2021年12月24日金曜日

高濱正伸(教育者)           ・【ママ☆深夜便ことばの贈りもの】飛び出せ野外に

高濱正伸(教育者)        ・【ママ☆深夜便ことばの贈りもの】飛び出せ野外に 

1959熊本県生まれ、1993年に思考力や野外活動を重視した小学校低学年向けの学習塾を設立、2年後に小学校4年生から中学3年生を対象とした進学塾を始めました。  高濱さんの教育の目標は飯が食える大人に育てる事、生きる意欲にあふれどんな状況でもやり抜こうとする意志力や行動力は、子供の頃の野外活動で味わったわくわく感が培うとオリジナルな教育方法を実践してきました。   情報機器の発達と普及、コロナ禍でのeラーニングの導入と子供たちの取り巻く状況が変化している中、子供にとって大切なものはなにか、野外体験でなぜ子供は伸びるのか、ご自身の子供の頃の経験を交えてお話を伺いました。

野外体験に参加する子は4歳(親子)から中学生まで参加しています。  他に塾の教育、受験指導などしています。   回り道して大学を卒業したのは29歳でした。   24歳の時に子供のそばにいることが、音楽が、一生のめり込んでやって行けるなと思って、30歳になる時にどうも子供が本当にに好きだという事が判って、家にこもってしまっている20代、30代の人が相当な数いるなという事が判りました。  いろいろ調べているうちにどうも幼児期が重要だという結論に達しました。   5年生だと急に心の壁が分厚くなって、3、4年生ぐらいから違う生き物に変身しているんだなあと思いました。  第二次性徴で、全体が変わってしまう、(友達、世界の見え方等々)その前段階での自己像、世界観、安心感、意欲とかが一番大事なんだなと思いました。   その大きい関数として、外遊びと家(親)という事です。  

目の前の子供が可愛い仕草をしたとか、無防備なふるまいをしている時が一番感動しました。   もう一つ音楽も感動します。    子供らしい世界観があり可愛いと思い惹きつけられます。   褒めてやる、肯定という事は凄く大事だと思います。   小学校になると評価が始まってしまって、ネガティブな言葉で段々こわばってきてしまって、成績が落ちてきてしまったりする。   どこかで嫌いにさせてしまっているだけで、絶対人間は学びは好きだと信じています。  「やらされ」て辛いなと思ってくる。   

家という関数は凄くでかくて、特にお母さんに注目しました。   母親が曇ったり、自信なくしたり、イライラしていると子供はたちまち曇り空になってしまう。   その一つが「躾」だと思って、親子で一緒に考えてもらおうと思ってそんな絵本を作りました。   幼児期までは子供は親に基準を求めている、言い切ってほしいというのが子供の感覚なんです。   昔は地域があって、隣のおばちゃんが平気で家に入っていた。  一人のお母さんの周りにはたくさんの大人がいて、アドバイスなどをしてくれて安心感があったが、この60年ぐらいで変わってきてしまった。    お母さんには一人で頑張らないで周りに頼りましょうといっています。    アフリカのことわざで「子供一人が育つには村一つが必要だ」というのがありますが、象徴的に言っていると思います。   長年言っていたのは、「お母さん自身の仕事に対し自分がニコニコになることだけに集中してください」と言っています。  そうすると子供に一番いい影響を与えます。  父親には母親がニコニコするように母親に対して自由研究してくださいと言っています。  

幼児期の非認知能力が重要だと言われています。   頑張り抜ける、凄く集中できる、基本的モラルとか、自分を騙さない、楽しい、魅力的とか数値では表せないようなものが大事だと言われるようになりました。   計算できる、字が書けるとかは誰にでもできる土台です。  本当に凄い力は遊びの中にありますと言い続けてきました。   

発想力の指導はなかったので、そういったことは一生懸命取り組んでいます。    同じことが起きていても気づくかどうか、気づく力は本当に大きいです。   それには外遊びが一番いいと信じています。   本当の底力みたいな能力は田舎で自然の中で自由に遊んだ力が一番大きいんだと思います。   義務教育では評価が高いが、大学になると世界にきゅーっと抜かれてゆく。  知識教育一辺倒が弊害です。   気付く力、自分の言葉にする力、発表する力、みんなを巻き込んで説得する力とかそういうものが次の時代には大事だろうと思います。   子供の脳の芯の部分は絶対抱きしめて欲しいし、追っかけてほしいとか持っているんです。  そこは学校へ行く意味だと思います。   自分で決めたことをやりきるという事をひたすらやるという事が一番大事だと思います。   日本の部活は探求の場になっていると思います。   どんな時代になっても仕事を作れるし、楽しめるし、周りを幸せに出来る、周りを笑わせる面白い人、そう言う人になってほしいと思います。  

母親は高校に行けなくてNHKの通信教育でずーっと勉強してきて、「学ぶのは楽しいよ」といって、学びを好きにさせてくれた。  5年生の時に頭がでかいことに関して深刻ないじめを受けて、母親が「学校のことは良く判らないが、お母さんはあなたが元気ならばよかとよ。」と言ってギューッと抱きしめてくれました。   それが1か月続いて、強くなって1か月後に児童会の副会長に立候補して、1500人ぐらいいるなかの朝礼で「頭のでかい高濱す。・・・。」と言って、頭をマイクにぶつかってしまってそれが大うけして、いじめがぴたりと止みました。  支えてくれたのは母で、母が絶対の味方として存在してくれた。