渡辺俊幸(作曲家・音楽プロデューサー) ・「新たな音楽の道、オペラに託して」
渡辺俊幸さん(70歳)は大河ドラマ「利家とまつ」「毛利元就」など多くのドラマ音楽や映画音楽、アニメ音楽などを手掛けてこられましたが、4年前からオペラの作曲に挑戦し始めました。その3回目となるオペラの公演が来月に控えています。 学生の頃にバンドのドラム、キーボード担当してデビューした渡辺さんが、作曲の道に入り今新たな音楽への探求として、オペラに挑戦しようと思ったのは何故か、シンガーソングライターのさだまさしさんとの出会い、そして作曲家である父渡辺宙明さんとの関係などについて伺いました。
今回のオペラは三浦環さんを題材にした作品です。 三浦さんは明治17年生まれで、ヨーロッパ、アメリカ、日本を含めて延べ2000回以上ジャコモ・プッチーニの作曲した「蝶々夫人」の主役を務めて、偉大なる歌手、偉大なるオペラシンガーです。 明治時代に世界で活躍できた超天才だったんだろうなあと思います。 東京音楽大学で助教授迄なって、その後にヨーロッパに渡って、プリマドンナとして活躍した人です。
渡邊さんは大学に入学と同時にフォークグループ「赤い鳥」のドラマー、キーボード担当としてプロ活動を開始します。 その後さだまさしさんの「グレープ」をサポートしつつ、ソロになったさだまさしさんの専属音楽プロデューサー、編曲家を務めてきました。 1979年にはアメリカに留学し、バークリー音楽大学でクラシック、ジャズの最新の作曲、編曲技法を学びます。 帰国してから様々な音楽の作曲を手掛けるようになります。
小学校4年生ぐらいからドラマーになりたくてドラムの練習を始めました。 高校生ぐらいから作品の編曲にも興味が出て来ました。 「赤い鳥」に入った時に活動しながら、キーボードを弾きながら編曲したほうが自分にふさわしいのではないかと考えが変わって来ました。演奏の部分は転換していきました。 自分のやりたい音楽はハードなロックよりもおしゃれなハーモニーを使ったポップスをやりたいと言う指向になっていきました。 自然にドラムには興味を持たなくなった。
「赤い鳥」が解散して、サポートミュージシャンをやろうと思って、バンドを作ってサポートをしていました。 「グレープ」の解散コンサートでご一緒することになりました。 さだまさしさんから解散後に一緒にやらないかと声がかかりました。 彼の才能を考えると、絶対に一人でやった方がいいと薦めました。 ツアーなど4年間彼と一緒にやって来ました。 彼のトークは本当に人を喜ばせたいという思いから来ているんですね。 人を幸せにするという事は何よりも音楽の大切さなんだという事を私自身も考えて生きてきて、実践しているつもりです。
アメリカで「未知との遭遇」と言う映画を見て、音楽担当のジョン・ウイリアムスに魅了されて、管弦楽のスタイルの音楽を書けるようになりたいと思いました。 これをやるのには独学では難しいと思って、アメリカ留学を決意しました。(24歳) さだまさしさんとの出会いがあって今があると思っています。 バークリー音楽大学に留学しました。
そこにはボストン交響楽団があり、その時の音楽担当が小澤征爾さんでした。 ホテルに着いた日にテレビをつけたら小澤征爾さんが指揮をしていて、イブニングシンフォニーと言う番組でした。 翌日デパートに行ったらある女性が、見知らぬ僕にイブニングシンフォニーを見たかと問い合わせて来て、「昨日の小澤征爾は素晴らしかったですね。」と言うんです。 小澤征爾さんはこちらでも愛されている人なんだと、驚かされました。 クラシック音楽を聴いてみようという思いになりました。 その後小澤征爾さんの指揮によるボストン交響楽団の演奏を生で聞くという体験し、凄く感動をしました。 3年間、ジャズを含めてクラシック、映画のための作曲技法も勉強しました。
日本に戻って来て、1983年にロボットアニメ「銀河漂流バイファム」をやりました。 初めての体験なので、父に相談しました。 (2022年に92歳で亡くなる。) 父の仕事の内容には余り以前は興味を持っていませんでした。 父のやっていた劇中伴奏音楽をいざやってみると難しいので相談しました。 2018年に公開された劇場版「マジンガーZ / INFINITY」 父が作曲したものを私が編曲しました。 スピード感あふれるものにしたいと思いました。
*「マジンガーz」 作曲:渡辺宙明
*「マジンガーZ / INFINITY」」 作曲:渡辺宙明 編曲:渡辺俊幸
子供向けの映画の音楽を父が最初に手がけた時には、なんだ子供向けかと思ったそうですが、心血注いで作って偉大さを感じます。 父がやってきた音楽人生は素晴らしかったし、私とは全く違った音楽の世界観でしたが、人の心を打つ作品はどういったものか、考えてきちっと実を結ばせたと思います。
オペラの作品を書き上げるのには、物凄く重労働で、時間が掛かります。 台本のセリフ全部にメロディーをつけなければいけない。 セリフがおかしくない様なイントネーションになりながら旋律を考えないといけない。 劇中伴奏音楽は監督の要求あって、それに答えようとするものですが、オペラは作曲家のもので、自由に作曲できる。 それが大きい魅力です。