2019年4月21日日曜日

浅利定栄(こうじ料理研究家)       ・【"美味しい"仕事人】こうじ文化を世界へ

浅利定栄(こうじ料理研究家)     ・【"美味しい"仕事人】こうじ文化を世界へ
和食のベースである旨味や甘味は麹菌の働きによるものが多い。
味噌、醤油、酢、日本酒など麹が生み出した商品は今世界から注目を集めています。
こうじ料理研究家の浅利定栄さん(36歳)は麹の魅力を伝えようと塩麹や甘酒を使った家庭料理を各地で教えています。
浅利さんが麹の魅力を再発見したきっかけは大学卒業後、青年海外協力隊として赴任したパラグアイでのことでした。
現在は国内の教室のほか海外からの求めに応じて、味噌作りなどのワークショップで麹文化を伝えています。

健康のベースになる食生活を変えて行きたいと言う国々が増えてきています。
油っぽいものが少ない、植物性のもの、動物性たんぱく質の少ないもの、旨味と言う事で和食への興味は高まってきています。
日本で使われている調味料の基本になるのはほとんど麹からできているので。
味噌、醤油、酢、日本酒、焼酎、ミリンなど。
日本食、日本文化が高まっていると言う事は感じます。
こうじ料理研究家としてはレシピの開発、料理教室の開催などしています。
甘酒、塩麹というところで甘味、塩味を出す事をやっています。
ピザ、ローストチキンなど和食に限らず、入口は深く各地の料理を作るようにしています。
ピザの生地を膨らます時に砂糖が必要ですが、甘酒をつかってやると美味しいピザ生地ができます。
母親(浅利妙峰)が9代目で大分県佐伯市で麹屋をやっていましたが、家は330年になります。
塩麹は漬け床としてあったらしいです。
使い勝手がいいし、簡単においしくなると言う事色んなところで話をしたり、作って食べてもらった時に評判になり塩麹がブームになったようです。
昭和30年代までは味噌も手作りでやっていました。
大雑把にいうと麹と小麦と、大豆と塩水を入れて寝かせておいたら醤油ができます。

大学は医学部で看護学を学んでいました。
消化のプロセスなども勉強しましたが、今それが役だっています。
麹が酵素を一杯作ってタンパク質を溶かしたり、でんぷんを溶かしたり脂質を分解したりする作用をします。
当時麹屋を継ごうと言う思いは全くありませんでした。
大学卒業後は青年海外協力隊員として海外、パラグアイに行きました。
地域保健活動として、バランスのいい食事、手洗いの重要性など、病気にならないような授業をしていました。(スペイン語)
市内のかたが色んな行事に呼んでくれて、味噌を作るけれど麹はないかという事で話しているうちに、母が出演していたNHKの番組『きょうの料理』を見た日系人の方に、塩麹などの話をして欲しいと言うことになりました。
その後実家で働くようになり、麹の持っている力、なんで身体にいいか等の話をしましたら、そのうち食について極めたいという思いが募って、イタリアに行き、イタリアでは食文化に関する修士号を取るために留学しました。
スローフードという考え方があり、食材、郷土料理がどういう成りたちで出来たのかとか、何で無くなって行くのか(手間がかかる)、それを守っていきましょうと言う考えの大学でした。

日本で有名なのはバーニャ・カウダだと思いますが、日本では有名だと言うと笑われます。
大分ではごまだしうどんが有名で、ごまだしは焼いたエソ類などの魚の身、胡麻を擂り潰して、醤油等を混ぜて作られる大分県佐伯市の調味料で、湯に溶き入れ、うどんと共に「ごまだしうどん」として食すのが一般的です。
パラグアイでは看護師として健康教室を開いていましたが、塩麹の話は、こちらに来てからは色んなところで麹の話とか、料理を作ってだしたりしていました。
麹の働きは人間の体にいいことだと言う事をみんなに知ってもらいたいと思うようになりました。
パラグアイの日系人は2011年ごろには家で味噌、醤油などを作っていて勉強になりました。
味噌など自分の好みの味を作りだしていました。

和食だけではなくピザ、ローストチキンなど幅広く利用していて、また甘酒でドレッシングを作ったり、甘味、塩味を麹で出来た調味料に変えるだけということですが。
ローストチキンでは、塩麹と蜂蜜でつけだれを作ります。
醗酵調味料を使って料理をつくる、、麹の酵素にはタンパク質を分解する働きがあるのでアミノ酸の大きさまでします。
ぱさぱさの胸肉などにも塩麹を塗って、冷蔵庫に寝かせておいて料理すると柔らかくしっとりと出来上がります。
日本の料理を教えてほしいと言う事で教えてその代わりに その国々のレシピ、料理を教えてもらいました。
塩を塩麹に、砂糖の替わりに甘酒、白ワインの替わりに日本酒にしています。
麹の使い方はまだまだ気付いていないことがあると思います。
ただ美味しいと言うだけで無くて、食べた後にお腹の調子が良くなったとか、身体に負担がかかりにくい料理が出来上がるとか、食べて健康になると言う事はいいことだと思います。
「『With fermentation, the world will be as one(発酵で世界を平和に)』という言葉を自分のスローガンとして掲げて、『おいしく食べてより健康で楽しく』というのが目指すところです。