2019年9月11日水曜日

内田克代(自習室代表)          ・"寺子屋"で教育格差をなくせ 

内田克代(自習室代表)          ・"寺子屋"で教育格差をなくせ 
内田さんは69歳、元小学校教員です。
教育格差をなくしたい、そんな思いから内田さんたちは6年前に子供たちに無料で勉強を教える自習室をスタートさせました。
勉強を教えるのは内田さんを始め会社員や、主婦など地域の20人の人たちです。
内田さんたちは放課後自習室を訪れてくる50人の子どもたちに、それぞれの事情に合わせて授業で分からなかったことや宿題などを教えています。
この自習室でユニークなのは、もう一度勉強したい大人のための教科書を学ぶ大人の講座がある事です。
内田さんたちの現代版寺子屋ともいえる取り組みで見えてくるものは何なんでしょう。

活動している神奈川県波多野市は神奈川県の中西部にあります。
「広畑ふれあいプラザ」という施設がありそこで自習室があります。
放課後になると大人が合流して勉強を始めます。
リラックスしてはいってこれるところがいいところだと思います。
私は静岡県の磐田市出身です。
大学では教育学部の中の中学校養成課程を選びました。
英語は好きだったので英語科を選びました。
教員試験を受けて浜松市に就職しました。
英語が週5時間から3時間に減った年で、英語ではなく家庭科の教員として担当しました。
浜松は1年間でいろいろ経験したことがあり、よその世界に出てみたいという思いがわきました。
1年後一般の会社に再就職し5年間勤めました。(関西の自動車の販売会社)
自分に合う仕事はないかと迷い始めました。
絵が好きで趣味でやっていたので、手書き友禅の会社に入ってそこで2年間修業していました。
周りに比べ個性的ではないという思いがあり、改めて教員採用試験を受けました。
神奈川県の教員になりましたが、会社にいたときに通信制の小学校の教員の免許も取っていたので、小学校の先生として採用されました。
30歳の時でした。
1つの学校に5,6人の若い教員が採用された時代であまり良い目では見られませんでした。
担任を持ちましたが、いろいろな職業を経験したことが役に立ちました。
30年間波多野市で過ごしました。
主人も亡くして子供を育てるのにいい環境の近くの学校に赴任させてもらいました。
体調を崩したこともあり、55歳で退職して臨時の講師を5年間行いました。

近所のお年寄りが学校に来て子どもたちと詩吟を教えてもらったり、カードで遊んだりする部屋もあり、学校にかかわっていました。。
子どもたちに何かお返しができないものかと雑談の中から出てきました。
子どもと触れ合える教室を作ろうという事で、学校とつながっている広畑ふれあいプラザという施設がありお年寄りが学ぶ施設でした。
最初は遊ぶという事がしばらく続きましたが、勉強を教えることに流れていきました。
子どもたちに自分たちが勉強に意欲を持たせてあげれば、その子たちが社会に出たときに自分なりの道を見つけてゆく大きな手立てになるのではないかという事です。
教育の格差を少しでもなくしてあげようというスローガンです。
PTAとして学校にかかわってきたお父さん、地域に貢献している元教員の夫婦、と私、4人で始めました。

看板を立てたり、ちらしを学校に配ったりしました。
4,5人(小学生と中学生)すぐに来まして、その子らの面倒を見るようにしました。
勉強ができないという人達でその子等が判るレベルまで下げて教えました。
中学2年の子は小学校3年ぐらいでつまずいたので、そこまで下げてコツコツとやりました。
いらない教科書を募集して集めました。
算数なども一旦始めると理解は早いです。
教える側もやりがいがあります。
孫ができたという風に言う人もいます。
大人に教えようという講座を5教科について開いて、それで教師が増えました。
一気に先生が増えて、会社をリタイアした人、主婦などいろいろな方が来てくださいました。
先生が20人、子供たちが50人来てくれて、和やかな教室になっています。
私が散歩していたらガラの悪い中学生達がいて、声をかけているうちに高校に行きたいという事になり、高校ぐらい出て親に恩返ししたいというんです。
12月なので時間もなく、連立方程式と面接を集中してやって、それ以外は捨ててやったら県立の学校に入学できました。
その間に両親とも話をして理解しあいました。
その後或る時にあったら「俺学年で数学一番になったよ」といっていました、それを聞いて本当にうれしくなりました。
いろんな地域でやってみたいという事で見学にきたりしていまして、ほかでも始まりつつあります。
教員時代にはこんなに真剣に子どもを見る時間がなかった、と反省するんですね。
どの先生も手ごたえを感じてます、現役時代にこういう事ができればよかったねという話がよく出ます。
ボランティアの先生も高齢で体の具合が悪いとかなど、先生の入れ替わりも激しいのでずーっと続けることが難しい。
最近大人のための教室を開いていませんが、ちゃんとした経歴を持った人が世の中にいっぱいいるが、なかなかボランティアをしたいというところまで気持ちが上向かない方々がいっぱいいらっしゃいます、もったいないなあと思います。
やはり国語力が大事で、そういった先生がいてそんな時間が取れればいいなあと思っています。