2012年7月16日月曜日

渋谷正信(プロ潜水士63歳)    ・心をこめて海と付き合う 2

 渋谷正信(プロ潜水士63歳)       心をこめて海と付き合う 2  
アクアラインの基礎工事の杭を打った調査をしたら黒鯛が杭に付いたなと思った 
工事をやるのは環境を破壊しているんだなと思っていたらそうではなさそう と思った 
8年間工事に携わってその間に魚、藤壺、海藻類の付き具合を調査した   
そうすると季節 季節の海が見えてきた    
記録を取り始めた  纏めて発表したらいいよと言われて国際会議にて発表したら、凄い反響だった

作り方次第では海藻、魚が住みうる場に成り得ると発表した   
作る時にどんな風に作ったらいいのか そういう視点で海の中のものを作る必要性を発表した 経験則としては知っていた  沈没船の魚の住みつき等      
魚の住みやすい 穴の大きさ等  形状で違ってくる   
工事をするが 8年間やりながら見て(当時最初は環境は見ないで工事一辺倒だった) 
それが段々環境も見られるようになってきたそれが良かった
日常定期的に潜っている人の眼は大事だと大学の先生も認識した
港はヘドロがたまりやすい   閉塞空間になってしまって溜まりやすい    
陸からの汚れたものがそこに溜まってヘドロになる

陸の生活の有り方が全部海に来てしまう   
海を見るとそこの陸の上がどんな生き方をしているか判る
河がコンクリートになっているので直接流れる 
 雨が降ると昔だったら3~4日経つと濁りが消えるが1週間たっても濁りが取れない  
地域のものが海に流れて込んでしまって 海の中が浮遊物がある状態になり 浮遊物が沈下してゆき海の底に沈んでゆきヘドロ化してゆく
海も見るけど 河も見るし、山を見るし 街も見る    綺麗さ  
ただ水がきれいなだけじゃなくて 土地土地によって違うのでそれが保てていればいい
黒潮は綺麗だけれども余り栄養分が入っていない 
 
親潮は透明度は良くないが、栄養分はたくさん入っている
浮遊物が日本の海の周りは多い   海を見る事によって山は大事だと判ってくるし 畑も川も街もなんですね
海の中の森作り  海藻  そこに生えているべき海藻が少なくなってきている  
昆布 あらべ かじめ はんだわら 生えなくなってきている
それはヘドロだけのせいではなく 水温が上がってきているのも原因の一つ 複合している 
日本の場所場所によって違う
日本海側の場合は黒潮の流れが入ってきているが強くなってきている 
冬に水温が下がらなくてはいけない時に黒潮がいつまでも水温が高くて水温が下がらない  
海藻と言うのは水温の低い冬の間によく成長する  
下がるべき水温が下がらない(温暖化)  海藻が中々生えにくい環境にある

なおかつ 黒潮に生息している魚の中に海藻を食べる魚がいる  
冬になるとその魚はかつては其の活動を止めていた
水温が高いから冬になってもその魚は海藻を食べ続けるんです    
だから海藻が成長する暇が無い その悪循環でどんどん海藻が減ってくる 
汚れがどんどん出てくる 海の構造物(港、防波堤等)もやたらめったら作ってしまうので 良い面もあるが海藻を食べる住み家になってきてしまう
有用な魚が住みかになっていればいいのだが、海藻をいつまでも食べる場所になってしまうところもある   壱岐等はそうなっている
海藻を食べる魚たちが住みついて海藻を食べつくしてゆく   どんどん無くなってきている
昆布の有るところなどはうにが増えてきている  うにも海藻を食べなくてはいけないので昆布が少なくなってきている  うにの中身は海藻が無いので身が無い
うにの間引きをしている状態   これも悪循環   一回でも海藻が枯れると復活するのに時間がかかる  安心してはいけない

あっという間に海藻は無くなる  すると復活に時間とお金がかかる    
鉄鋼スラグ  を置いて海藻が取れるようになった(北海道)   
鉄鋼スラグには鉄分が残っている  海藻は鉄分を好む  鉄分を吸収して育つ
ただそのままでは鉄分を吸収してくれない     山の木が枯れて葉が枯れて地面に落ちる 腐葉土になる  腐葉土と鉄分を混ぜると海藻が吸収しやすい鉄分になる  
吸収しやすい鉄分にならなくてはいけない    
鉄鋼スラグに腐葉土に混ぜる事をやってみた  東大の定勝先生と一緒にやってみた  
今は色んな企業の方とやっている最中   一つのヒントになったのは昔北海道の漁師さんが うにも一杯いたけれど昆布も一杯いたよと言われた

その頃海で取れてきたものは海に捨てていたよと言っていた  
(貝殻 はらわた  昔は加工場が浜辺にありそこでの廃棄物を捨てていた)
それが魚、海藻の栄養になっていたのではないかと考えた   
今は海藻が生えていたのは加工場の水が流れている回り  それがヒントになった
日本海側は栄養分が少ない  海藻が育つための栄養分が少なくなっていている  
昔は魚を取ってきたものから流れていたもんだろうし  本来だったら山から腐葉土と一緒に鉄分が川を通っていたんだろうと  しかし今は川がコンクリート浸けになる 
道は全部コクリート アスファルト  当然流れて来ない状況  
それだったら人間が栄養分を与えられないだろうかと (施肥)  北海道で成功していたのでそれにヒントを得て やってみようと,はらわた、頭だとか腐ることで色んな微生物が出たり 色んな元素が出てきて吸収しやすくなると思うんです

鉄鋼スラグだけではなくてそういうものときちっと混ぜ合わせ、さらに魚の腐ったやつを発酵させた物をやってみたらさらに良かった  昆布が良く生えた
そこにうにが沢山付いて身も沢山有った     海藻を増やす  海の森作り 
海藻を増やすことが生物を増やすための一番の基礎生産の場なんですよ
今まで気がつかなかった 魚、魚と言って魚ばっかり眼が行ってしまっていて 魚が育つために何が必要かという事をずっと追って行ったら植物プランクトンが,最初の出発点になっていることが判った       だから海の中に森を作るということは非常に重要なことなんです   
日本中の海は凄い面積減ってきている   それを再生させようと30数か所でやっている   
旨く行かないところもある

10年ぐらいやってきて 技術だけじゃなくてそこに係わる人の気持ちというか心がとっても大事だと思います。
工事、森作り 人作り が大事   技術も大事ではあるが人の心が凄く大事で どのくらい地元の人が大事に思うか 地元の人が大事に思わないと海は良くなりません   
地域にどのくらいいるか  最後は人の心が大事     
海を考えるなら 家庭の排水 山が如何なっているか、畑 化学肥料をどうやって使っているか 下水処理が如何なっているかが、大きくなってくる そうなると手を付けない 
しかし海を見ると少しずつでもやっていかなくてはいけないと言えると思う
 
水中塾  心を優しくする泳ぎ   海をいつくしむ 大事だと思った  
ダイビング指導者だったので 技術を教えるが海とどうかかわってゆくかという事が薄い
ここに魚はいますよというような観光地を巡るようなダイビングをやってきたが そうじゃなくて本当にそこにいる生き物たちとのかかわりを深くする
そこの海というのはどういう風に私達の生活、生き方に関係しているかという事を判って貰う
一番いいのは海の心地よさを感じ取って貰う   
そんな事を思っている時にイルカと泳ぐと癒されるという事を聞いた  
野生のイルカ と泳いで見て(世界中のイルカのいる場所に行って)黒潮に流れた 海に全身ゆだねて流されていた時に2匹のイルカが私の横にピッと付いた
私を中心に川の字になって 触れるような距離 その時にいるかが来てくれたなあと思い一緒にいるかと居るような気持ちになった

イルカと眼が合った  
本当に慈悲深い目をしていてその目を見た途端に私の身体中に電撃みたいなものが走った 瞬間的にバーっと有り難さみたいなものが出てきた   胸が熱くなって涙がバーっとこぼれた  私と一緒に泳いでくれる感覚が嬉しくて涙で一杯になった  
世界中を追いかけていたがそれで満たされてもういいよと思った   
もう満たされたから家族の元に戻ってもいいよと心の中で思ったらその瞬間に2匹のイルカは サーっと離れた      初めて癒されるということが判った 
   
いるかと泳ぐという事はガンガン泳ぐのではなくて こっちの心と体の力を抜いて泳いでいればいいんだなと思ったわけです   心の持ち方が非常に大事だという事が判った   
それからはそういう泳ぎを出来るような心作りを始めた  
そういう心作りを一般の人にもやり始めたら心作りを始めたら皆泳ぎが上手になったという事が判った  先ず心ありきだという事が判った
イルカと泳ぐ  水の中に入る という事を通して心作りをする すなわち 人作りをする   
海と調和する人を作る 仲間を増やしてゆくという風に変わってきた