2023年4月16日日曜日

芦原伸(紀行作家)           ・〔美味しい仕事人〕 食で知る世界の文化

芦原伸(紀行作家)           ・〔美味しい仕事人〕 食で知る世界の文化 

芦原伸さん(76歳)はこれまで世界70か国以上、5大陸と7つのうみを取材で旅をしてきました。   旅をして料理を知ることはその土地の生活を知る事であり、調理法は民族固有の技術であって知恵であると言います。  

ここ10年で、グローバルスタンダードと言いますが、スタンダード化してきています。  ホテルのレストラン、街のちょっとしたレストランに行くとあまり変わらないです。    その国の田舎とか、小さな街のちょっとくたびれた食堂とか砂漠の市場とか、そういったところに行くと民族料理みたいな、その国でしかない料理が根付いています。   そういうのに出会うと楽しくてしょうがないです。   色々聞きまくって記録します。    日本では肉というと牛肉ですが、世界では上位ランキングではないです。   ニュージーランドで牛肉が一番安い、つぎが豚肉、一番高いのが鳥です。   牛は放っておけばよくて草を食べている。  豚は豚舎が必要で餌もあげないといけない。  鶏は大きな鶏舎が必要で穀物の餌をあげないといけない。  育てるのに一番お金がかかる。  宗教上、牛、豚は食べられないところもあり、一番食べられているのが羊だと思います。  

明治以降に肉食文化が作られ行って、牛、豚でも薄切りがメインです。  ヨーロッパなどでは肉は固まりなんです。  薄くすると美味しくない。   イギリスでは一番のおもてなしは台所で客に一緒に食べさせることなんです。(一番フレンドリー 家族同然なもてなし)   その友達の家でスキヤキパーティーをすることになって肉を買いに行ったが、肉のブロックしか売っていない。   ハムスライサーでやってもらいました。  醤油とかいろいろ取り揃えましたが、最初の生卵から駄目でした。  その後パスタを入れて食べましたがそれでも彼らにとっては前菜なんです。  メインは何と言われてしまいました。  

南アフリカで食べましたが、ワニの肉は美味しいです。 食べるために養殖しています。  中国の広東州では「野味」といって、アルマジロ、犬、狸などがはいった鉄の檻があります。  僕はフクロウを食べました。  鍋料理で味付けは赤味噌でした。   ワイルドのものも料理法によって美味しいです。   

生まれは三重県です。  父親が医師で名古屋で開業していましたが、戦争で三重県に疎開して戦後に生まれました。  幼稚園から高校まで名古屋で過ごしました。  北海道大学に行きました。   大学3年の時に父親が亡くなり、叔父の家に養子に行きました。   中学ぐらいから鉄道に乗るのが好きでローカル線が好きでした。  大学紛争の時代で、与論島に行き、サトウキビ狩りなどもやりました。   編集者の募集があり、4年ぐらい編集者をやっていました。   1976年、フリーランスライターとして独立しました。   固定した出版社が3社あり仕事は絶えなかったです。   編集プロダクションは30年以上やりました。  バブルで海外旅行大ブームが起きました。   海外ガイドブックがなくて出しました。   草鞋を3つ履きました。  作家記者、編集者、経営者。  最後は出版社も作りました。  自分で書いた本だけで50冊ぐらいあります。  編集した雑誌を入れると数えきれないですね。   

ポルトガル料理で面白い料理があります。 「バカリャウ」と言います。  「バカヤロウ」と言っても通じちゃうんです。   塩漬けにしたタラを乾燥させます。  それを戻して、玉ねぎとインゲンなどいれて卵とじにします。  タラを取るためにイギリスとアイスランドが戦争状態になるタラ戦争があったんです。  大航海時代を支えたのがタラだと言われています。  保存が出来て力が付くから。

スコットランドの伝統料理をニュージーランドで食べたものに「ハギス」という料理があります。  羊の料理です。  茹でた内臓心臓肝臓)のミンチオート麦たまねぎハーブを刻み、牛脂とともに羊の胃袋に詰めて茹るか蒸したプディング(詰め物料理)の一種。  ニュージーランドのレストランの特別料理でやっていました。  バーンズの作詩した『ハギスに捧げる詩』 を歌い上げる儀式を執り行い、伝統的なメインディッシュとして供される。  美味しいとは言えない味でした。  

チンギス・ハーンが世界制覇できたのは羊のお陰だと言われるぐらい、羊は連れて行って食べられる、防寒具にもなる。  肉は焼かないで煮て食べるが、油がもったいなくて御馳走になる。  6月にバルカン半島に行きます。  マケドニアにはアレキサンダー大王が好んで飲んだというワインのブドウの原種が残っていて、それからワインを作っていて、それが飲めるわけです。  最後の晩餐としてのイメージは赤ワインにパン、魚はタラ、肉は羊ですかね。