2021年11月21日日曜日

内山晟(動物写真家)            ・【美味しい仕事人】食いたいものを食いたくて

内山晟(動物写真家)            ・【美味しい仕事人】食いたいものを食いたくて 

1969年ガラパゴス諸島を含む中南米への撮影を初めとして、野生動物を追いかけて北極から南極まで世界中を歩きました。  動物を捉えた写真の一つ一つが迫力のあるもの、動物家族の愛情が伝わるもの、動物たちの営みがありありと写されたものなど美しい風景の中の動物が今にも動き出しそうな写真ばかりです。   動物を写すための厳しいキャンプ生活で楽しみなのは食べる事、食材など制約が多いキャンプ生活で、それでも食いたいものを食いたくて料理の腕前が上がっていったそうです。   内山さんが作る手軽でおいしい男の料理は雑誌の連載などでも紹介されました。   世界中の動物を撮影した日々とシニア男性にも役立つ料理を伺います。

最初はガラパゴスを含む南米でした。  1ドルが360円で500ドルしか持ち出せない時代でした。   そしてスペイン語でした。(スペイン語を習いに行ったがほとんどできなかった。)   1969年12月12日に日本を発ちました。   兄の家を抵当に借金をしていきました。   ガラパゴスは陸イグアナ、海イグアナ、ゾウガメで有名です。  1か月滞在しましたが、毎日が冒険のような感じでした。  15の島から成り立っているが、島々を回らないといろんなものに会えない。  

1980年代には南極に行きました。  コウテイペンギンを見るツアーがあり、32日間の船旅をやりましたが、コウテイペンギンに初めて会った時には皇帝に会ったように胸をときめかしました。  その時には卵、雛を温めている姿が見れなくて、改めて行って、10日間の予定だったがそれは天気次第で、コウテイペンギンと付き合えたのは10日間でした。   雛を見ることが出来て嬉しくて、嬉しくて。   寒さはマイナス20度で吹雪になるともっと下がって、そんなテント生活でした。   トイレは外なので夜中に行くのが大変でした。  南極条令で、出したものは全部持ち帰らなければいけないので、ドラムカンの上にジョウロが付いていて、そこにいれるわけです。    当時はフィルムだったので、交換するときにフィルムが割れてしまうので、ポケットにいれて温めて交換しますが、何度か割れてしまいました。   でも今思うとそんな経験が出来たことが楽しくてしょうがない。

大人向けの写真集では10冊以上、子供向け写真絵本では200冊ぐらいあったと思います。 猫、犬など沢山撮りました。   10歳の頃に山川 惣治「少年王者」に惹かれて、ラジオドラマにもなり、動物が好きになりました。   高校に入った時に隣が新宿御苑で、鳥を見に行き、周はじめが書いた「カラスの四季」、彼の本を片っ端から読みました。  新聞部にいたので新聞の写真を撮ることを覚えました。     動物の写真を撮ることに目覚めました。  NHKが「自然のアルバム」という番組をやっていてこういうのがテレビでも出来るんだと、「野生の王国」というアメリカの動物番組があり、そんな仕事がしたいと思って日大の芸術学部の放送科に行きました。  写真家の仕事も知り、一眼レフを購入しました。  大学4年生の時に新潟県の瓢湖の白鳥の写真を撮ってそれが学習雑誌に載って、一枚の写真がこんなに高く売れるんだという事でこの道に入って行きました。

肉食獣が獲物を捕るところを撮りたくなりますが、非常に複雑な気持ちで撮っています。  ハイエナ、リカオンなどはとどめを刺さないで生きているうちにお腹から食べてゆくシーンなどを見ています。  肉食獣が獲物を捕るということは やはり子供たちへの教育なんですね。    アラスカに鮭を撮りに行った時にテントを張るわけですが、朝起きるとテントの周りにヒグマの大きな足跡がテントに沿ってあるわけです。  テントの中に食べ物があると襲われるわけです。  アフリカではテントが像の群れに囲まれていたこともありました。  カラハリ砂漠では周りに豹が出たりしました。   ライオンがテントのそばで骨をかじる音も聞きました。(夜に狩りをする。)  

最初アラスカでテント生活をした時には、まな板、包丁、コッフェルを持っていきました。   アイスッボックス、携帯用のコンロさえあれば料理は作れます。   きゅうり、白菜の漬物を作ったりもしました。  米さえあればなんとかなります。   いい写真が撮れた時などはステーキにしたりしますが、火を目掛けて蛾がフライパンに飛び込んできてしまったりします。  アフリカでロッジに泊った時に餃子を100個ぐらい作って、スタッフ、宿泊客などと食べたら評判が良かったです。  食いたいものを食いたいから料理をするといった感じです。   簡単に作るという事を心掛けていて、「チキン ア ドボ」という料理法をフィリピン系のアメリカ人の友人から教えてもらいました。   ドラムステイック一人10本程度、ローリエの葉っぱ2~3枚、ニンニク2~3カケラ、黒コショウ10~20粒、を鍋に入れて、水:1 酢:1 醤油:0.7の割合でひたひたになるぐらいで煮込みます。   最初強火で、その後に中火以下で2時間煮ると出来上がりです。   余っても2~3日は冷蔵庫にいれて置けば日持ちはいいです。  たれでごはんの上にかけてもいけます。     加熱用の牡蠣を何パックか買ってきて、白菜を4つ割りにして,牡蠣は塩水で洗って水を切っておく。   鍋に白菜を4~5cmに切って浸るぐらいに水を入れて、白菜が柔らかくなったら牡蠣を入れて、醤油と、ミリン、酒を少々、黒コショウをガリガリ擦って、そんなにと思う程入れて構わないです。  余ったら翌日に冷えたご飯でおじやにすればいいです。 楽しく食べて楽しく飲むという事がいいですね。   作ってくれた人になんか褒めるという事は良いことだと思います。