2018年9月16日日曜日

小池理雄(お米マイスター)        ・【"美味しい"仕事人】お米の魅力を伝えたい

小池理雄(お米マイスター)  ・【"美味しい"仕事人】お米の魅力を伝えたい
小池さんは東京原宿精米店の3代目です。
原宿はファッションの街として、若者や外国からの訪問客で賑わう町です。
町からお米屋さんが消えて行く中で、小池さんは生産者と消費者を結ぶ活動を続けています。
お米マイスターとしてお米の魅力を伝えている小池さんのお話です。

お米マイスターはお米屋さんが持っている資格で、お米屋さんの組合が認定している資格です。
お米マイスターは日本全国のお米の特徴をきちんと説明出来たり、お米の食べ方、お米の特徴、稲の育ち方等、お米に関すること全て詳しい人で、且消費者の人に判り易く説明できる人です。
三つ星と五つ星があって、私は五つ星の方で難しい試験もあります。
試験の事前にお米が送られてきて食べて感想を述べるなど、口述試験、どういう品種なのかなど、お米を知らないと受かることができない試験です。
お米屋さんなので精米技術が大事なので、精米のやり過ぎ、少な過ぎなど食べてみたり触って見て判るのでそういう試験もあります。
精米は玄米のぬかの部分を取って白米にする作業で、目方の約1割がぬかですが、玄米のぬか層と白米の層の間に亜糊粉層(あこふんそう)という、うま味が詰まっている薄い層が有り、それを残しつつ、お米粒が割れないように精米する。
品種、気温湿度によって違ってくるので、お米を見ながら精米するというのが我々の仕事です。
生産者さんのお米の種の選択、どうやって栽培、収穫後の調整、我々がどうやって精米するのか、おいしさジャンクションがあります。

色々なイベントにも出かけて行きます。
皆さんは品種は判っていると思いますが、食べ比べは無いと思います。
お米に関心を持ってもらうことが、お米消費拡大の大事なことだと思っています。
毎年農家さんとも10か所ぐらい話をします。
生産者と消費者は興味の持ちどころが違うので、それをつなげるのが私の役目だと思っています。
今年は石垣島まで行きます。
稲は元々南方、東南アジアから伝わってきたので、沖縄も一つのルートで稲作の歴史は古い。
沖縄の早場米、「ひとめぼれ」が6月には都内に出て来る。
田んぼが有ることで治水が出来て、里山の風景も守られている。
田んぼは自然と調和をして作物を作っている、優れた設備だと思っています。
佐渡島に朱鷺(とき)が300羽ぐらいいるが、そこは田んぼが餌場になっていて、そこには魚、昆虫がいないと絶滅してしまう。
農薬を使わない、田んぼの面積を増やそうと言う取り組みを佐渡ではしています。
今はおいしいだけでは差別化できなくなって、そこから先はどうするのかということが今の話のようになるわけです。

原宿でやっているが、情報発信がしやすい。
サラリーマンを10年前までやっていて父の具合が良くなくて継ぎました。(3代目)
日本全国でお米屋さんから買っているのは、
7%位と言われて少ない。
お客さんへのヒアリングをして、粘り、甘味、もっちりさ、価格などを聞いて新しい別のお米の紹介などをします。
レストラン、食べ物屋さんが多いが、お付き合いをして販売しています。
お届けするものはブレンド米が多いです。
以前は一般的には価格調整などでしたが、それぞれの美味さの要望に合わせたものを調整します。
要望に対して単一銘柄では表現できなくなってきている。
原宿の「穏田キャットストリート商店街」で80年以上やっています。
昔、穏田川が流れていたが、暗渠になってしまっていて、猫が結構いまして、このような名前になりました。
「おんでん」には二つあって隠田、穏田 江戸時代の葛飾北斎の冨嶽三十六景の中の一つに「おんでん」の水車と言う絵が有り、その水車は穏田川にかかっていた。
元々は伊賀者の忍者の里がこのあたりと言われて、穏田と言われた。
当時水車が結構あって、水車で精米をしていた、歴史のある街です。

大学卒業後出版社に勤務して編集の仕事をしていました。
社会保険労務士の試験を取って、コンサルティング会社に入って7,8年勤務しました。
父が倒れた時に、周りを見渡すと私しかいなかった。(長男の末っ子だった)
小学校時代から手伝っていたので、すんなり入れました。
やって見て本当に奥が深いなと思いました。
10年近くやっているが、判らないことが一杯あります。
お米を食べて評価する時に、お米面接表を付けていて、8つの切り口で評価して作文して点数を出しています。

最近の代表格は山形の「つや姫」と、北海道の「ゆめぴりか」です。
新潟県の「新之助」、福井県の「いちほまれ」、富山県の「富富富(ふふふ)」、石川県の「百万石」、宮城県は「だて正夢」などが出てきています。
生産量では「コシヒカリ」が30%を越えています。
「コシヒカリ」の子供である「あきたこまち」「ひとめぼれ」「ヒノヒカリ」と合わせると全体の6割を占めています。
新しくいろいろ出てきているが、まだ少ないのが現状です。
お米の消費量は毎年さがってきていますが、広めるためには新しい品種は大事だと思います。
ブレンドもみなさんがやってみても、いいのかなと思います。
そういった楽しみ方もあると思います。
玄米を食べたがるのが奥さんで、白米を食べたがるのは旦那さんでそういった時に、5分突きのものもあります。

精米機の性能がいいので、今はヌカが取れている。
研ぐのもいい加減でいいと思う。
米を水に浸けるのに、冬は1時間、夏は30分と言われているが、できればその倍は浸けてほしい。
お米の中にしっかり水が浸透します。
水が熱伝導の役割をして、しっかり熱が行き渡って結果として、でんぷんがもっちりと仕上がる。(アルファー化米
水に浸けておいた方が、でんぷんを糖化するアミラーゼが活発に動くといわれていて、水に浸けておくとそれだけで全然違います。
炊飯器は水を浸けないことを前提に設計されている事が多いので、浸けたものを普通のモードでやると間違えるかもしれないのでモードの確認が必要です。
土鍋も結構いいと思います。
お米は精米した時点から酸化が始まります。
できれば空気を密閉した状態で低温で保存するといいと思います。
お米は呼吸しているので、呼吸すると養分が失われて行くので、呼吸しないようにした方がいいと思います。
玄米は保存していると臭いが付きやすいので気を付けてほしい。
地域が発展するように一つの商店として頑張っていきたいと思います。
稲作文化を守る最前線にいると思っているので、少しでも寄与できればと思っています。