2014年10月13日月曜日

材木正巳(ネジメーカー社長)    ・世界一のネジを目指して

材木正巳(ネジメーカー社長)   世界一のネジを目指して
去年、社員1300人余りのネジ会社の社長に就任した材木さん、携帯電話、カメラ、パソコン等に使われている直径0.6mmのネジ作りに携わり、完成させた喜びは今でも忘れないとおっしゃいます。
ネジから学んだ多くのものが会社経営、生き方にも参考になったと言う材木さんに伺います。

ジャンボジェット機に300万本近いネジが使われている。(小さいものから大きなものまで含めて)
うちの会社のネジは内装に小さいネジとして使われている。
0.6mmのネジは圧転造と言ってワイヤーから作るが、材料は0.4mmしかない。
線材から頭を叩いて、頭部を作る、ネジ部を転造から作る。
頭には十字がついている。 時計等に使う。 
ドイツ、スイスとかが主流で切削でネジを作っていた。 
転造でネジを作ったのは当社が世界で初めて。
大量に作るには切削では限界がある。 
切削では頭の大きさと同じ径ものを使うので、削りかすが出るが、我々の成形は削りかすが出ないので、無駄が無い、安定した品質のものが出来る。

私が入った時にネジを担当した。
金型、作る機械も全部社内でやっていたので出来た。
頭部の十字のところは0.6mmならば厚みは0.03mmぐらいしかない。
金型と金型の精度が出来ていなかったら頭部が破壊したりする。
当時は1.2mmしか作っていなかったが、0.6mmを作れるようになった。
身の回りのほとんどにネジが使われている。
基本的にはオーダーメイドで作るのがほとんどです。
ネジの価格は銭の単位ではなく厘の単位まである。 薄利多売と言う事になる。
グループで年間 300億本ぐらい作っています。

ほとんどのものにネジが無いと成りたたない。
無くてはならないのですが、縁の下の力持ち的な製品と言うのがこのネジと言うものであると思っています。
昭和46年に入社しました。
ネジの開発をして、月に100件ぐらいを新規分野のマーケットに出す。(奥の深いもの)
ネジは6つの構成で成っている
①廻す駆動部 ②頭部の形状 ③頭部の裏の座面の形状 ④ネジ部の首下の形状 ⑤ネジ部
⑥ネジ部先端の形状
一つ一つに10種類以上あるので、組み換えで100万通りのネジができる。
全部当社内でやる事によって、お客さんの信頼を得ている。

当社の責任は大きい、責任は大きいからお客さんの信頼も得られる。
当社では現在7万種類ぐらいを作っている。
ネジ締め機、ドライバーも当社でやっている。
市場で家庭工作でのネジとの違いは?
ネジの後ろにある技術で保障された保障力が違う。
この製品はと言われたら、どの工程で、どの材料を使って、どの機械を使って誰がいつ出荷したか、すべてトレーサビリティーが取れる。
市場でのネジはそういったものが取れていない。

材料、熱処理、メッキも世の中の信頼できるだけの要素で造りこんだものなので、お客さんがお使いになる時に事故、トラブルはまず皆無です。
当社の製品はセルフタップネジと言って、ネジの締結は、昔ですとタップを切ってそこに小ネジを入れるやり方でしたが、今はコストを踏まえて、下穴があいているところに、メネジを整形しながらやるので、これが主流になっている。
今の製品の主流は丸ではなく、三角のおにぎり型になっている。
大量生産をするには三角のネジを使わないといけない。
塑性変形してメネジを成形するので、薄くてもしっかりした締めつけができるので効果がある。
丸い穴に丸いネジを使ったら切り粉がでる、三角ですと、三角の頂点がずれることで、押したり引いたりしながら、相手材を変形するので、チップレス、切り粉がでない、そういう事によって相手が強くなる、切り粉が出ない、薄くても閉まるネジになり、三角の頂点のほうがトルクが低いので自動機むけに良いネジになる。

パテントはスイスが開発して、日本に導入した。
TV、冷蔵庫、洗濯機が伸び盛りのころにこういうネジが要求された。
当時スイスでは三角のネジは三角の材料から生産されていた。(非常に難しい製法だった)
当社で間違えて丸い材料を入れてしまって、結果巧く三角のネジが出来た、それが大量生産するきっかけになった。
ネジは締めて緩めることができる。
小さいネジは締めつけが難しいので、締めつけ機も当社で作るので、お客さんが採用できる。
時計、デジカメなどもそうです。

当社では本を出した「人生のネジを巻く77の教え」 或る出版社から言われたが、40年に渡って従業員の教育用の資料を纏めただけのもの。
多くの方からおほめの言葉を頂いた。
縁の下的な役割で会社にいますが、この本で立派にあなたがいなかったらこれは成り立たない、そういう重要な役割をしているのですと、この本に書いてあるので、表に出ている人は一部の人、一般の人は目立たない存在だが頑張っている、あなたの役割りは立派な事ですよと、この本は書いてあるので、多くの読んだ方から非常によかったと言う手紙を頂いた。
一人一人が大事な存在ですよ、と言う風に書いてあるわけです。
人と人とのつながりができるが、相手と自分とのスタンスを考えて対応すると言う事で一つのものが出来上がるので、相手の立場を考えて行動すると言う事は、押したり引いたりする事と、ネジを締めたりゆるめたりすると言うものもそうですし、たまには息抜きで緩めないと持たない時もあるし、それを、人生をネジにたとえて、話を書いているわけです。

その場に適したネジを作るということは、いいところは皆持っているので、いいところを褒め合っていい結果を出す方がいいと思うので、材料によって締める力が違うのでそれなりに調整しないといけない、適材適所を考える。
野球で、同じチームに9人いたとしたら、どう配置したら勝つか勝たないか、建前でやったらいけない。
(若い監督が私を4番にして、戦ってぼろ負けした事を会社の月刊誌で紹介した。)
適材適所で、部下をしっかり知って最適な配置をすることが大事。
京都の綾部市 ここで戦前からネジを作っていた。
蚕(かいこ)で女性が多く働くところだったが、男性の働く場を作るということで、雇用して地域の発展をするというのが当社の創業精神です。(創業は昭和13年)
海外展開もしているが、日本人は理詰めでしっかりものを考えるが、海外ではアバウトですね。
日本は性能、外観とか規格にあっているかとか、真面目だが、欧米では多少規格は外れても性能が良ければよいと言う様な考え方。