2021年11月11日木曜日

シーラ・クリフ(着物研究家)      ・着物文化の伝道師をめざして

シーラ・クリフ(着物研究家)      ・着物文化の伝道師をめざして 

1961年イギリス生まれ、日本に来て35年になります。   着物文化が続くことを願い着物の魅力を世界に発信しているシーラさんに話を伺いました。  

電車に乗って行くときは必ず着物を着て行きます、又人に会う時にも着ます。  近所への買い物とか掃除の時などには着ません。   着物の場合は帯があるから姿勢がよくなると思います。  歩く歩幅が洋服よりも狭いです。    着物に合う色を小物に持ってくることが凄く多いです。   たまにサプライズに反対色のコーディネートする時もあります。    着物は柄と柄を合わせることがとっても楽しいです。  洋服には柄と柄は合わせられない。 着物は形が変わらないから柄はとても重要です。   着物は150から200ぐらい持っています。   自分のものだけではなく、子供の着物、振袖、留め袖、男性の着物、資料として面白いものがあるので取っておいています。   着物の購入先はインターネットでも買うし、古着屋、骨董市などです。   呉服屋、着物ショップには見に行きますが、小物程度です。   リサイクルが90%、あと10%は尊敬する職人の技術が凄くいい人のもの。    新しいものを買わないとストップするので新しいものを買うことも重要です。  選ぶときは凄く楽しいです。    着物の魅力はファッションとして完成されていて、一つの着物で沢山のイメージできるから、帯、小物を変えることで全然違う雰囲気が出せるからファッションとして面白い。  

洋服はどこで作られているかわからないが、着物は日本の「ここで」生まれている。    理由があって、昔からこの産業があったとか、その地方独特の植物から糸とか染料が出来たりするので洋服とは全然違います。   人間と場所を繋いでゆく。  形が変わらないためにほかの人に譲る事が出来るので、人間と人間を繋いでゆく。   

着物の発信としては、2001年にイギリスの大学で自分の着物を展示しました。  着物を見せたり着物の着付けとかデモストレーションしたり、去年ビクトリア博物館で大きな展示会がありました。  日本の若いデザイナーをビクトリア博物館に紹介して、彼らの作品もそこに入っています。   本に書いたり、海外ではワークショップをやったりスピーチしたりしています。   日本の骨董屋さんみたいなところに着物があったり、古着屋にちょっとあったりします。   外国では黒羽織とか、喪服が流行ったりしています。  喪服が柄がないから黒いコートみたいな感じで着て行きます。   ボロもよく着ています。  Gパンは穴が開いているのを着ているので同じような感覚で着ていると思います。    

大学では二つの授業を持っています。   ワークショップ的な授業で着付け教室みたいになっています。   もう一つは着物にまつわる背景、文化、歴史の授業です。  凄く人気があります。   受ける学生は1~3年生です。   

24歳で日本に来ました。   アート的な仕事を、と思っていました。   絵、彫刻、演劇の勉強をしました。   ロンドンで空手の傍系で新体道を習っていてそれが日本に来るきっかけになりました。   骨董市に行って、焼き物を見に行ったら綺麗な着物がハンガーに飾ってありました。   美しくしなやかで色は鮮やかで模様も面白くて、或る時に長襦袢を買ってしまいました。   長襦袢は下着だと言われて、吃驚してこんなに美しいものをどうして隠すのと思いました。   色々あって日本に住む事になりました。  着物をもっと知りたいと思いました。    英会話を教えていた時、そこの先生が着物を着たいのかと言って、着物一式をもってきて私に着せてくれました。  その時代に流行っていた白い訪問着でした。   英会話をしっかり教えるために東京にあるテンプル大学で夜間に通って指導者のための資格を取りました。   

日本の昔の宗教の本を読んで恐山を見たかったので自転車で東北旅行をしました。   上野からの夜行電車に自転車を積んで青森で自転車を組み立てて青森県一周をしました。  別の年には山形に行きました。  一人旅だったので人が声を掛けてくれたりして、やさしさを感じました。

山形を回った時に河北町、べに花の産地で見に行きました。  去年は丹後ちりめんの返しの役割を務めていたので、京丹後へも何回か行って職人たちの素晴らしい仕事を見に行きました。   種類も豊富で日本の技術は素晴らしいです。   無くなっては欲しくないです。  質が物凄く高いから海外に着物の文化を紹介したいと思いました。  若い着物のデザイナーの方たちとの交流もしています。   今までにない柄とか新しい布の開発をしたりいろんな新しい提案をします。    

メーカーとユーザーを繋ぎたいと思って、ユーザーの研究が必要だと思って、50人の箪笥の中身を調査しました。  まだ全部まとめていないが、保存の仕方に大分違いがあることが判って来ました。    若い人は桐箪笥は持っていなくて、衣装ケースに入れたりして全然違います。   私が来た当時と比べて着物を着る人は増えています。     日本人は着る機会がないという人が多いんですが、外に行く時が着物を着る機会だと思っていますので、選択の中に入れて欲しい。    着物の中にファッション雑誌があってもいいんじゃないかと思います。  着物の勉強をもっとしたいので、着物に関する産地、土地へ行って見学したいです。