林 公義(北里大学生命科学部講師) ・子ども科学電話相談40周年~魚って面白い!~
林さんは博物館で勤務をしながら魚類特にハゼの調査研究に長年携わって来ました。
海の生き物は数の上でも陸上を越えるぐらいの数がいます。 無脊椎動物の種類が非常に多いです。
植物の田中修先生と同じ17年になります。 目に見えない情報をどのくらい言葉で表現できるか、というところがあります。
博物館での学芸員ではかなり細かく説明する場合があるの、細かくしゃべり過ぎないように注意はしています。 当たり前と思っていることを説明することが一番難しいですね。
生まれたところが魚市場の近くで、父、叔父、兄が魚市場にいたもので、12時間は魚を観れる環境でした。 小学校4,5,6年と標本を作って博物館に作品展に出していました。 三浦半島自然保護団体があり、そこに中学の時に入って高校、大学までいて事務局を担当するようになりました。
標本を出していた博物館から就職の話が来まして、ここに就職することにしました。 博物館で得たもの感じたものは大きいです。 それも人あってのものです。 振り返った時によかったと思う事が多いです。
海洋生物の分類が専門で、特にハゼの研究、「ハゼガイドブック」本も出しました。 本には280種あります。 ハゼに興味を持ったのは、博物館には淡水魚が無かったので、淡水魚を調べ始めて、最初に見つけたのが「ヨシノボリ」というハゼでした。 「ヨシノボリ」の生態を調べ始めたら面白くなりました。 石垣島、西表島とかに行くようになって、川で調べ始めたら、見た事もないハゼが次から次に出てくるんです。 図鑑にも載っていないハゼが出てきました。 ハゼの棲んでいる環境が様々なんです。 海、川、湖、と水のある所だったらいると考えていいです。 砂地にしかいないとか砂利場にしかいないとか、岩場に、サンゴ礁、マングローブ地帯にしかいないとかそれぞれあります。 どうしてかと調べてゆくと、行動学、生態学と結びついてきます。
今は700種に近い状況です。 ダイバーの数が増えてきたと同時に、ハゼはダイバーに人気があり、見つかって行きました。 生活に分化ができてきて、ハゼの進化に繋がってゆくという状況があります。 DNAを使うと分類に役に立ちます。 ハゼは魚の中で一番逞しいんじゃないかと思います。 現在77歳ですが、潜っています。 ダイビングを正式に始めたのは昭和48年からです。 昔は研究者の方はダイビングはやっていませんでした。 段々研究に利用する人が増えて来ました。 生活の様子が自分の目で見えて判るわけですから。 何度潜っても新しい発見がある。
魚は私たちの遠い祖先ですよね。 祖先の生活の仕方は一部では私たちの生活の中に、当然残っている。 そういったものを知ることが少しでもあればいいなあと思って、魚の研究は続けてきました。 単純に言うと「好きなんです。」それに尽きます。 コミュニケーションをすることによって、自分では気づかないことが凄く多くて、今の自分を作り上げていることが、多分そういう事だと思います。
体験するという事は非常に重要なことだと思います。 或る一つのことに気が付いて、そこからずっと深く調べて行く、興味を持つようになるという事は、凄く大事だと思います。 そういうお子さんが増えてくるという事はいいことだと思います。