2021年3月31日水曜日

庄子ヤウ子(ぬいぐるみ工房代表)     ・ふるさとの空と今をつなぐテディベア

庄子ヤウ子(ぬいぐるみ工房代表)     ・ふるさとの空と今をつなぐテディベア

東日本大震災が引き起こした福島第一原子力発電所の事故から10年が経ちました。  庄子さんは被害が大きかった福島県大熊町出身で現在73歳。  原発事故の後会津若松市に避難しました。  新しい土地で生活を立て直し自立するために、会津木綿などで布小物を作る工房を設立しました。  そこで生み出したオリジナルのテディベアは「會空(あいくう)」と名付けられ、国内はもとより海外でも注目され人気商品となりました。 

今年は3月11日その時間に取材を受けていました。   当日は避難の気持ちとか不安だらけの状態でした。  揺れが収まってから梨畑に逃げました。 地割れが無いと思って。   防災無線で津波が心配だという事で、スポーツセンターに避難するように指示があり、行ったが誘導する人も誰もいなかったので、駅前の娘の家に行って一晩過ごして、翌日東電から非難するように言われたが放射能のことは知らされていませんでした。  田村市の体育館にいって2晩過ごしました。   情報が入ってきませんでした。 その後西へ移動という事で2000人ぐらい収容できるところに4月3日までいました。  そこではTVも見られたので津波、原発のことなどがわかりました。  もう大熊には帰れないと愕然としました。   その後民宿とかに割り当てられ、民宿に入り、その後仮設住宅が建てられ割り振られました。(6月26日)   現在、仮設住宅から1kmぐらい離れたところに住む事になりました。  元の家は中間貯蔵所の土地として売却しました。 虚しいです。

仮設にいるときに、物つくりしないかと誘われて、仲間4人とスタートしました。 「會空(あいくう)」という名前にしました。  最初は内職の仕事から始めました。  オリジナルを作ろうという事になって、熊をモデルにしようという事になりました。  デザインは色々苦労をして出来上がっていきました。  自立という事をイメージして、立たせられるようにしました。  会津木綿の良さを伝えつつという事で会津木綿を使っています。

2012年に立ち上がって、ネット販売を含め、大分広がってきました。  2014年パリに繋がりました。  50体作りました。  世界最高峰のインテリア・デザインの総合見本市「メゾン・エ・オブジェ」の福島県ブースに「會空」は県のマスコットとして並べられた。  奇跡だと思いました。   パリの舞台で「とにかく可愛らしい、ストーリーが見える」という理由から、出展した中でもダントツの高評価を得ました。  もう作ったものは1万個以上になると思います。   基本的にはスタート時の4人でやっています。  営業関係はパソコンを使ったりして、娘にやってもらっています。

東日本大震災の語り部活動を並行してやっています。  「會空」は相棒です。  「生き直し」という事で会津若松でやっています。  仕事をするという事は社会とつながるということだと思います。  このようにやっていける原動力は悔しいからです。  私たちは何にも悪いことをやっていなかった日常がありましたが、信じられない事があって悔しいわけです。  物つくりで支えられていると思います。   明日があれば生きていけるし、明日があれば何かをやらなければいけない、黙っていたら何も起こらないという事です。 私たちがやろうと言い始めたときに、みなさんからいろんな手を差し伸べてもらいました。皆さんの助けがあって「會空」が出来上がったので、感謝の気持ちでいっぱいです。