2018年9月20日木曜日

香取章子(ちよだニャンとなる会代表理事) ・ペットは終生責任をもって!

香取章子(ちよだニャンとなる会代表理事) ・ペットは終生責任をもって!
今日から動物愛護週間、犬や猫を家族の様に可愛がっている家族も多いと思います。
一方で飼い主がなく殺処分されてしまった犬や猫は、平成28年度1年間で全国で5万6000頭にのぼります。
実にその8割に当たる4万6000頭が猫です。
東京都千代田区では2011年から猫の殺処分ゼロが7年間も続いています。
行政とボランティアがうまく連携した猫の保護、譲渡活動は千代田モデルと言われ全国の注目を集めています。
そのボランティアグループ「ちよだニャンとなる会」代表理事の香取さんに先駆的な千代田モデルの活動の実態と猫と人間のあるべき環境について伺いました。

5匹飼っていますが、全部飼い主がいなかった猫です。
私は千代田区に生まれ育ちました。
かつては千代田区内でも飼い主がいない猫が暮らしていました。
ビル街にも猫がいました。
元々猫が好きでしたが、悲惨な状態が目について仕方なかった。
当時は雑誌の編集の仕事をしていて時間が無かった。
18年近い取り組みがあって、2011年から猫の殺処分ゼロが7年間も続いています。
2011年から千代田区内で保護された猫が東京都動物愛護相談センターで取り扱われて処分になることはないということになっています。
2000年に千代田区の飼い主の居ない猫の去勢不妊手術費助成事業を始めました。
繁殖を抑えようと立ち上がりました。

2000年は動物愛護管理法、動物愛護法が施行された年でもありました。
猫の繁殖力は生後半年の雌猫が妊娠し始めたりして、年に2~3回出産します。
1度の出産で4~5頭の子猫を出産します。
一生に200頭の子猫を産むと言われています。
交尾するとほとんど100%妊娠します。
猫は爆発的に増えて行きますので、不妊去勢手術が一番の猫問題を解決に向けての鍵になります。
手術の費用が雄が1万7000円、雌が2万円。(妊娠中は2万5000円)
ボランティアも募集しました。
会報を作り始めたりしました。
「ちよだニャンとなる会」という名前がいつの間にか出来ました。
2011年に殺処分ゼロになりました。

歩きたばこの禁止も全国で一番最初に千代田区が始めました。
猫の飼い主がいるかどうかを調べ、一時保護して協力動物病院に運んで去勢手術をして、耳先をV字カットをして手術をしたという目印にしました。(ピアスを付けたが取れてしまう)
TNR活動(トラップ(Trap)、ニューター(Nyuta 去勢不妊手術)、リターン(Return)を千代田区が事業を推進して行く中で、相当猫の繁殖が押さえられてきて、劇的に減っていきました。
猫の譲渡活動も進めて来ました。
2014年から保護、譲渡にお金が掛かるので、検査医療処置費を1頭6000円助成するようになりました。
TNTA活動、(ニューター、テイム(Tame 人に慣らす)、アダプト(Adapt 譲渡する))
人に慣れていない猫を人に慣らす、そして譲渡する。
協力動物病院に安価で預かっていただくことになりましたが、その費用が一番おおいです。
1匹7万5000円を上限に預かり費用を助成されるようになりました。

ワクチン、病気も治す、そして初めて譲渡できることになる。
ウイルス検査、ダニ、寄生虫の駆虫もして、ワクチン接種、去勢手術、個体識別のマイクロチップも埋め込んで責任譲渡します。
譲渡会は年間5~6回開催しています。
次は10月14日、千代田区役所で行います。
譲渡は年間50頭位です。(おとなの猫が多い、病気障害のある猫を含めるので)
情報の受発信を大事にしています。(インターネット、フェイスブック、会報など)
イベントもやっています。(2016年から開催)
今年は1万4000人が来ました。
イベントの収益は経費を引いて猫の医療費に活用しています。
このイベントでも譲渡会を行っています。

「千代田モデル」と言われています。
行政、ボランティア、区民、在勤者も巻き込んで、みんなで取り組んでいこうと言うことでやってきました。
年間予算は750万円位です。
今年4月に動物愛護係を創設して珍しい係だそうです。
猫の活動を通して物凄く知り合いが増え、話ができたりして楽しいです。
人口は6万人を越えましたが、一時期3万人台だった時もあります。
昼間は85万人位になります。
6万人の9割がたはマンションに住んでいますが、猫の繋がりから話が盛り上がったりしています。
17年間の活動で猫を介在して、コミュニケーションネットワークが広がってきました。
一番の課題は殺処分ゼロの記録を続けて行くためには、譲渡しにくい猫ばかりで、譲渡型保護猫カフェを秋葉原地区でオープンする予定です。
旧旅館を使ってやります。(古民家再生ということで)

3・11の時に仙台市からの要請を千代田区が受けて、被災地で生まれた子猫を引き受けて譲渡先を見つける活動を行っています。
ペットを災害時にどうするか、という問題がある。
人命優先とはいえ、ペットも家族の一員であるという認識はたててほしい。
逆の言い方をすると、被災したとはいえ、その人、家族に終生飼育を全うしてもらいたい。(同行避難)
高齢者の多頭飼育の崩壊の問題もあります。
世話をし切れなくなって不妊去勢手術を怠り、増えて行ってついに世話をしきれないまま
不衛生な環境の中で共にいると言う、多頭飼育の崩壊が全国各地で発生しています。
これからの課題となって行くと思います。
ペットが行き場を失わないように、最低限のことをしていかないといけないのかと思います。(次の飼育者を紹介等)
公正証書の遺言、ペットとお金を一緒に遺贈するという形の遺言。
養育費、医療費、謝礼の3つの意味を込めて金額を設定すればいいのかと思います。
私は猫を引き受けてくれる人を指定して、公正証書に書いてあります。
動物愛護管理法という法律が有るが、飼い主が終生責任を持って飼育すべき愛護動物と定められている。