2012年3月19日月曜日

安部朱美(創作人形作家62歳)    ・人形に託した昭和家族の絆

 安部朱美(創作人形作家62歳)       人形に託した昭和家族の絆  
鳥取県米子市で創作人形を製作している 
全国巡回人形展は家族の物語を紡ぎ、大切にしてきた日本人の心と姿を伝えています
この展覧会は心貧しくても心豊かであった昭和の時代の四季の暮らしを30cm前後100体の人形に今失われつつある家族の絆を訴えています
7人家族で育った 大家族の中で、いたわりとか思いやりとか愛情いっぱいの中で育ちました
周りからの昭和時代の情報、写真等からイメージ作りをして人形を作った
「悔しい」というタイトルの人形を作ったがそれを見た30代の人が感動してくれた
「悔しいだろう 悲しいだろう 辛いだろうね でも大丈夫 乗り越えられるよ君ならきっと そして本当の強さ 優しさが判る人になってゆくんだよ
あの時があってよかったと思えるように成るさ ずーっと後になってから」 と言うメッセージを描いていた
お母さんと子供達 あ―っこれ私 と立ち止まって人形を見つめていた 
人形に自分の、家族を重ねて見る

「ちゃぶ台囲んで」 大家族がちっちゃいちゃぶ台を囲んでいるもの  
作る時の自分の燃焼度が有り過ぎるといけない 想いを伝えられない
毬突き ベーゴマ チャンバラ 馬跳び 縁台将棋・・・遊びの人形   
自分の子供時代の遊びの人形 こうだったなーとお互いに話し合う
こういうふうにして遊んだと言う事を話し合う 喧嘩をする中で学んだことは多いと思う  
我慢することを覚えたが、今は直ぐに爆発する
30年前ぐらいに図書館に行って紙粘土人形の本を手にして、人形を作りたいと思った
対人関係の躓きが有り ひたすら人形を作った 半年で解決した なにも言わなくても何とか解決できた  
人形作りが前に進む手段だった  
「福必ずしも福ならず 禍必ずしも禍ならず 禍転じて福となす」  
いつの間にか座右の銘になった

深く葛藤したから今がある  人形が解決してくれる その様な気になってきた 
人形を作ることは自分の内面を探る作業 自分の内面を見つめる作業なんだと思うようになった 5年目に個展を開く 次に25年目の時だった 集大成だと思ってやった 
孫たちとの時間を増やして孫とのつきあいをしようと思った  
宝鏡寺で50年応募展があり そこに応募 受賞した   
止めようと思った矢先に昭和をテーマにした人形を3年間だ100体を作ってほしいとの要請があった
100体は今までのペースで有れば10年間分に相当するので迷ったが引きうける事にする  
私に取って底辺を流れるテーマ(絆、和み・・・)であったように思う
不思議とプレッシャーは感じる事が無くイメージが次々に湧いて来て形になった
最近悲惨な事件が多くあり(子の虐待、子殺し、親殺し、理由なき殺人・・・) この社会情勢は何だろうと思った時に昭和の時代にヒントがあるのではないだろうかと思った 
   
谷川俊太郎さんが展示会場に来てくれて詩を捧げてくれた
絆  
「一人を一人に結び 一人を一人にからませ 時に一人と一人を縛る 
見えない運命の糸 人から人へ めぐり続けるエネルギー 愛し合うものを絆は結ぶ
憎み合う者を絆は結ぶ  見知らぬ者同士すら絆は結ぶ 一人では生きていけない 
私達の命綱」
奇縁 
「同じ土地に生まれ育ったと知るだけで 初対面でも微笑みが浮かぶ 
山と川と街並みと向こう三軒両隣と ささやかだがしなやかな絆で結ばれて、
人は緩やかに日が映えと溶け合っている」
 
大震災が起こり 絆をいわれる様になった  大変な思いをしている被災者が沢山いる 
価値観が少し変わってきたのかなと思う
忘れかけていたことを思い出させてくれた 
少しでもポッと心に灯ってくれるように人形を作って行きたい