松枝崇弘(久留米絣工房 七代目・日本工芸会正会員) ・着物の魅力を伝えたい ③
松枝さんは1995年福岡県生まれ。 子供のころは工房が遊び場で、染めも織りも手伝いをしてましたが、大学卒業後は県外の企業に就職しました。 2020年父親の病気をきっかけに、故郷に戻り久留米絣に本格的に取り組むことになりました。 久留米絣は福岡県筑後地方に伝わる藍染めの綿織物です。 江戸時代後期に始まり、糸をくくり藍で染めたくくり糸を用いることで、模様を織り出していきます。 デザインを決めるところから、織って乾燥させるまで、およそ40の工程があり、ほとんどの工房で一貫して製作しています。 今回は福岡県久留米市にある松枝さんの工房にお邪魔して、40工程の中から藍染、えいとかき?(絵糸書き)くだまき?(管巻き)、手織りを実演して頂きました。
染をやっています。 叩いて糸束全体を膨らませて染が均一になるようにします。 次に染めます。 又叩きます。 この作業を40から50回します。 薄いかめから行います。(均一に染める為) 1つのかめに400から500リッター入っています。 液体の元は木の灰に熱湯をかけてうわずみだけを取ったアク(アルカリ性の液体)に徳島産のすくも(藍の葉を発酵、熟成させた染料)を入れて発酵させます。 藍がめの世話が色を綺麗に出すコツがあります。 発酵の状態を如何に管理できるか。 日本酒、水あめ、貝灰(貝を焼いた粉)などでアルカリ分の調整をします。 叩く時の力加減は音で記憶しています。
すすぎ、藍をたてる時の水は全部地下水を使います。 しっかりすすぐことが大事になってきます。(色褪せしない。) 絵糸?、(糸のキャンバスのようなものです。)を作っている作業。 絵糸?自体も作る作業があります。 絵台?を用途に合わせて使っています。 30~6本の糸を一本の管?に巻き取っていく工程があります。 巻いた管の糸を機織りにします。 2本人組になっていてを交互に上下させることで糸を間に挟んできます。 踏み替えを足でやっています。 7歳の頃の織り機をいじったことがあります。
縦糸には模様が入っていて、そこにくくられた横糸が入ることで模様に深みがでます。 まずデザインして絵糸?と言われるものに写して、糸の本数などを計算して、仕込みをして、糸をくくることでそこが白く残ります。 糸を染めて織って行きます。 日本三大絣の一つと言われています。(伊予絣、備後絣、久留米絣) 久留米絣の中でも模様の小さなものから大きなものまで分かれています。
(工程などがよくわからないので多少違っているところがあるかもしれません。)
最終的には家業を継ぐから自由にしていいと父から言われて大学に行き、就職をして3年間務めてていました。 コロナ禍であったので、父と病室からビデオ通話でいろいろ指示して貰ったり判らないことを教えてもらいました。 不安はありました。 4か月間ぐらいの間にいろいろ教えてもらいました。 父が亡くなって母と共にやってきました。 2023年7月に豪雨災害で土砂が工房に入りました。(半壊 藍かめも泥が入る。 織り機も水没) 市とかから専門家、 友人知人が延べ100人以上来てくれました。 そういったかたがたのサポートで今ここまで来ました。 かめは4mぐらいの深さがあり、水をどんどん入れて反対側では掻きだして、中を綺麗に洗浄しました。 古い道具では150年近くのものもありましたが、綺麗に洗浄して使っています。 最初の2か月で工房の中の清掃は終わりました。 道具の入れ替えなどもあり6か月かかりました。 色々勉強させられた6か月間でした。
地元の小学生3年生には藍染、6年生にはデザインから手織りまで教えています。 未来塾という未来のリーダー育成の授業がありますが、見学と体験を受け入れました。(中学生) 久留米市ではうち一軒になってしまっています。 他の市ではまだ残っています。 久留米絣は国の重要無形文化財に指定されています。 保存会があります。 光の表現をずっと追い求めてきていて、久留米絣は藍地に白の輝く絣で、その特徴を生かして自分なりの光を追い求めていきたい。 8年の研修を終えると重要無形文化財の技術保持者会の会員になります。 今研修生は僕一人になっています。 会員は30代ではいま3,4人がいます。 妻は子供たちが保育園に行っている間は手伝ってくれています。
日本に限らず久留米絣を世界中に発信していけたらいいなあと思っています。 本当にいいものを作って行かないと、着る人、買って下さる方に思いが届かないと思うので、いいものを作り続けることが一番大事だと思います。 藍の美しさを如何に引き出すかという事もポイントかと思います。 日々の藍の管理、染の作業、藍にの力を目いっぱい引き出せるように、やって行くことが大事かと思います。 手仕事、天然の藍にこだわってやっていくことを大事にしています。