2023年12月18日月曜日

藤舎推峰(篠笛・能管 演奏家)     ・〔にっぽんの音〕

藤舎推峰(篠笛・能管 演奏家)     ・〔にっぽんの音〕 

案内役:能楽師狂言方 大藏基誠

主に歌舞伎や舞踊のお囃子の笛の演奏家、能楽のお囃子では能管しか使いませんが、長唄などでは能管と篠笛の両方を使います。 町のお祭りで聞いている笛の音は篠笛、ポップスなどとのコラボではいろんな音階が出る篠笛が用いられます。 能管は舞台で使うのは一本で、調性がない、ドレミが無くて全て口唱歌で進行します。 音色の幽玄さは世界的に見ても珍しい楽器です。 打楽器の様に吹く笛と言うのは、日本の能が作り出した凄い世界観だと思います。 篠笛はピッチが決まっていてドレミが出せる楽器なので、いろんな楽器との演奏が出来る。 三味線は音が減衰するが、唄は伸びている、そこの受け渡しを楽器としても音を伸ばして、旋律を綺麗にする、装飾するような役割です。 30数本持ってきています。 能管は「のど」呼ばれるちょっと一回り細い笛を吹くところと指の穴の間に挿入しています。 幽玄な音色の元になっています。 

1979年生まれ、東京都出身。 祖父、父と邦楽を演奏する一家に生まれます。 祖父が藤舎秀蓬、叔父が藤舎名生(人間国宝)、父が中川善雄。 親戚が三味線音楽関係の人が多くて、笛をやるようによく言われましたが嫌で稽古からは逃げていました。(小学校低学年) 中学で鍵盤楽器を触る様になり、バンド活動などしていました。  父が芸大の非常勤講師をしていて、僕より下の世代を教えていました。 家でお稽古、補講などをしていて、若い子が来てやっていて、それを見て自分の身の振り方を考えなければいけないと思いました。(22歳) 父に笛をやりたいと言って、稽古を始めました。 父にはよく怒鳴られていました。 

2002年に東京芸術大学音楽学部へ入学、2004年祖父藤舎秀蓬に許され、二代目藤舎推峰を襲名しました。 現在は邦楽のほかに、Jポップ、クラシック、ジャズ、邦楽をベースに幅広く展開。 ヴァイオリンと邦楽のユニット竜馬四重奏」のメンバー翠(すい)として篠笛を担当。  ヴァイオリン、津軽三味線、邦楽打楽器(鼓)と篠笛のユニット。 

*「雨」 作曲:藤舎推峰   演奏:竜馬四重奏                            いろんな雨の状況を曲にしたいと思って、「雨」と言う曲を作りました。       

古典のなかで好きな曲 「獅子もの」というジャンルが私たちの歌舞伎芸能の方ではありますが、能の「石橋」をベースにいろいろ作ったものが「獅子物」と呼ばれます。 その中から「狂いの合方」と言うものがあります。 能から取り入れるのに、女性の恋心のようなものを獅子の狂いに置き換えたという雰囲気があります。 能管のメロディーを三味線に異曲するわけです。 いろんなところからネタを拾ってきて曲に落とし込んでゆく。  その面白さが伝統芸能の中には一つあるかなあと思います。  それが後で気付くことがあります。 宝暦4年(1754年)の曲 「石橋」(の作品の一つ。獅子口(獅子の顔をした能面)をつけた後ジテの豪壮なが見物、囃子方の緊迫感と迫力を兼ね備えた秘曲が聞き物である。)からヒントを得てこういう作品を作り出した歌舞伎と言う芸能の、横に繋がる意欲と言うか、よさが出ている作品かなと思います。

大蔵:身体を使って声を出すと言いますが、痩せると声が出ずらくなっちゃいます。

*「ミッション インポッシブル」  「スパイ大作戦」のテーマ  演奏:竜馬四重奏 

日本を感じる音とは、自然の音との相性も日本の楽器はとてもいいような気がしていて、人間の音、自然の音、をどこかしら感じています。 

大蔵:日本の楽器は魂が乗りやすいんですかね 

そうかもしれない。

いろんなことをやっていたから、出会えた人たちはいます。 そういった人たちから得られたヒント、面白い事が古典芸能にも絶対返せるような気がして、僕は僕のキャラクターで演奏して行けばいいと思っていますが、僕なりのものが見つかられればいいなあと思っています。