2012年2月17日金曜日

石川直樹(写真家)        ・素顔のブータンに魅せられて



石川直樹(写真家)  素顔のブータンに魅せられて
石川 直樹(いしかわ なおき、1977年6月30日 - )は日本の探検家・写真家   作家・石川淳の孫にあたる
学生時代に文化人類学 民族学を学び 写真家の道に進みました
その後 世界各地の最高峰に登頂し 23歳の時に世界最年少で7大陸の最高峰に登頂するという記録を打ち立てました
石川さんはブータンには3度訪れ ヒマラヤ山脈に通じる自然や素朴な国民性に魅了された
とのことです

今回は行ったことのない 南 ブータンに有る温泉地に行ってきました 車が有る道から歩いて
4から5時間歩いて行く
所謂昔の日本の湯治場ですよね  宿屋が有るわけではない テントを持って行って 
3か月 浸かり病気を癒して帰って来る
食事は自炊 そばに暮らすみたいな感じ  源泉かけ流し 熱いお湯 ぬるいお湯 があり適温はまずない
西側は空港 首都が有ったりして開けているが 、東側奥の方に行くとは電気が来ていない場所が有ったり外国人が入れないような場所が有ったり
辺境の地 南は国境がインドと接しており 雰囲気が異なって来る
ブータンの国王が昨年来日 2回目に帰って来る時に同じ飛行機に同乗することができた 
親しみが湧いた

最初のブータンとの付き合いは?→山登りが好きで本を読んで昔からヒマラヤ周辺の文化に興味が有って ブータンの方には未登の山があるとか    中尾佐助さんという植物学者がいるんですがその人の本を読むとすごく興味が有ってブータンに行ってみたいと思った  
気軽に立ち寄ることができなかったが 雑誌の取材を兼ねて昨年行くことができた
一回目は西から東まで横断した パロと云う街から色んな街を旅をした(昨年夏)
ブータンの人達は「ゴ」という着物のような衣装をまとう 下はハイソックスに革靴を履いている 女性は「キラ」という着物をまとう
きらびやかな服装をしている 
ゾンと云う場所が有って ブータンも県に相当するものが有り県庁がある 
「ゾン」は坊さんが修行したり、県庁としての役割もする

ブータンに入る前に工程を決めておかなくては行けなくてガイドとドライバーの人と一緒に
行かなければいけない 気軽にヒョこっと行く感じではない
二回目は秋口 東の方に行く 数年前までは外国人が入れない場所があり それが入れるようになったと聞いて行こうと思った
道路が有る場所から更に二日歩いていかないと着けない場所だった (メラク村)  
取材をかねて行く
村は本当に昔ながらの生活 電気がない 基本的にブータンの建物はあまり窓がない 
昼間でも真っ暗
男性は牛、羊の皮を身にまとって 女性は独特な着物が有るんですが、エンジ色した着物に
フェルトのような素材の丸い帽子をかぶって5本の房が
ついていたりする非常に見た事のないような服装をしている  
特殊な民族  ブータンの東側に残されている

都市部は「ゴ」と「キラ」を着ている人達が多い 
「ヤク」 日本の獅子舞に似た舞うお祭りがあり、日本の文化の源流が有るのではないかと思った
旅を始めたのは高校2年生の時から インドとネパールを一人で貧乏旅行したのがきっかけで それ以降ずっと旅をしている 
大学院(東京芸大)から写真を取り始めた 23歳で各大陸の一番高い山に登る
 (世界最年少記録)
山は旅の延長線上で 新しい世界をみたいと云う旅を続けているうちに 山に登って行ったという感じですかね
エベレスト2001年5月 去年も行きました 南極大陸最高峰ヴィンソン・マシフ山(4897m・南極)に登頂 難易度はあまりないが寒かった 

南米大陸最高峰アコンカグア山(6960m・アルゼンチン)に単独登頂  オーストラリア大陸最高峰コジウスコ山(2230m・オーストラリア)に登頂    2001年、チョモランマ(8848m・チベット)に登頂 海も山も川も隔たりなく好きで ガイドブックに載っていない場所だとか未知の場所を求めてゆくと山だとか海だとか自然のフィールドになってしまう  
早稲田大学の時は文化人類学をやってまして 星を見ながら海を渡る技術 (スター ナビゲーション) ミクロネシアの島々で受け継がれていて    それを研究していたんですよ 
それは文化人類学の立場で研究していたのですがそれは芸術に近いのではないかと思いました  
GPSとかカーナビが有る時代に近代的な計器を一切使わずに星を見て海をわたってゆく其の事はもう芸術の領域ではないかと思いました
各地のお祭り 民族舞踏とかにも関心を持って勉強していた(文化人類学と芸術との融合)
旅をしながら写真を撮って来て 取っているうちに写真家になった
先史時代の壁画を撮る 風土建築を撮影 ヒマラヤでの文化、シェルパ族 北極圏の村等々
 興味を持って写真を撮ってきた
文書も書いている 言葉でしか表現できない事を描いている

ポリネシア 「コロナ」 賞を頂く  島々を巡って写真を撮った 
土門拳賞 (土門拳賞はよく、写真界の直木賞と呼ばれることが多い)
3回目のブータン旅行から帰って来たばかり 王制、 仏教の国 宗教と生活が密接にかかわっている 動物の殺生をしない
インドから肉を輸入 蚊が腕に止まったら 普通叩いてしまうが、そういったことは一切しない 虫なども一切殺さない 輪廻転生  
そこにいる野良犬がもしかしたら死んだお爺さんかもしれないし 飛んでいる蝶が死んだお婆さんかも知れないということで一切殺さないし大事に扱う
子供から大人まで有って吃驚させられる 宗教が身近にある
 
幸せかと聞くと幸せと答えるかもしれないけど 幸せのハードルが低い 日本では欲望が肥大化していて 多少の事では幸せを感じないかもしれないけれども
ブータンの人にとっては例えば作物が良く収穫できたとか 今日は晴れていて仕事がはかどったとか そういったことで 生きている事が幸せというか  
そういった感覚がもしかしたら有るのかも知れな い 
先進国の幸せのハードルよりもだいぶ ちょっとしたことで幸せを感じる風土が有るのかも知れない
日々食べて家族が有って 日々を過ごしていけるのが幸せであると云う事 お祈りができる 
のが幸せなんでしょうかね
GNH(国民総幸福量) 打ち出している 素晴らしい考え方だと思う 教育、政治含め    
物質的な豊かさではなく精神的な豊かさ 彼らなりに実感として判っていて国民の隅々までじっくりとしみわたっている
勿論苦しみとか悲しみとか沢山有るわけですけれども それとは別に 日々生かされていると
云う事を感謝する様な風土が有る

日本にも関心を持ってきている(国王来日して)  顔立ちも似ているので親しみを持っている
北部のトレッキング(山歩きのこと)ルートを辿ってみたい  未登峯がある(7000m級)  
驚き続けて行きたい 自然に近いところで暮らしている人達からは学ぶことが多い
仏教の思想というものを私は形としてしか知らなかったが 隅々に滲みだしてくるものを見ると
こうした生き方もあるんだなと強く感じますし、それと自然と共生すると云う言葉とかも、日本で
使われているのは体に良いと云うか かっこいい というかスローガン的な言葉としてではなく  
本当に密接に自然とともに生きていると云う事を強く感じましたから そうした生き方を一部でも自分に取り入れられたら良いなあと思います