石飛博光(書家) ・創作の原点と これからの書
石飛さんは北海道出身。 小学4年から書道をはじめ、高校3年で後の師匠になる金子鷗亭さんに出会い、1960年東京学芸大学学芸学部書道科に入学、同時に金子鷗亭さんに師事することになりました。 金子さんの提唱する誰にでも読める詩文書、漢字かな交じりの書に精力的に取り組んでいます。 2009年に毎日書道展で文部科学大臣賞を受賞、2012年に草野心平の詩「富士山」を書いて毎日芸術賞を受賞など大きな賞を受賞されています。 去年秋の叙勲で旭日小綬章を受賞しました。 今年は4月にアメリカニューヨークで日本の書ニューヨーク展が開かれ、石飛さんは皆の前で書を書く揮毫をする他、大正大学の学生と共にアメリカの人たちに書道を指導しました。 6月には大阪関西万博で書道の展示や海外からの来場者をはじめ、誰もが筆の体験が出来る実演エリア体験エリアで指導をして評判になりました。
今84歳。 小学、中学のころから中国、日本の作品を真似て楽しんでいました。 金子鷗亭師匠は、師匠を否定しなさい、自分でどんどん求めて書いていきなさいと言われました。 色々な先生からひそかに盗んで自分のものにしてゆくという、そういう勉強の仕方が大事だろうと思います。 但し先生の真似をしているだけでは駄目です。 常に新しいものを求めて、発見して自分の字を作ってゆくんだという気持ちが大事です。
高校3年で後の師匠になる金子鷗亭さんの講習会に参加させてもらいました。 手の使い方指の使い方などしっかり見ていました。 東京へ行くことを決意しました。 1960年東京学芸大学学芸学部書道科に入学、同時に金子鷗亭さんに師事することになりました。
一昨年徳島県立書道館で書道展を行いました。 草野心平の詩「富士山」を展示しました。 横16m✕縦2m40cmです。 東日本大震災の折りに作成したものです。 必死になって書きました。 今年は4月にアメリカニューヨークに行き指導したりしました。 6月には大阪関西万博で書道の展示や書道体験を行いました。 こちらの展示場にも草野心平の詩「富士山」を展示しました。
作品としては40から50点程度は書いています。 楽しい時もあれば苦しい時もあります。一作一作気合を込めて作っています。 これでよしと言う気持ちにはなかなかなれない。日本は中国から漢字の文化を輸入するだけではなくて、 ひらがなを作りました。 漢字、かな混じりの新しい文化として日本人は作りました。 素晴らしい文化だと思います。
草野心平 富士山 作品第壱 麓には桃や桜や杏がさき むらがる花花に蝶は舞ひ 億萬萬の蝶は舞ひ 七色の霞にたなびく 夢みるわたくしの 富士の祭典 ぐるりいちめん花はさき ぐるりいちめん蝶は舞ひ 昔からの楽器のすべては鳴り出すのだ 種蒔きのように鳥はあつまり 日本のすべての鳥はあつまり 楽器といっしょに歌っている 夢みるわたくしの 富士の祭典 七色の霞は雪に映え 七色の陽炎になってゆらゆらする 鹿や猪や熊や馬 人はいないか 人もいるいる へうたんの酒や女の舞ひ 標野(しめぬ)の人も歌っている ああ 夢みるわたくしの 富士の祭典 遠く大雪嶺からは黄鳥が 使者になって花を啣へて渡ってくる 三つの海を渡ってくる |