2021年5月31日月曜日

今森光彦(写真家・切り絵作家)     ・【オーレリアンの丘から四季便り】

今森光彦(写真家・切り絵作家)     ・【オーレリアンの丘から四季便り】 

滋賀県大津市、琵琶湖をのぞむ田園風景の中にアトリエを構えて、里山環境を取り戻すために活動しています。  今年の春から初夏のオーレリアンの様子について、伺いました。

オーレリアンの庭とか土手にフキノトウが咲きます。  それが春が来たという印です。  いろんな背丈の低い花が咲き始めます。   仏の座という綺麗なピンク色の花がありますが、一杯咲きます。  たんぽぽがだんだん咲いてきて土手全体に広がっていきます。  草の葉っぱが出てくるので土手、あぜ道が緑色になります。   このころ田起こしがあり、土を撹拌する農作業が始まります。   そのあと水が入り苗が植えられます。

今は木の葉っぱが新緑で、木の花がちょこちょこ咲いています。   ガマズミ、ウツギなど白い花、キバナウツギが黄色い花が咲きます。  アゲハチョウそれからキマダラヒカゲ、ヒカゲチョウ、クロヒカゲなどがだんだん出てきます。

「光の田園を歩こう」というイベントを開催しました。   東西に繋がる棚田があり、谷があり、そこが好きで光の田園と名付けて写真を撮ったりしてきました。   アトリエもそこに沿ったところにあります。   棚田がうねっていて昔の風景が残っています。  ここを歩くことを年に2回開催(新緑のころ、秋)しています。   中学生から高齢まで全部で70人ぐらいです。(コロナで人数を制限)    今回は田んぼの真っただ中を歩きました。  シュレーゲルアオガエル、アマガエルなどがずーっと鳴いています。  あぜ道には初夏の花が咲いています。      五感を駆使して環境を受け止めています。  感性に栄養を与えます。

去年、梅の木をたくさん植えました。  高さ30~40cmぐらいのものです。   周辺の雑草を刈るのを年に数回ありますが、そろそろ1回目をやる時期です。  周辺を手で刈って、そのあとに草刈り機で刈っていきます。(幼木を刈ってしまわないように)    木は成長に時間がかかるので、枝ぶりとか考えてかなり計画的に行います。    思い入れのある木はエノキという木で、エノキだけしか食べないチョウチョがいて、オオムラサキ、ゴマダラチョウ、ヒオドシチョウ、テングチョウはエノキしか食べない。  里山のチョウチョでエノキが減っていって、これらのチョウチョが激減しました。  大津でも一時期ほとんど見られなくなりました。    タマムシもエノキが大好きです。   虫がたくさん集まるので嫌がられるのと、開発によって、どんどんエノキがなくなりました。

見えなかったが、竹藪を伐採る中で樹齢150年もするエノキが出てきました。   もうそれから5,6年たちましたが、樹形がよくなってきました。  去年はタマムシがたくさん見られました。   

2019年7月「丘のうえのいっぽんの木に」という切り絵の絵本を出版、エノキが主人公の絵本。   思い切って黒紙の切り絵にしました。  文章も自分で書きました。

エノキの発見箇所から20mぐらいのところには山桜あり、変な形をしていました。    こちらも樹齢150年以上のものでした。  今年ようやく花が咲きました。  多分昔、農家の人の田植えの時期の目印にしていたと思います。   

里山では、みんなで生きているという事が必ずしも助け合って生きているというイメージではなく、それぞれが自立している、自分を一生懸命生きている。  自分が一生懸命生きていることが他者に影響を及ぼして、全体を成長させることになる。  植物たち、生き物たちみんなそうしている。  その中に当然人も含まれるわけです。  農家の人もそうで、田畑を耕して米、野菜などを収穫することによって、それが結果的に生き物にとってもいいんです。  里山を見ていると「、みんなで生きている」という事を強く感じます。

人に遊び場を提供してくれるような包容力にある農地を目指している、そんな感じです。 農薬は一切使わない。   自然を学ぶという事はありとあらゆることの基本という気がします。   日本人はどこから自然を学べばいいのか、そういった場所がなくなり危惧しています。  人に会えないコロナ禍であるからこそ里山に出かけて欲しいです、自然に親しんでほしいです。