2019年10月21日月曜日

宮下覚詮(法螺師・大峯行者)       ・【にっぽんの音】

宮下覚詮(法螺師・大峯行者)       ・【にっぽんの音】
進行役 能楽師狂言方 大藏基誠
映画「よあけの焚火」に大藏基誠 初出演(主演) 第67回サン・セバスティアン国際映画祭 新人監督部門ノミネート。
「伝えること」という普遍的なテーマを昇華させた稀有な作品が誕生した。

今日の日本の音は法螺貝に注目。
18年前、奈良 吉野山金峯山寺修験本宗の教師法螺師となった宮下覚詮さんは普段は会社員として働きながら週末には修験道の霊場である吉野山金峯山、長野の戸隠などの山を歩き法螺の音をささげています。
国内外で活躍する和太鼓奏者の佐藤健作さんと共演するなど法螺貝の音色を広く伝える活動をしています。

法螺貝は法具です。
修験道や密教の中では大祭などでお経をあげる場合、必ず前に法螺貝をたてて、音でリセットして様々な作法に入りお経をあげ、神仏の名前を呼んで、最後に法螺貝で元のようにもどしておしまいにする一式の式次第の中で重要な役割をもっている法具です。
法華経、あるいは功徳が書かれたお経があるが、人を恐れをなくさせるという事が書いてあり、これから恐れずに行くぞという意味で戦国武将が戦の時に鳴らすようにしたと思われる。
音階は3倍音、その上に装飾的な音で4っつ目の高い音があります。
譜はあります。
「本尊法螺」はオープニング譜で最後は「護摩終わり」というすべてが終わるという譜があります。
山で歩く譜はこれから歩く先を清めながら魔を払いながら歩くための浄化の譜です。
流派もあり譜面で判ります。

法螺吹き、仏教の用語ではどこかで逆転して逆の意味に行くことがあります。
最初はお釈迦さまが説法する前に法螺貝を吹いたという説があります。
素晴らしい大きなことを言うんで嘘ではないかという事で、法螺吹きと言ったのではないかとか、のちの世で私は悟りましたという事で説法するが、聞いたら怪しい、嘘を言ってるというので、お釈迦様ほどではない、あいつは法螺吹きだという風に変わっていったという説もあります。
ハワイでは鼻で吹く鼻笛があり、口で吹くと音が嘘の穢れた音になるので鼻で吹くといった人がいました。
仏法では口は嘘を言ったり、悪口を言ったりするので、戒めてコントロールして使いなさいとお釈迦様が戒めなさいという風に言っているようです。

血の流れは心臓から左回りで回っていくので、左側は清浄なところだとネイティブハワイアンも言っています。
僕たちは吹くときに口の左側で吹きます。
法螺師の一番いい修行は吉野山から那智まで7日間をかけて寝ているとき以外は一瞬も休まず法螺を吹きながら登りも下りも吹き続けます。
法螺貝が自分の一部のようになって身体も鳴り始めます。
私は山伏という感覚は持っています。
戸隠、飯綱、金剛葛城、熊野、沖縄に行ったりして法螺を吹きます。
沖縄では滝とか自然物を拝んでいるのでそういったところで法螺を立てさせてもらいます。
法螺貝は吹くといわないで、法螺貝を立てるといいます。
法螺貝を耳に当てると音が聞こえます。
持ってきた法螺は素材はふじ角貝で40cmぐらいです。
ほかの種類もあります。
これはポリネシアの法螺貝で優しい音が出ます。
もう一つはチベットの貝、タニシの仲間です。
巻貝が獲れたところでは世界中で吹いていたようです。

吹く前に口をたたきましたが、三身説法(法身・報身・応身) 法身は宇宙の真理になり替わり今から吹きます、報身は仏になり替わり吹きます、応身は自分臣に応じた分際で吹きます、そういう気持ちで吹きますという事です。
場所の雰囲のによって口のたたき方も違ってきます。
唇の振動が貝の中に入ると響き変わるだけではなくて、呼吸という風が法螺貝の中を通ってゆくだけで摩擦音がして、この二つがミックスして音になっています。
貝自体が鳴っ程度非難いるのでそれに寄り添うように自分が呼吸をしっかりしさえすれば本来は十分だと思います。