引っ張ってゴールインして、その光景が私にとってインパクトが有って、私にとっては劣等感が有ったが、その光景に頭をぶんなぐられたような感覚だった。
それ以後は自分がどう思われようと関係ない、自分がどうするかであって、自分がなにをするかと言う事に価値が有るのではないかと思う様になり心が楽になりました。
障害のある人をもっと考えていかなければいけないと思いました。
公的支援の対策の枠組みの中に障害者とその家族を基本的な構成要素として入れて、発足すべきだと思います。
災害弱者は障害者、高齢者に依り強く働くので、それを踏まえて対策すべきだと思います。
共生できる社会を作っていかないと、多様性のある社会を作っていかないといけないと思っていて、そうすると一緒に避難できる様な社会的状況ができると思う。
困っている人を助けたいと言う気持ちはあると思うが、気持だけで止まっていて、それぞれ違ったニーズをもっているので、個別的に対応する柔軟性をもっていただきたいと思います。