2016年12月1日木曜日

山口千波(特殊効果)      ・ライバルはCG 特殊効果に生きる

山口千波(特殊効果)      ・ライバルはCG 特殊効果に生きる
神奈川県生まれ、45歳になります。
高校卒業後、放送系の専門学校を経て特殊効果を専門とする会社に入社、以来、NHKを中心に様々な番組で特殊効果を手掛けてきました。
大河ドラマや朝ドラ、連続TV小説の他、音楽番組や情報番組でもその手腕を発揮しています。
2005年の紅白歌合戦では「風雪流れ旅」を歌う北島三郎さんの舞台に大量の紙吹雪を降らせて話題になりました。

紙吹雪の量は通常一曲ですと6~7kgが普通ですが、北島さんの場合は60~70kg、10倍位です。
北島さんが紅白を卒業されてからちょっとしばらく経つのですが、去年話を聞く機会がありましたが、あれは無くてはならないものだからありがろうと言われてやってて良かったなあと思います。
歌い難いとは笑いながら云われました。
基本的には特殊効果、私達は視覚効果がジャンルですが、自然現象を再現する、雪、雨、風、火事のシーンとかを疑似的に再現すると言うのが視覚の特殊効果です。
風の場合は見えませんが葉っぱ、埃、雪にスモークを加えたりしています。
最近は女性も多くなりました。
私は20年になりますが、私が入ったころはうちの会社では女性はいませんでした。
今は4割ぐらいは女性で、後2~3年後には半分以上は女性になるのではないかと思います。

高校卒業後、花火師になりたいと思っていたが、入って行ける世界ではないことが分かって、SF映画、アクション映画などが好きで、放送系の専門学校に行って、特殊効果を専門とする会社に入社することになりましたが、最初殆ど断られました。
兎に角試しに使ってほしいと言う事で、なんとか入れさせてもらいました。
入ったのはいいが、教えてくれる人はゼロでした。
見よう見まねで覚えてゆきました。
本来負けず嫌いなタイプで、考える間もないほど忙しさもあり、続けて来られました。
2年ぐらいたってから大きな番組を担当させてもらい、高評価を頂きました。
NHKホールでオペラでのバックに大きな火の炎を上げたいとの事で、ドライアイス、スモークとかを炎の様な形を作って吹きあげて、照明で色を載せてやると、炎っぽく見えるのではないかと、試行錯誤して炎の様に見せる事が出来ました。
これが大きな転機になりました。

ロケのときなどは、男性と一緒に雑魚寝したり、トイレも無かったり、色々ありました。
機材も重いので、大型旋風機なども100kgぐらいあります。
女性だから気付けることとか、銃で撃たれる側の精神的な状態に安心感を与えられるとか、細かい作業、話したりします。
特殊効果で一瞬主役になる時がある、お客さんが一瞬特殊効果に目が行く事があるが、ヒートアップする瞬間、その時には嬉しいです。
紅白歌合戦は始まる直前の独特の緊張感はあります。
紙吹雪は普通4~5種類ありますが、20×20mm角で透けて見えるほど薄い紙です。
丸、三角(歌舞伎は三角)もあります。
雪はこの世界では丸はないです、丸は落ち方が花びらに見えるんです。
桜吹雪、梅とか花弁を降らす時には丸を使います。
最近は桜は楕円形の形をしています。
形、素材を考えるのも特殊効果の一部ですが、このジャンルはやりつくしてしまっています。

親もこの仕事はどんなことをするのか今一理解していなかったです、最近ようやく理解するようになりました。
最近、一番気になるのはCGが主流になって来ていて、本物の様に見えますから。
映画だけでなく、TVの世界でも遜色なくなってきましたから、脅威です。
これからは加速すると思います。
そこにあるべきリアリティーはやっぱり私達みたいに特殊効果が実際現場で再現してこそ出る空気感は現場には絶対あるので、無くならないと思いますので、大切にしてゆきたいと思います。
特殊効果半分、CG半分という手法もあるので、共生と言う事もあると思います。
紅白の仕事もじわじわと始まっています。