2024年3月2日土曜日

大杉隼平(写真家)            ・「父・大杉漣のふるさと徳島を撮り続けて」 

 大杉隼平(写真家)            ・「父・大杉漣のふるさと徳島を撮り続けて」

大杉隼平さんは6年前に亡くなった徳島県出身の俳優大杉漣さんの長男です。 父の故郷徳島の自然、生きる人、食など知られざる魅力を発掘し、その姿を写真に収め発信を続けています。 大杉隼平さんが徳島を撮り始めるきっかけと父大杉漣さんの影響についてのお話を伺います。

大杉隼平さんさんは東京生まれ、41歳。 ロンドンで写真を学び、帰国後から写真家として雑誌や広告の世界で活躍しています。 近年は2018年に亡くなった父、俳優大杉漣さんの出身地である徳島の自然、文化、そこに関わる人を精力的に撮影、写真を通して徳島の魅力を発信する活動にも力を入れています。 

大杉漣さんは北野たけし監督の映画をはじめ数々の映画、ドラマ、舞台で活躍した俳優、名バイプレーヤーでした。 テレビのバラエティー番組にも出演して、幅広い世代の方に人気を博していた漣さんでした。

父であり親友のような人でした。  小さいころはおばあちゃんちへ遊びに行くといった感じでした。 大杉隼平さんが生まれる前に「愚の心配」と言うタイトルがついたメッセージを送っていました。 

「愚の心配」を朗読。                                       「真っ暗な夜があっても前だけは真っ黒になる。 これが親の心配であろうとお前は親を越えるだろう。 いつか悲しみも喜びも遠くから眺める時がきても、育つのだ。 一枚の壁として一本の瓦礫の木として。 隼平へ 」

何度も何度も読み返して、お守りのような感じがして、自分の心のなかにずーっとある手紙にはなっています。

今年父の7回忌になります。  父であり尊敬する人でもありました。  高校を出たあと写真の専門学校に行きました。 写真を見た時には記憶がよみがえるという事は凄くいいことだと思いました。 その辺が写真をやりたいというきっかけにはなりました。  伝えいたことは何だろうと考えるので、それと写真を撮る時に言葉を大事にしようと思っています。だれかの言葉がヒントになる事はあります。  

ロンドンに留学しました。 その後アメリカのデザイナーさんと一緒に仕事をした時に、水の音を表現してほしいとか、抽象的な表現ではあるんですが、それをやってゆくときに自分自身で考えることによって、出会えてよかったなと思える仕事の一つです。  徳島を取り始める時にNHKの「徳島をどう取りたいか。」というインタビューに対して、「知らないことを武器にしてやりたい。」と答えましたが、それは素直な気持ちだったと考えています。 知らないからこそ行った時の感動とか、感情が動くことはすごくあると思うので、この気持ちは大事にしたいと思っています。  

父が亡くなる数日前に父から「徳島を撮れよ。」、と言った言葉がずっとあって、それとマッチングしたところもありました。 やればやるほど、その理由も大きく変わってくるところもありますが、父の存在はずっと心に中にはあります。  祖父が校長先生をやっていたので教え子の方たちとお会いすることが結構多かったです。  

徳島の工芸に関する写真。  藍染、木工職人、鍛冶職人、阿波人形浄瑠璃を作る人形師、左官職人などの職人と職人が生み出す工芸品の写真です。 その地に根付いた文化、伝統工芸だったりあるので、一番最初に撮りたいと思ったのは工芸の部分です。  事業所だけでも200を越えていて、例えば藍染一つとってみてもやり方、出す色も微妙に違っていて、ひとくくりには出来ない。 藍染の工房に行った時に、人はしゃべらずして、言葉を発するというか、後姿から伝ってくる丁寧さ、プロの仕事だと思う部分には感動しました。

阿波人形浄瑠璃を作る人、甘利さん。   甘利さんの作ったものをぜひ見ていただきたいですね。 きめ細やかな作業を見てゆくと、手間をかけるという事は大事なことだと思います。  伝統工芸だけではなくて、徳島に来た時に後継者を作ることが大事だと思っているところがあります。  継がせても生活が出来ないという事があったり、継がせないという方も結構多いです。 

徳島の自然。 場所によって見える景色が全然違う。 海、山、川が自然としてきちんと残っていて、自然が豊か。  写真は一瞬の出会いかなと思っています。 (天気、風、光の入り方など)  いのししの罠猟師、矢形諭?さんを取材。 手で捕まえに行ったものを生きたまま山から降ろしてくる猟師なんです。  彼のやっていることは最初から最後まで動物に愛情をもってやっているんで、心が動きました。 罠一つとっても痛くないように調整してかける。  会ってみないと判らない人ってたくさんいます。  その皮を利用して、徳島の技術を使って何がうみ出せるかという事を考えています。 

徳島の発酵文化。 鳴門市の井上さんと出会って、丁寧な仕事をされていると思いました。 1年熟成のものと5年熟成したものでは全然違う事も教えてもらいました。 木樽は日本全国で必要としているところはかなりあると思います。  徳島が出来るという事は強みだと思います。 阿波晩茶、乳酸発酵させるのも全国的に少ないと思います。 急斜面で葉をとったり大変な作業ですが作り方を知りませんでした。 手間のかかったお茶です。 

中央卸売市場に一緒にいきましたが、魚種の種類が多いです。  写真を通じて何が出来るかを考え続けたいです。