2021年3月24日水曜日

湯浅浩史(一般財団法人 理事長・所長) ・【心に花を咲かせて】不思議な植物を世界に訪ねて思うこと

 湯浅浩史(一般財団法人 理事長・所長) ・【心に花を咲かせて】不思議な植物を世界に訪ねて思うこと

マダカスカルなど世界の植物の生態を研究している湯浅さんは、植物を尋ねて世界中を旅しています。  訪れた国は60か国を越えるそうですが、そこでどんな植物と出会ったんでしょうか。   そうした植物を見つめていると様々なことが見えてきて、それは私たちの未来へのメッセシージでもあるとおっしゃいます。   珍しい植物の話、そして植物から見えてくるものについてお聞きします。

昨年1月~2月、チリとボリビアに行きました。  チリはそこにしかないサボテンを見に行きました。  サボテンはカナダからチリの南の方まで広く分布して、地域によって種類が違います。  チリのコピアポアというところの中心に俗名コピアポアというサボテンがあります。    小さくて親指ぐらいから一抱えもあるものがあり、変わっているのがあり一斉に北を向いていて日本では国王丸といって、肌は白くてとげが黒いんです。  ボリビアではウユニ湖という3000mぐらいのところに塩の湖があります。  そこにサボテンが生えています。  インカワシという島があり、世界一ハシラサボテンが密集しているところです。  塩に強いサボテンです。  

海外へは60か国を越えています。   食虫植物のウツボカズラの最も大きいのはボルネオのキナバル山の中腹で見ました。  長さが30cm、中にたまっている量が2Lを越えています、ほとんど雨水でしたが。   日本では握りこぶしぐらいですね。  時にはネズミが堕ちておぼれ死んで栄養にされるという話も聞きました。   花でおおきいのだとラフレシアでしょうか、1980年頃にスマトラで見ましたが、直径が1mぐらいでしょうか。 寄生植物で花だけで葉、茎もありません。  夜開いていって音がするそうです。  臭いにおいを発してハエを呼んで、この花の花粉を運びます。   大阪万博の時に現地で許可を貰って取りに行って、日本に運んできて展示しました。  

生まれが神戸で2歳の時にソテツを見て吃驚しました。  ディズニーの映画「砂漠は生きている」見てびっくり仰天しました。  特にサボテンが一雨降ったら一斉に赤や黄色の花を見事に咲かせてくれるシーンを見て心にグサッときました。   日本にも乾燥に強い植物があることを知ってマンネンソウ、ベンケイソウ、キリンソウだとかを栽培しました。  後に私のドクター論文の元になっています。  乾燥しているのになぜ生きられるのかという謎からスタートしました。  段々海外の植物にも興味が湧いて来ました。   マダカスカルに初めて行ったときにバオバブを見て、乾季が8か月も続く中でなんでこんなに大きいんだろうと思いました。   植物は温度が低いと呼吸が止まるが、温度が高いと呼吸をしてエネルギーを使う、マダカスカルでは乾季には葉っぱを落としたりするが、そんな時でも30度ぐらいになる。  何故巨体が維持できるのか、幹を一皮剥くと葉緑素を持っている。  呼吸に伴うエネルギーぐらいの光合成はやっているという事が判りました。  サバンナの木は樹皮の下に大概葉緑素を持っています。   オーストラリアの先住民は水筒代わりにバオバブの枝をしゃぶって水分を賄うそうです。  オーストラリアの北西部では最近バオバブの種を植えて、まず根が太りますので、その根を野菜として食べています。 

メキシコの湿地で生える杉があり、凹凸のある周囲が58mというのがあり、高さが20数mあります。   アメリカのヒューストンでも同様なものがありました。  アフリカではバオバブがすべて傷んでいますが、原因は像です。   国立公園で移動が妨げられて、巨体を保つためにはバオバブの水分で補給するわけです。   

バンバラビーンという豆がありますが、乾燥地で出来ます。   砂地の中にさやがあり、一粒で栄養価のバランスが取れています。  一番豆の中で栄養価が高いのが大豆です。  バンバラビーンはカメルーン、ナイジェリアなどで多く栽培しています。  イクラを食べるような感じでプチプチしています。   

一般的に実から油を取りますが、コパイフェラは幹から油を取ります。 重油のようなドロッとしたものが出てきて、殺菌作用があり薬用としても使われます。  精製して車の燃料にもなります。 乾燥地に植林すればいざという時に役に立つと思いますが。   サボテンも食べられています。

ハシラサボテンの実をジャムを作ったり、発酵させてワインみたいなお酒を造ったりお菓子を作ったりしています。   サボテンは元々は木で変化していきました。  枯れてしまったものは幹は材木のようにして使っています。  

世界を回って気が付いたことは、、バオバブとか次の世代が育っていないんです。 若木ですらなくなってきていて非常に深刻な問題だと思います。  世界中で乾燥化が進んでいます。  バランスが崩れることが乾燥地ほどひどいです。   親は一生懸命種を作っても、生えられるだけの水分が無い、たとえ生えたとしても大量に雨が降らないと、次の世代が育たない。  現在の乾燥地の乾燥化はさらに進んでいるので次世代が育っていないと思います。  今は偏りがあり乾燥地はさらに乾燥化して雨が降る所はさらに雨が降るとか、バランスが崩れつつあると思います。   森を増やしていかないと大変なことになると思います。  ベネズエラあたりは悲惨な状況です。