2018年3月24日土曜日

福田靖(脚本家)             ・脚本から開けた人生

福田靖(脚本家)             ・脚本から開けた人生
大河ドラマ「龍馬伝」や今年秋の連続TV小説「まんぷく」の脚本を手掛けています。
故郷山口から脚本家を目指すまでの紆余曲折の人生を語っていただきました。
1962年山口県徳山市出身、演劇の分野に身を置いていたが、33歳の時に脚本家としてデビュー、2001年木村拓哉さん主演のTVドラマ「HERO」で一躍福田さんの名が知られるようになりました。
そのほか「海猿」「ガリレオ」共にシリーズ化され、映画化されるほど、数多くのヒットドラマを書いて来ました。
NHKでは2010年大河ドラマ「龍馬伝」を執筆、秋の連続TV小説「まんぷく」の脚本を担当される予定です。

年に3,4回は山口に戻ります。(高齢の両親がいる)
小説家と脚本家は違う、小説は自分の想像力をはばたかせて自由に書けるかもしれませんが、脚本は設計図だと思っていて、大河ドラマなら45分できちんと終わらなければならない、時間が決まっています。
ロケ、スタジオで撮影なのか、予算は、撮影期間はとか様々な条件があってそれを全部クリアした上で面白いストーリーを作ると言う、それがぼくのいう設計図と云うものです。
プロデューサー、監督と常に話し合いながら続けていくので、僕はあくまでもストーリーを作り、セリフも全部書きますが、現場に入ってしまうと僕の所から離れてしまいます。
だから監督さんが納得するまで書きなおします。

山口県立徳山高等学校に入学し演劇部でのびのび楽しくやっていましたが、演劇部を出ると静かにしていました。
明治学院大学文学部仏文科に入りましたが、勉強せずアルバイトをしたりしていて中退しました。
どうしようかと思ったときに、演劇でもやってみようかなと思いました。
裏方として小さな劇場でやっていたら、受けてしまいました。(23歳)
その時に電撃が走り、これだと、これをやる為に僕は生きてきたんだと思いました。
演劇と脚本は同じだと思うかもしれませんが、僕の中では違います。
演劇では1円にもならないが、それはそれで楽しくて、そうしているうちに10年経ってしまいました。
ハッと気が付いたのは33歳でした。
僕のやっていた演劇をTV局の人が会場にいて、TVドラマの方が向いていると思ったそうです。
その方が飲み屋で面白かったという話が有り、そこにたまたま僕を知っている人がいて、会わせてもらうことになり、その方からTVドラマを書いてもらえませんかと言われました。

名刺を貰いましたが、しかしただの社交辞令だったようです。
その後、その人の担当の脚本がうまくいかなくて、だれかいないかと思って僕を思い出してくれて、電話をもらって行くことになりました。
書いて送ったら採用されてTVに放送されました。
土曜日の夜の1時半からの放送でした。
反響はなかったが自分の名前がTVに出て嬉しかった。
10年は無駄ではなかったことが嬉しかったし、お金がもらえることも嬉しかった。
それで脚本家になろうと思いました。
しかし脚本家としての代打役でした。
「HERO」も同じで脚本家の方が書けないということになり、探していて10何人目かに話が来ました。(38歳)
絶対降りないと思って頑張って書いたら、採用されました。
第2話から担当しました。
人間追いつめられるとできるんですね。
私以外にドラマでの周りは超一流の人ばかりでした。
芝居をやっていた10年間はアルバイトをずーっとやってきたが、その経験が作品には活かされていませんでした。

大河ドラマの話をいただいたときに全く想定外だった。
歴史のことなどあまり知りませんでしたが、しかし、頑張りますと答えました。
どんな人をやりたいかと言われたが判らなくて、龍馬をやりましょうと言われて、それが
「龍馬伝」の始まりです。
「竜馬がゆく」とは又違う「龍馬伝」をやることになりました。
主人公はだれにするかと云うことになり、ドラマ「ガリレオ」をやっていたので福山雅治さんではどうですかといって、福山さんに話したらOKと云うことになりました。
成長してゆく龍馬、岩崎弥太郎と対比で書くならば、書けると思いました。
自分の中からしか言葉は出てこないので、自分なりに咀嚼して納得するものだけが出てくるものなので、自分なりの考え方、価値観が当然出てくるものだとつくづく思い知らされました。

書くことは孤独な作業で、或る時書けなくなってしまって、僕が喋ることを妻にパソコンに入力してもらって、それがうまくいって、以後口述筆記になりました。
アシスタントを雇って口述筆記をするようになりました。
朝晩家で一緒に食べたり、普通の生活をするように心がけています。
観る人達と同じ目線にいないと駄目だと思います。
連続TV小説「まんぷく」は大変な仕事を引き受けてしまったと思います。
インスタントラーメンを開発した安藤さんの奥さん(福子)を主人公にしたもの。
一日が楽しくなるようなドラマにしたいとは思います。
資料は全然なくて、話を僕が作ります。