2021年4月12日月曜日

梶原有里(梶原悠未選手の母)     ・【アスリート誕生物語】自転車競技東京五輪代表

梶原有里(梶原悠未選手の母)    ・【アスリート誕生物語】自転車競技東京五輪代表 

自転車競技オムニアムで日本人初の金メダルを狙う、梶原悠未さんのお母さんに話を伺います。   オムニアムとは4つのレースを組み合わせた自転車競技です。  一斉にスタートし、着順を競うスクラッチ、周回ごとに先頭の選手にポイントが与えられるテンポレース、2週ごとに最下位の選手が脱落して最後まで残った二人がラストの一周のレースで勝敗をエリミネーーション、ポイントごとの着順で点数が加算されてゆくポイントレース、この4つのレースを一日のうちにおこなって順位を決めるという自転車競技です。

私は今、食事作りの栄養面を含めた生活全般のサポートとオートバイで練習についていったりメンタルをサポートしたり、疲労回復のためにマッサージをしたり、取材などのマネージメントをしています。  国内遠征の移動時に車で悠未を連れて行ったり、ホテルの手配、チームの打ち合わせなどのサポートしています。

オリンピックが伊豆の会場で行われることが決定して、伊豆に集結するようにとの通達がありました。  オリンピックの延期が示唆されて、3月ごろが一番気持ちが不安定になっていました。   決まると一日で気持ちを切り替えていました。  毎日ポジティブな言葉をかけるようにしていました。  あと4か月で調整しきれるというところまで来ていました。  2020年3月に世界チャンピオンになって、そのまま行われるオリンピックに最高潮に持ってゆく自信がありましたし、覚悟もありましたが、延期が示唆されたときにはどう調整すればいいのか、どうその気持ちを持ってゆくのか、凄く悩みましたし、いっぱい話し合いました。   競技をもっと楽しもうという風に切り替えました。   延期については一切言わないと決めていました。  「強くなる時間ができたね」と悠未が発した言葉に私も共感しました。  ネガティブなことは一切言いませんでした。

悠未は筑波大の大学院生です。  サイクリング部があり競技班という形で自転車競技を行う子が集まっていました。    サポートは親でもできるかなと思っていました。   自分で勉強したい学校はどこなのか問いかけていたら、それが筑波大学の体育専門学部でした。  知識を得るという事が人間にとって一番大事だと思っていました。   

自転車競技は高校生から始めました。   水泳はゼロ歳から始めました。  水泳は体力もつけることが出来ると思いました。   経験が大事だと思っていて、習字、ピアノ、ダンス、などをやっていました。   習字は集中力を高める事と、綺麗な字を書くことが狙いで、ピアノではリズム感を養う事、大人との会話の練習、ダンスは2,3歳からやっていてリズム感を養うだけではなくて、私にいつもくっついていたので私から離れる練習、舞台に立って多くの人の前での度胸を狙いとしていました。   

小学校4年生から全国大会に出場していました。  2008年5年生の時にオリンピックで北島康介選手の姿を見てオリンピックに出場したいといいました。   ノートに「オリンピック出場」という言葉を何ページにも書いていました。   水泳に関する自分のやるべきことなども書き入れていました。   将来はどんな仕事に就きたいのか、どんなことをしていたいのか常に話しかけていたので、こういう気持ちが芽生えてきたと思います。   

頭の中にこういう方向へという思いがあって、それとなくワードを入れて、筑波大学に入るというのも私の作戦でした。    文武両道の子でした。  スポーツに関しては一切言わない親でした、練習が楽しめなかったらスポーツは続かないと思っていたので。   結果を褒めるのではなくて、結果までの過程を褒める様にしていました。   褒められるからやろうという感じは芽生えてきました。

学びは精神的にも肉体的にも人を大きくしてくれるという風に感じています。  オムニアムは体力も頭脳も厳しい競技だと思います。   自転車競技に出会えたことに感謝しています。   中学3年生の県大会で全国大会への出場を2/100秒で逃しました。  それがきっかけで水泳を辞めることになりました。  神様が何か伝えているのかもしれないよと伝えました。   進学先の高校のパンフレットに自転車競技部があり関東大会出場と書いてあり、自転車競技でもやってみたらと言ってみました。  高校では自転車競技部に入ることになりました。  高校選抜で3種目優勝して、オリンピックという事が少し見えてきました。   

今も前向きな声掛けは毎日しています。   苦しいというような声を聴くとポジティブな言葉、「強くなっているね」とか、「いい練習できているね」と声掛けをしています。   食べ物の好き嫌いはないです。  ちいさいころから気を付けて毎日食事を作っていました。  練習後30分以内に食事をとるようにしています。 疲労回復を促進するためにいいという事です。  薄味と野菜を数多く取るという事が私のポイントです。

トップアスリートになれたのは考える力、努力し続ける勇気と、自分の身体を限界まで追い込める精神力だと思います。  夢は東京五輪で金メダルを取ることと、自転車競技の魅力を伝えたいと言っていました。