2021年8月23日月曜日

頭木弘樹(文学紹介者)          ・【絶望名言】ビートルズ

頭木弘樹(文学紹介者)          ・【絶望名言】ビートルズ

 彼らのデビューは1962年、今から60年前の事です。   全世界へ計り知れない影響を与えてきたビートルズの曲と名言のいくつかを改めていくつかお聞きいただきます。 

「昨日ははるか彼方にあった苦悩が、僕の元に居座ろうとしている。 ああ、すべてが輝いていた昨日、ふいに僕は今までの僕ではなくなった。  暗い影が僕に重くのしかかる。   ああ、悲しみは突然やってきた。  昨日。」  ビートルズ イエスタデイ」 (Yesterday

1962年10月5日にシングル盤ラヴ・ミー・ドゥ』でデビュー。            1970年4月10日に解散。   活動期間は7年半。

日本では1962年には中尾ミエさんの「可愛いベイビー」とか植木等さんの「ハイ、それまでよ」などがヒットした年です。   1966年6月30日から7月2日にかけてビートルズが日本公演を行う。  ドリフターズが前座を務める。  

「昨日ははるか彼方にあった苦悩が、僕の元に居座ろうとしている。 ああ、すべてが輝いていた昨日、ふいに僕は今までの僕ではなくなった。  暗い影が僕に重くのしかかる。   ああ、悲しみは突然やってきた。  昨日。」  作詞:ポール・マッカートニー     恋愛だけの問題ではなくて、歌詞にはいろんな思いが込められている。           ギネスによると、世界で最も多くカバーされた曲。  

「まだまだ先の話だけど、僕が歳を取って頭が剥げてきても、バレンタインのプレゼントやバースデイカードやワインを送ってくれる。  まだ僕を必要としてくれる。  食事もさせてくれるかい。  僕が64になっても」  ビートルズ ホエン・アイム・シックスティ・フォー」(When I'm Sixty-Four)

面白い歌詞ですね。  「食事もさせてくれるかい。  僕が64になっても」というところは介護みたいなところですね。   作詞・作曲:ポール・マッカートニー ですが、15歳の時にお父さんを見て作ったものです。   当時イギリスの定年が65歳でした。  定年を直前に迎えて不安定な時期。  ポール・マッカートニー自身が64歳の時には妻と別居して離婚になる。  

「僕が若かったころ、今よりずーっと若かったころは、人の力を借りたいなんて全然思わなかった。   それもいまじゃあ昔のこと。  自信がぐらついて来たのさ。  それで考えをかえて、心の扉を開いたんだ。  出来れば僕を助けてくれ。  気が滅入ってしょうがない。  そばにいてくれるだけで感謝するよ。   立ち直る手助けをしてほしい。  どうか、お願いだから僕を助けて。」   ビートルズ ヘルプ!」 (Help!) 

ジョン・レノンの作品でポールと二人で仕上げている。  急激な勢いでスターになって、心のどこかで救いを求めている。  助けを求めることができるという事は大切なことです。  家のなかの物を見渡してみると、何一つ自分で作ったものはないし、作り方もわからない。  自分では作れないものに囲まれて生きている。  でも自分一人で生きていけるような様な気になっていて、錯覚と言えば錯覚です。  無力です。  恐ろしいほど人の力を借りて生きている。   他人に対して助けてと言えるようになればいいですね。

・ロング・アンド・ワインディング・ロード」(The Long And Winding Road)   ビートルズの一番最後に発売されたアルバム。  

「君の扉へと続く長く曲がりくねった道。 それは決して消える事はなく、たびたび現れてはこの場所へ僕を連れ戻す。  どうか君の扉へと導いてくれ。  荒々しく風の吹きすさぶ夜は雨に洗い流され、あとに残ったのは涙の海。   僕は明日を求めて泣いた。    何故ここに放っておくんだい。 どうすれば君のもとへたどり着ける。  寂しさに泣きぬれたことが幾度あったろう。  僕が手を尽くしているのを君が知らない。」      作詞・作曲:ポール・マッカートニー

「悲しい曲さ、決して到達できない扉のことをうたっている。  行けども行けども終わりのない道なんだ。」とポール・マッカートニーが言っている。  ビートルズ内部でうまくいかなくなってきた当時に作っている。  

「僕と暮らすのが気が重いって、彼女が言った。  僕がそばにいると窮屈なんだって。  彼女は乗車券を買った。  乗車券をもって汽車に乗り、もう帰ってこないつもりなんだ。 僕の気持ちなど考えずに。」    ビートルズ  「涙の乗車券」( Ticket to Ride)  

ジョン・レノンの作品でポールのアイディア。   若者の恋愛の話ですが、歌詞だけを見ると熟年離婚のような感じ。  

「あいつはどこにも行き場のない男。 実在しない空想の国に閉じこもり、誰のためともなく、どうなる当てもない計画を立てる。  なにをどう考えるという事もなく、自分がどこへ行くのかわからない。  君や僕だってどこかあいつに似ていないかい。 」       ビートルズ  「ひとりぼっちのあいつ」(Nowhere Man)              ジョン・レノンの作品   ビートルズで初めて愛以外のテーマをうたっている。    

「君はその重荷を背負っていくんだ。  これから長い間ずーっと。 君はその重荷を背負っていくんだ。  これから長い間ずーっと。」  ビートルズ キャリー・ザット・ウェイト」(Carry That Weight) 

ポール・マッカートニーの作品  ここから解散に向かってゆく。 

「旅の途中で」という日本のテレビドラマで或る登場人物が「夫婦なんてみんなそんなものよ」というんですが、相手が「そうだね。」と返事するかと思ったら、「そんなことはないな。」というんです。  感動して泣いちゃいました。(頭木)  病気していると「みんな大変なのよ。」とよく言われます。  健康なひともみんな大変なんだといいますが、それはそうですが、病人だって健康な人と同じような悩みがあるわけで、その上に病気なんです。   「夫婦なんてそんなものよ」と一般化していることに対して、否定していることに対して、感動してしまいました。  もっと一人一人の思いの重さに目を向けるやさしさが欲しいなと思います。

ホワイルマイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」(While My Guitar Gently Weeps) 作詞・作曲 :ジョージハリスン

「愛は人々のうちで眠ったままらしい。  僕のギターがすすり泣いている間も。  床に目をやればそこにはほこりが積もっている。   僕のギターはひそやかにすすり泣く。 」   ビートルズ ホワイルマイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」(While My Guitar Gently Weeps)