2015年4月29日水曜日

富司純子(女優)         ・女優生活50年と”かっこいい”おばあちゃんを演じて

富司純子(女優)            ・女優生活50年と”かっこいい”おばあちゃんを演じて
富司純子さんは総合TV「紅雲町珈琲屋こよみ」に主演する。
吉永南央さんの小説で  主人公 杉浦草を演じる。
身の周りで起きる小さな事件を解決してゆく。
紅雲町で和食器とコーヒー豆の販売を営む小蔵屋。  杉浦草(76歳) 通称 お草さん
お草さんは店を訪れるお客の中で、ふっと抱いた疑問から地方都市の日常に潜む小さな問題を解決していきます。
お草さん自身も決して無傷ではない過去を抱えていて忍びよる老いの影のもとで前向きに生き続けます。

小説を読んで面白くて、なんて魅力的な女性だと、一遍に虜になりました。
脚本は相沢友子さん 
お草さんは65歳で人生の再出発に踏み来る。 
古民家を移築して、反対をされる中で、新しい和食器とコーヒー豆の販売を営む店を始める。
信念を通すところは似ているかもしれない。
ゴミ拾いをしながら、お地蔵さんに毎日お供え物したり、お祈りしたりしている。
自分は離婚して子供を置いて来ざるを得なかった状況の中で、3歳の男の子が疏水みたいなところに入って死んでしまう。
人生の中の大きな傷を胸にしょっているので、お地蔵さんにいつもわびている。
ドラマの中で好きなセリフ 金継ぎ 壊れたものを繋ぎ合せて、新しいカップに仕立てるが、重い過去をもった相手役の橋爪功さんが「傷をもった人間だからこそ出来ることが有る」という暗示をかける言葉。
セットも素晴らしい、山内さんが素晴らしいセンスの方で、一歩入っただけでお草さんになれた。
高倉健さんがコーヒーが好きで、最初は飲めなかったが勧められるうちに好きになって今では癖になってコーヒーが無くてはいけなくなってしまった。主人も好きです。

和歌山県で昭和20年生まれ、貧しくて、コッペパン、さつまいも、キャルメラ等を食べて育ちました。
リヤカーで新鮮な小鰯等新しい魚を売ってきたりしていた。
サバなどもおいしくて、光物は大好きです。
父は火宅の人で、京都で別宅で女性と住み子供までいたので、母は洋裁を教えたりしてその収入で私たちを育ててきました。
大坂に来てからも同様な生活でした。
母の苦労を見ていて、早く働いて母に楽をさせたいという気持ちが有った。
縁あって牧野監督に女優にと言われた時は直ぐに女優になりたいと言いました。
当時父は牧野監督の下で働いていた。
17歳でデビューしその後5年間で次々に撮影が有り、1年に13本ぐらい出た時もあった。
任侠物に入ってゆく。(相手役 高倉健、鶴田浩二、菅原文太、若山富三郎等)

昭和43年初めての主演映画 緋牡丹博徒が大ヒット (22歳) 58本目
緋牡丹博徒シリーズは全部で8本
自分は文芸作にあこがれていて、山本周五郎の「五弁の椿」「柳橋物語」等を他局のTVで撮らして貰っていた。
そういうのを映画で本当はやってほしかったが、任侠もので、自分の思う役柄でない役をやっていたので、そんな中で自分の女を秘めて演じる中の、男と女のドラマを深くつくってもらうように本をチェックして本直しして、出来る限り自分の欲求を入れて作ってきました。
三島由紀夫さん、楠本憲吉さん等にも見て頂いて応援してくださいました。
それが支えになっていました。

昭和47年に結婚。
大河ドラマ「義経」が終わる頃に主人と付き合い始めた。
3年後主人が父に結婚を申し込んだが、緋牡丹が好評だったので3年待つ様に父から言われ、その間 緋牡丹を撮っていたが、それからもう1年待つ様に父から言われる。
結局7年待ってくれた。 
その間、4年間で悔いのない仕事をしようと、自分なりにきちっと計画を立てて、婚約発表の時に引退しますと言って、二度と映画には戻る気はないと、主人の黒子として、支えていきたいと思った。
歌舞伎の人は基礎が違うと思った。(立ち居振る舞い、セリフ、刀の差し方等が綺麗)
凄い役者になるのではないかと思った、この人にかけてみたという気になったと思います。

日々の体調管理、朝からきちっと野菜の入ったジュースを作ってそれを飲んでもらう。
バランスの良い食べものを心掛けている、(1日2食)
結婚後毎月他の人を含め歌舞伎を見て、梅幸、中村歌右衛門、中村雀右衛門等、綺羅星のごとく女形の人がいて、所作、踊り、お芝居を見せて頂いたのが 物凄く私の財産になりました。
歌舞伎は本当に素晴らしいと思います。
お子さんが寺島しのぶさん、尾上菊之助さんですが、子育ては?
楽しかったです。 母他皆が一緒に子育てをしてくれたので助かりました。
孫がいるが芝居が好きで楽しみです。

平成1年ごろ 子供も親離れしたかったと思う。 
子供から私が子離れしていないと言われた。
これから何をしようと思っていたら、NHKから「詩城の旅人」(松本清張)、同時に「あ・うん」 の映画からの仕事の依頼が有った。
「富司純子」の名前で仕事をすることにした。
「あ・うん」が一番大好きです。
17年ぶりの仕事だったが、昨日別れてから、今日会ったみたいにブランクをまったく感じなかった。 
引き受けた役の世界に入り込めるのは、自分のその時だけは何のしがらみもない、例えば「お草さん」の中で生きてドラマを皆で力を合わせて作ってゆく時間、その時間は全て私のものなんです。
全てそこで楽しく出来、出来上がった作品が良かったねと言っていただけたら、とっても幸せです。
「紅雲町珈琲屋こよみ」の魅力は?
お草さんの生きざまがかっこいいんですね。
生き生きとして自分の好きなことをやって生きている。