2021年11月15日月曜日

池江美由紀(池江璃花子選手の母)      ・【アスリート誕生物語】

 池江美由紀(東京2020オリンピック競泳日本代表池江璃花子選手の母)  ・【アスリート誕生物語】

東京2020オリンピックが終わって、オリンピックの話はなかったです。   小さいころから家庭で水泳の話をすることは好きではなかったです。   未来に向けた話をする方がいいので、オリンピックについて何かという事はないです。   

池江美由紀さんにアスリート誕生物語に2019年出演予定でしたが、2月に収録が終えてその一週間後に池江璃花子選手の急性リンパ性白血病が判明、放送は見合わせる事になりました。   白血病というのは知ってはいましたが、具体的には知りませんでした。    最初に聞いた時にはなかなか現実を受け入れられない、あれは夢だったとならないかなあぐらいにしばらく思っていました。   私は幼児教室を経営していて、一人親で育てる事ができました。   璃花子が病気になってスタッフたちにも仕事面のサポートをお願いしながら看病とを両立させていきました。(10か月間)   安心できる瞬間がなく次々いろいろな事があるので、璃花子の病室のドアを閉めた瞬間に泣きながら帰ったりしました。  

2019年2月~12月まで入院生活を送った後、翌年3月にはプールでの練習を再開、8月日本学生選手権で参加標準記録を突破、今年4月日本選手権100mバタフライで優勝、メドレーリレーの代表に決まり東京オリンピックの舞台に立つ。   メドレーリレーの代表に決まった時には嬉しかったです。  やっとここまで戻ったという気持ちで見ていました。    

幼児教室を平成7年から26,7年やっていたのも、どの子も最初は同じでどうやって親が環境作ったり接してゆくかで、優秀に育ってゆくという事を知ってからは、本当に得意な事とか好きな事で伸びてゆけるような、子育てをしようという風に思いました。    長年やってきて子育ては今日の子育てが明日結果が出るのではなくて、最終的にはどんな成人になるかとか、どんな人間に成るかという事だと思います。   広くお伝えすることがこれから私が社会にできる恩返しではないかという思いがきっかけで、講演等で話していきたいと思っています。  子育てにはたくさんの本があって、情報はたくさんあるが、親になるための指導することはないです。  子育てで夢がかなえられるようになればいいなあと思って本を出版させてもらいました。  璃花子は水泳には秀でていますが、人間性に関しては厳しく教えてきました。  

姉、兄と同様に小さいころ近所の水泳教室に通い始めました。  記録も大事だとは思いますが、そこが一番ではなくて、そのために自分がどう努力するか。  水泳は個人競技ですが、協調したり助け合ったりすることが一番大事だと思いますので日々言ってきました。  中学生で出場した日本選手権ではすべての種目で中学生としてはただ一人決勝に進んで、世界選手権の日本代表に選出される。   本人がやりたいというような環境つくりはしています。  勉強なども短くてもいいから毎日やるという事が大事です。   色々なことを短い時間で出来るような工夫をしたりしました。  目標を達成すると一緒に寝てあげるというご褒美をあげていました。(璃花子にしてみれば何よりのご褒美でした。)      璃花子は叱られるという事が凄く嫌な子で逆切れなどしていました。  強い子でしたが、私も折れることはなかったです。   私は父親の役目、母親の役目もしなければいけなかたので、自分が失敗したことを子供には絶対させたくなかった。   璃花子が自分の我を通そうと思った時には、璃花子の心を悪くするようなことがあったら、いつでも水泳はやめさせるという事は何回か言ってやりました。  そうすると折れます。   水泳が大好きでしたね。  水泳が出来ることが生きる目的みたいな状況になっていました。  

 勉強は小学生の時には全く問題なかったんですが、中学生では水泳の生活が中心になってしまって、普通に学校には行けたりしませんでした。   幼児教育を知ってからは、兎に角体の質をよくするような食生活を凄く心がけました。   偏食な子で魚介類は好きではなくて、食べ物が少なかったです。   作戦を立てて嫌いなものを食べさせるようにしていました。   赤ちゃんの時から私の指をつかませて引っ張って釣り上げるという事をしていました。   家にも教室にも雲梯を常設しています。   水泳は水をつかんで後ろに送るというのは雲梯の棒を掴んで引き寄せて次の棒を掴むという動作があるが、水を掴むとか、肩甲骨周りを柔らかくする運動をしていたので、身長からするとかなり腕が長いです。  身長も高いし恵まれた体つきになったと思います。  

姉、兄との仲はとてもいいです。   家では一番偉いのが親で、次が長子で、末っ子は下がっていく中で、目の上の話をよく聞き、きちんと指示に従う、という事を大事にしてきたので、旨くいっています。    14歳で日本代表になったので周りは年長者の方ばかりで、リレーでは社会人、大学生で、璃花子はタイムもよかったが、うまくいくのかなと思ったが、その後も可愛がっていただいているようです。   

毎日毎日どういう言葉がけをしてしているかという事が人間形成にとても大きく役に立つという事を感じているので、出来ないことよりも出来ることをほめてあげることの方がよっぽど能力開発になるなと思っています。    人間は吃驚するような能力が沢山眠っているというところもあると思いますので、うまくいったときもうまくいかなかったときにも、貴方には素晴らしい力が、素晴らしい可能性があるんだという事は常に言っていました。  「言葉の力はたとえいまそうではなくても、100回言えば本当になる」という言葉があるように、そういった必要性があると思います。   親の態度や言葉が変わると、お子さんは一週間で変わっていきます、それをたくさん見てきました。    叱り方とかもコツがあって、怒る時には本当に怒って良いと思います、子供が泣くぐらいでないと伝わらないと思います。    その後人間とやったことを分けてきちんと説明したり、フォローをするという事は心がけてきました。    貴方自身は素晴らしい人間で価値があって可能性があって、だけどこれは良くないから、これを怒ったんだからという事を大事にしてきました。  

キーワードはたくさんあり著書にも載っていますが、子供に一番身につけさせなければいけないのは、子供に強い心を持つことだという風に思います。   璃花子は奈落に落ちるような経験をして、またここまで戻ってこれるような状況になり、強い心を育てて来たことは本当に彼女を救ったんじゃないかと思います。   何事にもあきらめない強い心をまずお子さんに持たせてほしいし、私も璃花子たちに持ってほしいと思います。  まだ璃花子にとって途中だと思うので、その後彼女の人生は続いていくわけですから、ゴールとか満足とか自分ではわからないです。    自分が選んだ道で満足いくような、幸せな人生を送ってくれれば、もう私の目的は果たせていると思います。    人生って必ずいろんなことがあるが、諦めさえしなければ、いつか笑顔がくると思います。