2022年8月2日火曜日

泉ピン子(俳優)            ・漫談からリポーター、そして女優 前編

 泉ピン子(俳優)            ・漫談からリポーター、そして女優 前編

10代から歌手や歌謡漫談の仕事を始めて1975年民放のテレビ三面記事。『ウィークエンダー』のリポーターで大ブレークをしました。  その後俳優としても活躍、脚本家の橋田壽賀子さんのお気に入りでした。   朝のテレビ小説「おしん」の母親役で大ヒットをして世界各地で話題になりました。   また長寿番組「渡る世間は鬼ばかり」でも知られています。    そんなピン子さんが以前から自分の集大成にしたいと、朗読劇に取り組みこの度、8月4日から原作内館牧子さんの「直ぐ死ぬんだから」がスタートします。   

主人は大分なので山と海が好きで、私は都会でネオンがあるところが好きだったんです。   主人が59歳の時に買っておいてよかったです。(東京から熱海に引っ越す)    今の人は音感がいいし、歌にしても芝居にしてもこなせますよ。   テレビドラマは良く観ています。  今はコロナ禍で大変で、私などはいい時に出さしてもらいました。  「おしん」はやっている時にはあんなに当たっているとは知りませんでした。(NHKと自宅の往復)   「なっちゃんの写真館」では私と時田さんが夫婦で、面白いシーンを撮っていましたが、ほとんどカットでした。    「おしん」をやらないかと橋田先生に言われましたが、カットになるからと思って断りました。   でも母親役はカットがないという事で引き受けました。 

朗読劇は初めてです。   本があるから楽だろうと思っていましたが、朗読劇を舐めていました、難しいです。   全国11か所以上行きます。  原作内館牧子さんの「直ぐ死ぬんだから」  本を読んで面白かったです。  78歳の役ですが、私も75歳になるのでよくわかるんです。   朗読劇はいつかやりたいと思っていました。  橋田さんと内館さんは仲がいいんです。  大河の「いのち」の時も橋田先生のところの現地にきて、どういう風な感じですかと内館さんに聞かれました。   内館さんは私より一つ下で誕生日が9月10日私が11日で一日違いなんです。  これも橋田先生の巡り合わせかなと思います。  内館さんは人間の厭な面をズバッと言ってますから、小気味いいというか、面白さがあります。     朗読劇では私は忍ハナ、娘も孫も嫁もやります。  奥さん以外に子供がいて、死んでからその子供が出てくるんです。 村田雄浩さんがいろんな役をやります。  愛人とのセリフのやり取りが面白いです。  歳を取るという事は良いことで、忘れられるから生きていられるんです。  

同じような状況がありましたが、どんなショックだったのか、今思い出せない。  ショックはショックでした、「渡る世間は鬼ばかり」で髪の毛をバサッと切ってしまったのは円形脱毛症で禿てしまったからなんです。   橋田先生は別れては駄目だというんです、別れるという事は奪われる、捨てられたというイメージがある、だけどご主人が貴方を選んだという事が一緒にいる事になる、だから絶対別れなさんなと、森光子さんも同じことを言うんです。  私がその時に出した答えが、一番だと思うから腹が立つ、子供のいる人と再婚したと思えば、世の中に大勢いるじゃないですか、いろんな方に励まされました。  自分の辛い時に人が良く見えました。  人間いい時ばかりではないですよ。  74歳に成ったら我慢しないことが一番いいです。  厭だと思ったらもう付き合わない。

ツイッターとかで批判とかあるが、歳取ったら実は見ない、聞かない、言わない、で生きて行きたい。  それが一番いいような気がします。  私は忍ハナのようにぶつかりたくない。   好きな人だけと付き合っていきたくもない。  好きな仕事だけしていた。  いい時代にテレビの仕事が出来たと思います。  女太閤記(私が死ぬ場面で一番お金がかかっている)、おしん(視聴率69.2%)、朝ドラで平均43%、今では二桁取ったら凄いというような時代です。   橋田先生と初めてやったのが「人間模様」というドラマで、夜10時で28%とったんです。   それから橋田先生が声を掛けてくれました。  

「渡る世間は鬼ばかり」は50歳ぐらいで辞めていれば、もう少し違う役がやれたのではいないかと思います。  1990年から2019年まで。

杉村春子先生にセリフは音ですと、10年間自分のしゃべっている音を自分で聞こえるようになって聞いていれば、必ず音が出る様になります、と言われました。  怖かったですよ、杉村春子先生は。  宇野先生から「これじゃあ進まないよ・・・何度言ったら判るんだ。」、半べそでしたが、今なら宇野重吉先生がおっしゃっていること判ります。    いじめている訳ではなくて、ドラマ自体がよくなるように言ってくださっているんだから。 私は大ベテランのなかで育ちましたから、もうこのような経験はないかなあと思います。