2019年7月13日土曜日

谷口美保子(実行委員会 委員長)     ・【人ありて、街は生き】都賀川で流された子らを忘れない

谷口美保子(「7月28日を『子どもの命を守る日』に」実行委員会 委員長) ・【人ありて、街は生き】都賀川で流された子らを忘れない
10年前2008年7月28日、神戸市灘区を流れる都賀川が、急な雨で増水し5人が流されて亡くなりました。
極地的に降った大雨でわずか10分ほどの間に川の水位が1m30cmあまり上昇し、川のほとりの親水公園にいた市民に激流が襲いました。
民間の学童保育の指導員に引率された小学生2人、帰宅途中だった20代の女性と保育園児の姪、30代のアルバイト男性の合わせて5人の命が失われました。

7月上月上旬、10周年の忍ぶ会を3週間後に迎えて準備が行われていました。
7月28日 当日いい天気でした。
天気予報では大雨とのことだった。
2時ごろ雨が降ってきた。
その後ニュースで子供が流されていることが放送されていた。

亡くなった2人と同じ学童保育に3うちの人ともお世話になっていました。
神戸市灘区の住宅街を南北にを流れる都賀川でした。
六甲山に降った雨を集めて海に一直線に流すような川です。
傾斜が急で長さも1,8kmと短いコンクリートで固められた川です。
雨が降らないときには遊歩道も作られています。
2008年7月28日(月)の朝はとても天気が良かったです。
午後から急に暗くなってそのうちに雷が鳴りだしました。
午後1時55分に大雨洪水警報が出される。
2時20分ごろから雨が降り始め、2時30分過ぎに、52人の人が親水公園で水遊びやバーベキューを楽しんでいた。
突然の豪雨で川が増水、16人が流されたり取り残されたりして、11人は助かったが、民間の学童保育の指導員に引率された小学生2人、帰宅途中だった20代の女性と保育園児の姪、30代のアルバイト男性の合わせて5人の命が失われました。

小学生のふたりは特別支援学級に通ってる児童でサポートのいるお子さんで水遊びに来ていた。
児童生徒は19人、大人は3人という体制だった。
大学生が小学生3人を引率して川下に行きました。
16人を2人の女性(60代と40代)が引率する形になりました。
とりあえず橋の下で雷を避けていたが、危ないので上がろうという事になった。
上がる階段が少なくてそこを目指してゆく。(上流70m先)
そこにたくさんの水が流れてきた。
2人が下流に流される。
一人の指導員が下流に走ったが、大学生は自分の判断で子どもたちを上げた。
大学生は携帯を持っていて上がる旨連絡しようとしたが、二人の指導員は学童保育所に置いて来ていたので連絡は取れなかった。

事故の検証をしたいという事で検証報告ができている。
関西学院大学の室崎教授が担当する。
指摘事項が3つあった。
①堤防の上へ避難する行動開始が遅れた。
行動を開始してから濁流に遭遇するまで2分前後ととても短かった。
②激流が向かってきた時点で16人を引率する指導員が一人しかいなかった。
③子供たちが激流に巻き込まれた時点で救助活動をしたが、力が及ばなかった。

雨が降った時の都賀川の危険性についての認識が指導員にかけていた。
人から警報が出ているといっていただいたのに軽視していたり、真っ黒い雲、雷などの前兆があったにも関わらず見逃していた。
危機意識が弱かった。
自然の危険についての保育所としての学習不足も反省材料であると報告されている。
上流と下流の複数のグループに分かれてしまった。
指導員相互の連絡を携帯電話でせずに隊列を離れたこと、避難時に一人体制になってしまった。
マニュアルがなかった。
検証報告で提示された課題をきちっとこれからやってゆくのが学童の責任ではないかと思います。
自分たちの検証を出してゆくのが亡くなられた家族などに対してできる誠意ではないかと思います。


翌年「7月28日を『子どもの命を守る日』に」という実行委員会を立ち上げる。
体験談、目撃談を集めたり、防災、地質学の専門家を招いて勉強会を開いたり、毎年小冊子にまとめてきました。
親水公園の整備自体に問題を投げかけた専門家もいました。
都会の中を一気に水を流し込む水路に、後から親水公園にして、増水時の警報も設置されていなかった。
取り残されるという事故がその前にもいくつか発生していた。
昭和13年には阪神大水害があり都賀川を含めて氾濫して、約700名の方がなくなっている。
昭和42年にも亡くなった方が84人という水害がありました。

天気のいい時には本当に穏やかな川に見えてしまう。
阪神淡路大震災の時にその水を使ったという身近な川というふうに感じられた。
この二つが恐怖を抱かなくなった要因かと思います。
ユニークな警報装置、注意書き設置、上がれるような場所、はしごなども作られました。
危険が高まってるというアンテナ、想像する力というものを身につけないといけないと思います。