とよたかずひこ(絵本作家) ・〔人生のみちしるべ〕 小さい子たちへの応援歌
とよたさんが作る絵本は赤ちゃんや幼児に向けた小さい子供たちへの絵本です。 日本絵本賞を受賞した「どんどこももんちゃん」のシリーズや「わにのばるぼんさん」のシリーズなど子供たちに支持されロングセラーとなっている作品を数多く生み出してきました。 とよたさんは1947年宮城県仙台市生まれ。(77歳) 高校まで仙台で暮らし、大学は早稲田大学第一文学部に入学、卒業後はフリーのイラストレーターとして働きますが、長女の誕生をきっかけに絵本つくりをはじめます。 1983年36歳で絵本作家としてデビューしますが、その後思う様な絵本を作ることが出来ず、イラストレーターとしての収入を得ながら、絵本つくりに挑戦を続けます。 転機が訪れたのはデビューから14年後、50歳で発表した絵本「でんしゃにのって」だと言います。 小さな子供達への絵本つくりに込める思いを伺いました。
絵を描くという仕事は肉体労働なので、病と付き合いながらベストな状況でやらないと、表現するのに知らず知らず出てきちゃうので注意するという事で規則正しい生活が大事だなあと思います。 自分を鼓舞するという事は知らず知らずやっています。 今生きている子供は独特の反応をしてくれるので、知らず知らず自分の作品に反映されているんだなという事は考えたことはあります。
「どんどこももんちゃん」 2001年出版 日本絵本賞を受賞
全身が桃色の桃のような頭の形をした小さな子供が主人公。
「どんどこ どんどこ どんどこ どんどこ。 桃んちゃんが急いでいます。 どんどこ どんどこ どんどこ どんどこ。 桃んちゃんが急いでいます。
橋をわたり、坂道をのぼり……ももんちゃんが、いそいでどこかへ向かっています。
山の上でくまさんにとうせんぼされても、どどどどどどどーんとたおし、どんどこ進んでいくももんちゃん。・・・・・どんどこ どんどこ。 ももんちゃんが急いでいます。 どんどこ どんどこ どんどこ どんどこ。 どーん」
とうせんぼしたくまさんを投げ飛ばして、先を急ぎます。 ところがたいへん、さかでころんで頭をぶつけちゃった! それでもたちあがり、涙をこらえてかけていくももちゃんがどんと飛びついたのがエプロンをしたお母さんの両腕の中でした。
自立したあかちゃん。 中学2年生にこの本を読み聞かせたこともあるそうで、「走れロメス」と「どんどこももんちゃん」が走る姿を重ね合わせた非常に哲学的な解釈をした感想文が多くありました。
28歳で結婚して32歳で長女が生まれました。 子供の頃は絵が好きでした。 機関車を書いたり溶鉱炉の断面図を書いたりしていました。 小学校4年生の時に宮城県庁を描く時間があり、そこに馬車も描いたらそれが宮城県の特選第一席になりました。 48色のクレパスも貰いました。
大学卒業後或るプロダクションに入りました。 長女が生まれて、始めて絵本と向き合いました。 肩の力が抜けた絵がとっても多いんです。 こんな絵でいいのかと思いました。 でもその絵に子供は反応するんです。 1983年36歳の時に「ぼくはやっぱりとりなんだ」を出版。(デビュー作) 作品の力と言うものがあるということに気付きました。 デビューから14年目に「でんしゃにのって」を出版。(50歳) これは祖母からの話が元ネタになっています。 動物が乗って来る淡々としていて、いい仕上がりではなかったと自分では思っていました。 出版社の方から面白いと言われました。 ここから作り方を変えていきました。 繰り返し読んで貰える絵本を作ろうと心がけています。 絵が好きだという事が基本的になります。 乳幼児向けの絵本を深堀りしていきたいです。