けん・かい(NPO法人代表) ・外国人技能実習生のSOS
外国人労働者の保護に取り組む中国人のけん・かいさん。
去年4月外国人材の受け入れを拡大する新たな制度が始まり、人出不足が深刻な業種では労働力としての外国人への期待がますます高まっています。
一方で日本ではこれまで留学生や外国人技能実習生が実質的な労働力として働いていて、低賃金や不当な解雇、人権侵害などがたびたび指摘されてきました。
中国北京出身のけん・かいさん(61歳)は労働組合の職員として、こうした外国人労働者の問題に取り組み、岐阜県羽島市で賃金を支払われないまま解雇されたり劣悪な労働環境から逃げ出してしてきた外国人労働者を保護するNPOを運営しています。
外国人労働者をめぐる現場の実態やこうした問題が無くならない背景などについて伺いました。
この仕事は15年ぐらいやってきましたが、仕事中に怪我してからの治療について、損害賠償についての相談が多かったです。
次にパスポートを取り上げ在留カードをとりあげ、長時間低賃金、強制貯金、解雇、そういう相談があります。
シェルター、外国人技能実習生を保護する施設が4年前に設立しました。
268名ぐらいいました。
低賃金の給与は昔に比べれば上がっていましたが、昔は時給200円、基本給が5万円で、今相談に来た件では基本給8万円、残業代は時給300円~600円まででした。
3万円支払って5万円は強制貯金をさせられました。
私は昭和61年に留学生として来日して東洋大学で法律の勉強をして、大学卒業後日本の企業に就職しました。
大企業で働きましたが、嫌な思いは全然ありませんでした。
その後中華料理の店を開きました。
暴力、賃金の未払い、残業代の未払い、労災などで相談を受けました。
労働組合へ相談に行きました。
当時は低賃金が当たり前のようになっていて、団体交渉をやろうとしても経営者側が不法侵入という事で警察を呼んだりしました。
自分ができることで助けてあげようと思いました。
私の周りにはいい日本人がいて支えてくれました。
2010年に岐阜で労働組合の専従職員になりました。
そうなったのは研修生たちの口コミで相談が増えてきて店では対処できなくなりました。
関東地方での相談もありましたが、岐阜の方も多くて最終的には岐阜に行くことになりました。
元々農業、建設、水産加工などの職種で技術を学ぶことを目的に外国人に働いてもらうという制度だったが、実態的には労働力として働いていて制度と実態がかけ離れている。
技能実習生度では実習生としては原則として職場を変えることが認められていない。
平成27年に外国人が一時的に身を寄せる施設シェルターを運営するNPO法人を岐阜県羽島市に立ち上げました。
朝は一緒に体操をして、朝食を食べて病院へ連れて行ったり、問題点の解決のために会社に行ったり、ビザの更新に居たり、労働基準監督署に行ったりしてきました。
4年間で一番多いのが中国、次にカンボジア、ベトナム、フィリピンなどです。
みんな自分の問題を早く解決したいと思っています。
ここへは口コミで来ます。
石川県の実習生の相談を受けて、残業が平均的に127時間毎月あって、最後に連続2日間あって過労で倒れて、助けてほしいという事で迎えに行ったことがありました。
保護して時間が経過しているうちにいつの間にかいなくなってしまいました。
そういったケースも結構あります。
労災とか交渉が長引いたりすることもあり帰国したいという思いでいなくなってしまうものと思います。
そういったことに対して昔はつらかったが今は慣れました。
裏切られることがあっても周りで支えてくれる人がいるから続けられます。
企業側が利益を追求するので、赤字では存在できないので生き残るために労働者の権利を無視するとか要望を抑える。
人権侵害、賃金の未払い、労災などは企業が利益を追求する、生き残るための結果だと思います。
経営者のレベルのよっていいところもあればそうでないところもあるわけです。
実習生たちが文句を言えない原因はWi-Fiとか情報を遮断してしまうという様な方向になっています。
日本の労働力は足りないので外国人労働者は今後も入ってくると思います。
労働条件、安い労働条件を探すという考え方が日本の経営者たちの考え方が直っていないですね。
まだほかの国に比べて賃金は高い、自由度がない。
職場の変更とか、自由に来て自由に帰国できない。
日本の低賃金を止めてほしい、中国のほうが高くなる可能性もあるので、ほかの国に流出することもありうると思います。
この制度には穴がいっぱいあるので、職場の選択権利をきちんと労働者に与えて受け入れる方がいいので、新しい労働の制度を作るべきです。
外国人労働者が増えてきているので外国人との共存共栄、国際社会になっているので日本人として認識すべきだと思います。
グローバルな世界の考え方で外国人労働者たちの気持ちを引き受け手も一緒にやっていただきたいと思います。