2022年6月12日日曜日

西條奈加(小説家)           ・【私のがむしゃら時代】

 西條奈加(小説家)           ・【私のがむしゃら時代】

去年心淋し川』で第164回直木三十五賞を受賞した西條奈加さんは、1964年北海道池田町の生まれです。   2005年40歳の時に『金春屋ゴメス』で第17回日本ファンタジーノベル大賞大賞を受賞してデビュー以来、人情味あふれる時代小説を中心に、幅広いジャンルの作品を次々に発表、来月7月にはNHKのBS時代劇で、西條さんの人気シリーズ「善人長屋」の放送も始まります。   20代まで江戸の文化や歴史などにほとんど接する機会のない北海道で過ごした四条さんが小説家を目指し、時代小説を書き始めるまでにどんな出会いが、がむしゃら時代があったのか、人気作家となった今、どんな思いを込めて執筆しているのか伺いました。

デビュー以来17年目になります。  年に3,4作は出ています。   朝、7時から8時の間には机に向かい昼まで執筆して、締め切りが迫っていると午後も執筆します。  そうでない場合はメール、資料を読んだりしています。    

北海道池田町の出身でワインで有名な街です。  音更町で小、中、高校時代を過ごす。  小学校の卒業文集に作家になりたいと書いてありました。  小さいころから本が好きでした。  世界名作、童話とか読んでいました。   父からは高校以降は自立するように言われて頭の中に刷り込まれていました。    父は小さいころ両親を亡くして、歳の離れた姉に育てられましたが凄い貧乏だったようで、早くから自立の思いが芽生えたようです。   高校卒業で、就職試験を4つ受けてようやく製薬会社に入れました。  帯広支社に7年働きましたが、自立するための技術を身に付けようと東京英語専門学校に入りました。    翻訳を目指しましたが、難しいところもあり挫折しました。   自分で書いた方が早いと思って、それが書くようになったきっかけです。  

専門学校ではあらゆるジャンルの人が集まっていて、世界が広がった感じがしました。  歴史、時代小説が好きな人もいて、間口が広がった感じがします。  貿易会社など3社勤めました。   20代後半、30代前半で2本ほど短編小説を書きました。(現代もの)   余りに下手だと思ったのでその後書くのは辞めました。  

30代半ばになって最初に宮部さんの時代ものを読むようになって、時代小説をたくさん読むようになって、『金春屋ゴメス』では時代もののようにしたらと思いました。     読みたいものを書きたいという思いはありました。   NHKのBSで時代劇を毎日やっていて、それを毎日1年間ぐらいは観ていました。    古地図、資料などを読むようになりました。   『金春屋ゴメス』の執筆は正味2か月半ぐらいでした。   生涯で一番頑張りました。 初めて食べることをおろそかにしました。  日本ファンタジーノベル大賞大賞を受賞しました。

時代考証がむずかしい、調べても調べても新しいことが沢山出て来ます。    江戸時代は本音で語れる部分が多かったのではないかと思います。  喧嘩をさせたいとかがしやすい。    2021年心淋し川』で第164回直木三十五賞を受賞。   ピンとこない感じです。   一般庶民の方が書いていて面白いし、書きたい部分でもあります。  現代の視点も物凄くあり繋がっています。 

来月7月にはNHKのBS時代劇で「善人長屋」の放送も始まります。  実はみんな裏家業のある博徒たちで、そこに超お人よしの職人さんが入ってきて、善人がゆえに起こすトラブルを実は悪人たちが解決してゆくというシリーズです。   映像化は初めてなので吃驚しました。  人手と時間とお金がこんなにかかっているのかと思うと吃驚しました。   アイデアは泡のようにポコッと浮かんできます。  30ぐらい浮かんで浮かんだうちの1ぐらいは書いておきます。  書いたメモの10のうち、1も使わないです。 寝かせておくとよく熟成してきて良いものに成ったりとかします。    

がむしゃらに書いて来たという印象は有ります。   この先何を書きたいとかは何も考えていません。  ゴメスが一番好きです。