2018年12月4日火曜日

毛受敏浩(日本国際交流センター執行理事 )・今、移民を考える

毛受敏浩(日本国際交流センター執行理事 )・今、移民を考える
63歳、徳島県に生まれ大学を卒業した後、兵庫県庁に就職しました。
その後アメリカの大学院で学びました。
34歳の時に日本国際交流センターに働き始め、草の根の国際交流や県人会義などに携わり、外国人定住政策の専門家になりました。
毛受敏浩(めんじゅ としひろ)さんが去年出版した、『限界国家 人口減少で日本が迫られる最終選択』この本では外国人の受け入れについて、国民的議論をすべき時が来ていると説いています。
どうすれば国民の理解を得られるのか伺いました。

日本国際交流センターは1970年にできた純粋な民間の団体で、当時は日米関係が民間で交流するという事が始まった時代で、日本国際交流センターが先鞭を点けたということです。
民間外交のパイオニアと呼んでいます。
兵庫県庁に10年間勤めていて、その後34歳の時に日本国際交流センターに働き始めました。
日本の人口が減って行って大変だと思いました。
外国人との交流で、外国人に定住して活躍してもらう事が、経験上私としてはストレートに考えられるのですが、国内では移民ではないかということで抵抗が強い。
国立社会保障人口問題研究所という機関が、日本の将来の人口を出しているが、2020年代には600万人人口が減ると予想しています。
2010年代は270万人ぐらいなので2020年代に一挙に減っていって、2030年代になると、800万人になる。
高齢者は増えて来る。

日本の享受している豊かさ、利便性がなくなってきて、生活が回らなく様になるという危機感を持っています。
日本は1000兆円を越える借金があるので、人口が減ると借金が返せなくなると国家破綻のような話になるので、何としても政府は地方創成とかやっているが、残念ながら人口のストップがかかっていない。
出生率が1.43が2.1になればほぼ維持できると言われるが、もう間に合わないと本に書いています。
人口を維持してゆくことを考えると、全員が結婚して2人以上生れて初めて人口維持ができるが、今の状況では不可能だと思います。
政府は2014年に地方創成という事で、人口減少をなんとか止めようという事で年間1兆円使っているが、止まる気配はない、悪くなっているのが現実です。
先進国で外国人の受け入れをやってない国は無いわけです。
日本もいよいよその方向に達してきていると思っています。
ヨーロッパのスイスでは人口数百万で国民所得が高いという国もありますが、現実には外国の人が働いています。
2100年には5072万人になるという数字もあるが、どうなるんだろうと思います。
中規模の割と目立たない国になってしまって、最悪のケースは若い人たちは高齢者ばかりいる日本よりも、若い人の居る国に移住してゆくことになりかねないとも思います。

今日本には270万人の外国人がいます、中国、韓国が多いが、最近はベトナム、ネパール等が急増しています。
ベトナム、ネパール等は技能実習制度で入ってきて働いていたり、留学生が急増してます。
考え方は技術を習って母国に持ち帰るという事だが、この2年間で10万人増えていますが、人手不足で労働力として期待したいという事で増えたんだと思います。
本音は労働力として受け入れたい、しかし建前は国際貢献という事でずれがある。
年間7000人の人が技能実習できても、途中で居なくなってくるという事も起こっています。
移民という事を本などに書いて10年間活動してきたが、ネットでは非国民と言われたりしました。
移民=犯罪者予備軍みたいなイメージを抱く人がいて、政府もまだ今回の件も移民政策ではないと言っています。
ようやく議論のところまできたと思います。
介護なども外国人の人に入ってもらわないと段々回らなくなって来ると思います。
留学生がアルバイトをしているが、留学生に労働力を期待する国はあまりない。
新宿は人口の12%が外国人になっています。
新宿の今年の成人式では外国人の割合は 45%だったと言われます。
新宿には50以上の日本語学校があります。
日本には130以上の国の方が来ています。
新宿でのアンケートでは、外国人が入ってきた方が望ましいという方が、望ましくないよりも多かった、という結果があります。
外国人が増える問題についての質問では、①ゴミの出し方、②騒音、③駐車場となっていて、外国人が多い地域でも大きな問題は起こっていないということだと思います。
外国人の方としてはしっかりしたオリエンテーションをして欲しいという要望があります。
マナーとかのしっかりしたシステムが無いので、私は全国的な事をやるべきだと思っています。

ヨーロッパの移民政策でドイツは復興の過程で人手不足になって、ヨーロッパ、トルコ等からも大量に受け入れていた。(1950年代~1970年代初頭)
フランスなどでは植民地から受け入れていたりした。
移民の人達、特に子供は可能性がある人達だと思う。
ヨーロッパでは移民難民問題で大変だが、ドイツとしては必要な人材をどのぐらい確保するかということでは問題になっていなくて、突然我々を入れろという難民の人達で、憲法で受け入れることを決めていて、メルケルさんは100万人の人が突然来て受け入れる体制ができていなくて大混乱になった。
急な難民が押し寄せてヨーロッパは困っている状態です。
トランプさんも不法移民の対応、イスラムへの反発がある。
日本も受け入れ体制をしっかりしないといい人材は来ないと思う。
ドイツではドイツ語学習を600時間することを義務付けていて、全国に数千か所あってそこで学習することが出来ます。
韓国も同じ様な制度をやっていて、415時間勉強して下さいということになっています。
基本はその国の言葉をしっかり学んでもらうという方針がしっかりしている。

定住で来て家族も呼び寄せて生活できる、家族子供が生まれて成長してゆく、こういうことを移民というと思うが、政府としては移民政策ではないと言っている。
自民党内でも一部反対者があるが、野党も与党も方向性は或る意味同じだと思うので、最終的には外国人の人が来て働いてもらって、優秀な人は定着して貰うというふうに収斂していくとは思うが、タブー視されていたものの蓋が開いたのでごたごたしていると思う。
どうやったらウインーウインの関係ができるのかが大切だと思います。
日本に行ってみたいと思う様に工夫をして、方針転換をして行くことが重要かなと思います。