2018年3月2日金曜日

岩出雅之(帝京大学ラグビー部監督)     ・あきらめない心

岩出雅之(帝京大学ラグビー部監督)     ・あきらめない心
今年1月7日に東京の秩父宮ラグビー場で行われた、第54回全国大学ラグビーフットボール選手権大会の決勝で帝京大学は明治大学を21-20で破り、前人未到の9連覇を達成しました。
その帝京大学の監督岩出さんは1958年に和歌山県新宮市生まれの60歳、高校2年の夏にラグビーを始めますが、監督、コーチもいない、しかも少ない部員と言う環境の中で、チームメイト全員で力を合せ、翌年には県大会で優勝します。
互いに信頼し合い優勝という目標に向かう中で、選手の人間としての成長がチームの勝利につながることを知ったと云う岩出監督に教育者としての原点を伺いました。

9連覇に向かえる事が幸せなことなので、いい刺激に捉えるようにしています。
良いプロセスをしっかり高めていこうとしてきたので、それほどプレッシャーは感じていません。
第54回全国大学ラグビーフットボール選手権大会の決勝で、明治大学がリードで前半を終える。
後半明治大学の20-7 15分で14-20に、その後21-20と再逆転で勝利する。
人間は完ぺきではないので負けてしまうこともあるし、ただ学生が自分自身を見つめて成長させてゆくことに関わっていて楽しかったし、その延長で臨んだ試合だったので、信頼しきって彼らの力を出し切ることに、させて貰う様な存在だったと思います。

新宮高校を卒業後日本体育大学に入学、3年生の時に日本一を経験、滋賀県の職員として勤務して、八幡工業高校を7連覇、全国への県代表に導き、帝京大学の監督に就任、9連覇達成。
父が建設会社を経営していて、飲食の店もやっていて家族も手伝っていました。
中学は野球をやったが背番号を貰えませんでした。
友達に誘われてラブビー部に入りましたが、腰を痛めて足を引きずるようなことになって辞めました。
足が治ってから復帰し、タックルを褒めてもらいました。
3年生の時に練習試合が1回しかなかったが、人もあまりいない中、結果的には県で優勝することができました。
一生懸命やることの大切さ、自分たちでやる事の自主性を学んだ1年間だったと思います。
県代表として天理高校と対戦するが完敗でした。

お互いが少しずつ自信を作り上げ、信頼を作り上げる関係性と、体力が付いたり、ラグビーのイメージが持てたとか、ひとつずつ結果が出てきたので、自立すると云うことを学んだラグビー部の活動でした。
日体大に進んで3年生の時に全日本大学選手権で日本一を経験、キャプテンをして、全日本代表の選手にもなる。
大学では縦社会の関係なので自分自身をいかに奮いたたせてゆくか、惰性になると飲み込まれてしまうものがいっぱいあったし、精神的に鍛えられた時代だったと思います。
故郷で培ったもの、温暖の地での大自然のエネルギーを一杯いただいて、自主性を上手く引きだしてくれる新宮高校の校風だったので、しっかりと授かってきたエネルギーを立ち向かうエネルギーに上手くきりかえることができたのではないかと思います。

滋賀県の職員としてゆくが、高校で採用されて監督へと言う思いもあったが、そうはならずにもやもやした時もありました。(公園勤務、中学の教員)
色々な人との出会いがあり、教員のイロハを教えていただきました。
それらが今に大きな基礎を作ってもらったと思っています。
中学生を指導するなかで、やんちゃな子がいても綺麗に掃除が行き届いている教室は落ち着いている。
自分自身の心の中と外からの環境が上手く繋がっていると言うことを、直接的に学ばせて頂いたので、掃除をすればみんなは成長すると言うことが、何故かと云う理由を明示できないが、帝京大学ではそういうことがとても大切で下級生を巧く導いてゆく為の要素として、昔より今は理屈を学生たちにも説明できて学生たちも理解してより利用していける様には成って来ていると思います。
好循環で学生たちは育っているので、その中でもっとよりよくして行くためには何が必要かと言うことを学生たちに問いかけるぐらいで、すこしずつ僕が直接かかわる事を少なくして行ってます。
意志と行動と継続する、この3つをどう動かすか、人から作ってもらうのでは無く自分で作る。
元気いっぱいのエネルギーを持ち、合せられる、エネルギーを作れる力を学生スポーツの中で彼らが自分を育ててくれれば、勝ち負け以上に大切なことがそこに入っているんじゃないかと思います。

その後八幡工業高校を7連覇、全国への県代表に導くことになります。
1996年帝京大学の監督に就任。
チャンスを与えてもらいました。
カギとなる方との出会いがあり、その人たちに感謝したいと思います。
2009年初優勝。
ラグビーは良い社会人を育てるためのいいツールだと思っています。
私も最初先ず勝ちたいと先走っていて、学生たちも空回りしてしまいます。
10年ぐらい前、幸せに繋がる活動をしなければいけないのかなあと思える時が有って、それからチームが少しずつ変わってきたと思います。
勝利だけではなく、学生達の成長、未来での活躍に繋がる様な成長を、力をつける期間に成るように僕の頭も整理できて今日があるのではないかと思います。
練習時間の見直し、学問的にも健康であることを証明してやる、食べ物も栄養素をきちんとする、合理的な運動、そういった守りを大事にする。
選手の素質としては10年前と変わらないと思いますけど、コーチングスタッフ、精神的環境、ハードの環境、カルチャーの部分、怪我を防ぐ、精神的な安定感をどう作れる、前向きに全力を出し切れるものをどう作れるか、考え方のメソードが年々高まって来ているように思えます。

体育会の縦関係、以前はきっちりしていたが、縦関係の逆転、常識の転換、マネージメントのいくつかを僕なりに整理して本にまとめました。
他人の意志でやるのではなくて、自分のイメージと意志でやれる環境は作っています。
楽しむと云うことをテーマにしてきました。
中身をより充実させて実行できる力を身につけながら、10連覇できるように頑張っていきたいと思います。