堀部貴紀(中部大学 准教授) ・〔心に花を咲かせて〕 サボテンは地球を救う救世主
サボテンが今課題となっている食料問題、地球温温暖化を緩和する救世主になる可能性があると、中部大学 准教授の堀部貴紀さんは熱弁しています。 2017年には国際連合食料農業機関が食用サボテンは食糧危機を救う作物になりうると発表しているそうですし、地球温暖化対策にも有効で、人類にとってとても重要な存在だという事です。
世界的には種類が2000種以上あり、品種と言うものを入れると8000品種以上あると言われています。 育っている地域(砂漠、熱帯雨林など)によってサボテンは姿を変えます。 熱帯雨林の地域では水が要らないので膨れない。 ウチワサボテンは観賞用だけではなくて世界を救う作物にもなりうると言われています。
サボテンを始めたのは大学の先生になってからです。 生き物が好きで農学部の大学に進みました。 大学の時には花(バラ)の研究をしました。 研究は狭い領域なので広い領域のメディアの世界(テレビ局)に一旦就職しました。 研究の楽しさを思い起こして、1年ぐらいで辞めてしまいました。 名古屋大学の大学院へ戻り、花の研究をして博士号を取りました。 中部大学で教員として採用されて、研究者として独り立ちができました。
中部大学のある愛知県の春日井市は日本で一番サボテンを作っている地域です。 春にはサボテンのお祭りがあり、サボテンラーメン、サボテンの串焼き、などサボテンの料理が一杯ありました。 オクラとかメカブに近いネバネバがしてちょっと酸っぱい(リンゴ酸)味がしました。 メキシコでは肉と相性がいいという事で、普通に野菜として食べられています。 ウチワサボテンは成長が早くて柔らかいんです。 商業生産されているのは30か国を越えています。 イタリアなどではサボテンの実を食べます。 例えばドランゴンフルーツ。 ウチワサボテンでは大きな果物(トゥナ)を付けます。 地球温暖化が進むなかで絶対に重要な作物になりうると思いました。 これをテーマにしようと思いました。
日本にはサボテンの研究者がいなかったので、アメリカ、メキシコなどの研究者と連絡を取って行っていろいろ教えてもらいました。 棘のないウチワサボテンがありました。 (実際にはちょっと棘があった。) 韓国にも行きました。(観賞用のサボテンの研究所) アフリカ、ヨーロッパにも行きました。
テーマはいくつかあって①日本でサボテンを野菜にしてしまおう。 企業と組んでやっています。 ②合う土壌 ③ウチワサボテンは3,4種対しかないので、それらの低温耐性を調べる。(大型ではマイナス4℃ぐらいまでは耐える。) 水があった方がウチワサボテンは良く育ちます。 サボテンは生命力があります。 アリゾナ砂漠では凄く暑いんですが、サグアロサボテン(西部劇などに良く出てくる大きなサボテン)は元気に立っているんです、感動しました。
1年半前、診療内科を受診してADHD(注意欠如・多動症(Attention-deficit/hyperactivity disorder)と双極性障害(躁(そう)状態または軽躁状態と抑うつ状態とを反復する精神疾患)という事でしたが、サボテンの姿は精神的にも支えにもなっています。 それが研究をするうえでプラスにはなっていると思います。 今力を入れているのは、サボテンを地球温暖化防止に使おうという研究です。 サボテンは空気中の二酸化炭素を結晶化する性質があります。空気中の二酸化炭素をシュウ酸カルシウムにと言う結晶に変えます。 結晶化したものはサボテンが枯れても土に残るんです。 二酸化炭素を土に閉じ込めることが出来ます。 それとサボテンを植林しても水を含んでいるので火事にならない。 何故,二酸化炭素が結晶化するのか、結晶の数を沢山増やせないかという事を研究しています。
結晶を増やす技術も見つかって来ましたし、カンボジアでサボテンを使った二酸化炭素の固定実験を企業とやっています。 地雷の除去の後にサボテンを植えることになりました。 サボテンの植林事業する企業もあります。 2017年には国際連合食料農業機関が食用サボテンは食糧危機を救う作物になりうると発表している。 健康にも良いという事で、脂肪の吸収を抑制する。(ダイエット効果) マウスに食べさせると免疫機能が上がるという研究成果も出ています。 野菜にもなるし、加工品の原料にもなる、家畜のえさにもなる(トウモロコシの一部を置き換えれば人間に回せる。)、植林にもなる。 サボテンを牛に食べさせると水の量が減るんです。(節水効果) 欠点としてはサボテンが強すぎるので、管理しないとほかの植物を駆逐してしまう可能性がある。
日本では野菜や家畜飼料ですね。 オクラは30℃を越えると生育不良になって来ます。 サボテンは50℃でも平気です。 暖かい地域ではよく育ちます。 企業と協力していろいろやっていますが、サボテンの漬物などもトライしています。 美味しいと言っています。 サボテンの生命力を社会の役に立てることが目標です。 サボテンによる地球温暖化の防止、食糧難の解決、サボテンの機能性を明らかにしたい。 チームで取り組むことが大事で、考えていなかったアイディアが出るとか、新しいい商品が出来たり、事業がスタートしたり、新しい取り組みが生まれる。 サボテンの国際組織があり、サボテンの研究者、技術者が集まる場所があって、わたしはそこのアジア担当者です。 日本とメキシコでタッグを組んで研究するとか具体的になってきています。 エネルギー事業にサボテンを使えないかと言うような話もあります。 サボテンの棘を取るのを機械で出来ないかと言ったこともあります。