2014年12月17日水曜日

佐藤芳之(食品会社社長)       ・ビジネスでアフリカを豊かに(2)

佐藤芳之(食品会社社長)          ・ビジネスでアフリカを豊かに(2)
アフリカに渡って50年以上が過ぎる。
日本とアフリカの文化の違いを表す言葉として、「言葉は風」と著作本にあるが、どういう意味か?
言葉は空気 昨日言った言葉はもういまどこにもない。  
今話している言葉が本当なんだと言われた。  彼等は嘘が巧い。
武士に二言は無いというのと正反対。
書面契約がお互いの縛りになるので、言葉は縛られない。
ここはビジネスでは嘘を嘘ととらえないような姿勢が必要。
私としては自然に入れた。

私が雇った運転手には兄弟が50人近くいる。 母親は3人 一夫多妻制。
日本では考えられない様な兄弟が沢山いたりする。
会社でごみを掃除しないで、移動したりするだけとか、意表を突かれるような違いはあったが、こうやったほうがいいと言ったり、やったりしているうちに、すこしづつ変わってゆく。
共有体験、共有感覚を持ってものをやるんだという事、これは物凄く当たり前のこと、東北に暮らしたものとしては。
工場の中も綺麗になり、会社も順調に大きくなった。
失敗もいろんなことがあったが、失敗を失敗として見てしまうとマイナスになるが、教訓として思えば、いいと思う。
一番駄目だったのは、ブラジルで大きな農園があり、そこと共同で新会社を作ってやろうとしたが、ものの見事に現地の人に誤魔化された。
ギャング団が襲ってきて、やむなく引き揚げたが、後で判ったが襲ったリーダーが警察の署長がリーダーと成ってそこを取ってしまって、マカダミアナッツ産業を始めた。(1990年代)

不在地主的な、そこに住みこまないで利益を上げると言う様な事は、すごく甘い考えだと思った。
投資してそこで何かやろうとする時に、当事者が10年、20年住みこんでやらないとうまくいかないと思う。
お金だけの投資で、お金がお金を生む様な、人間がやる事業に投資した場合に、当事者がいなくて、外からどうだと言っているようでは、日々の空気が読めない、日々どんなことをやっているのか、判らないようでは投資をしてはいけないと、失敗から学んだ。
内部充実を図ると言うやり方にした。
生産部門に力を入れて、農場をつぎつぎに買っていった、500エーカー、1000エーカーの農場を9か所ぐらい買った。
品質の安定化につながってゆく。
必要なところ以外機械化はまだしていない。
働き手がいっぱいいるので、出来るだけ多くの人が生活の場にしている、雇用機会をつくりだすという社会的義務があると思う。
その国に合ったスタイルで会社を経営していく事が絶対必要だと思う。
4000人以上の社員、外からの農民5万人が契約している。
1家で10人養っているとすると50万人になる。
毎年2500人の子供達に教育費を出してました。 5年間やった。

2008年 68歳の時にほぼ全ての株券をケニヤのかたに手渡して会社を去る。
やることは全部やったし、他のこともやりたいと言う気持ちになった。
迷いとか何にもなかった。
送別会もやらなかったので、まだ帰ってくるのではないかと思っているかもしれない。
未練もなく消えてゆくのが良いと思った。
ちょっと惜しいなあと(30億円はあると思うが)思う事もあるが、かみさんは元気だからいいんじゃないと言ってくれる。
自分が必要ならいるが、必要でなかったら去る、惜しまれて去る、これいいんじゃないと思う。
入り方よりも去り方ですね。

今はルワンダで新たなビジネスをしている。
100日間で80万人が殺された。 部族対立
素晴らしく美しい国だったが、なんか悲しかった。
死んだ人の悔しい思いがある様な沈んだような感じ、でも再起して行こうとするエネルギーがあった。
ここで仕事をしてみようと思った時に、スラムに行った時に臭かったので、トイレを綺麗にすると言う浄化運動を2年間、市と一緒にやったのが始まりでチャンスが見えてきた。
微生物の働きでにおいを取ったり汚物を分解する。
穴を掘ってそこにしてゆくので、非衛生的なので、ハエが出たり、蚊が出たり、臭いがしたりして。
ナッツで有機栽培をしていたので、肥料を作る資材が環境にもいいという事で、トイレにも使って見たら臭いが無くなるし、水がきれいになるし、公共衛生という観点からの仕事を展開しています。
15,6年経てば採算の取れるいい仕事になると思います。
歩き続ければ大丈夫。

日本にアフリカから来てみると、完成度の高い国だと思うが、こちらから見るとアフリカはこれから行きたい未来だなという感じ。
日本の中に欠けている良さ、喜びがいっぱいあると思う。
一分、二分の単位ではなくて、一時間単位の様な時間 精密時計と日時計の様な時間。
リラックスした違った次元の自然の美があり、違った次元の時間の流れがあって、違った次元の喜び、楽しみがあるんだという事を、もう一つ心を開いて見えるのでは無いかと思う。
行ったり来たりの中から、狭い地球にいるので、地球のいろんなところのいろんな良さを体験、経験したいなあと思います。
面白いのは、ゼロから始める喜び、新しいところを開拓してゆくという感じ。
あと何時去るか、いい気持ちで去るかという事、そういうのを繰り返している。

マンデラ大統領が言った言葉
「自由への道は単なる政治的な民主化で終わることなく、万人が参画する人間中心の社会の建設を目指して継続する。
その過程での試行錯誤を通して社会全体のヒューマニティーを高めて行けばよい。
人は他人のために行動を起こした時こそ、本当の人間になれるのである。」
本当に尊敬しています。  こうなりたいと思っています。