2026年10月6日火曜日

柴田康弘(NPO法人代表理事)       ・「広げたい!インクルーシブサーフィンの輪」

 柴田康弘(NPO法人代表理事)・「広げたい!インクルーシブサーフィンの輪」

柴田さんは今年56歳、神奈川県鎌倉市などで介護福祉施設を運営する一方、サーフセラピーに取り組んでいます。 サーフィンと海の力を借りて、心身の健康や生活の質(Q O L:Quality of life)を高めようと言うもので、海外では退役軍人のトラウマの回復等に効果があることが報告されています。 柴田さんはまた障害の有無を超えて一緒にサーフィンを楽しもうと言う体験会をすると言う、地元由比ヶ浜で定期的に開いています。 こうした一連の活動により、今年の夏海洋スポーツを通じた社会貢献活動を表彰する国際的な賞アロハアワードを受賞(日本人で初めて)しました。

最初は仲間うちで始めた活動です。 少しずつ輪が広がってきて現在のようなスタイルになっています。  世界で認められたということで正直嬉しく思ってます。 大学2年生の時に友達がサーフィンをやると言うことで一緒にやることになりました。 サーフィンにハマってしまいました。 介護の仕事を葉山,湘南でしています。 介護、医療に関わるいろんな職種の人たちとサーフィンを通じて知るようになりました。 最初に始めたのがなみニュケーションと言う形で初めて11年になります。

「ラン友」と言う組織がありまして、北海道から沖縄までオレンジのTシャツを着て認知症の方を支えるイベントを毎年ありました。 その「ラン友」のイベントで若年性認知症の方と出会いました。 若年性認知症になった52歳の時に先生の方からサーフィンはやめたほうがいいんじゃないかと言うことでやめていたようですが、一緒にサーフィンをやりませんかと声をかけました。  一緒にサーフィンをやることによって笑顔で楽しんでいました。 それを機に毎月集まるようになりました。 

その後車椅子の方とか視覚障害の方、知的障害の方、ダウン症の方とかだんだん広がっていきました。 パラサーフをやるようになりました。アダプティブサーフィンもやってます。 適合すると言う意味ですが、障害を持っているんですが、波に適合させてサーフィンをやるわけです。 車椅子の方は腹ばいになって波に乗ります。障害によってボードにも工夫をします。 視覚障害の方はどちらから波が来るかとかタイミングとかについては合図とか手拍子をして理解してもらいます。 

自閉症とかダウン症の人は1人では難しいときには2人乗りで対応したりします。 押したり、受け取る人もいて、ピッチャー、キャッチャーと言うふうに役割を対応します。 落ちてしまった時もすぐに駆けつけるようにします。 6人ぐらいでチームを組んでサポートします。 本人が喜んで、私たちもそれを見て喜んでいます。

もともと看護師をしたメンバーで、最初はサポーター側で関わっていた人ですが、目の病で視力が低下してしまい活動中止していましたが、障害者の試合に出るように勧め、パラサーフィンの選手として参加して、昨年は全日本のチャンピオンになりました。 そして視覚障害者のサーフィンの方をフォローする活動をしています。

ダウン症の方がいまして、彼がパラサーフィンと出会ったのは、高校生の頃です。サーフィンをやることによって褒められたりして、自己肯定感が高まってきて、全国から彼を目指すような希望を与える存在になっています。  サーフセラピーというのを去年から始めました。ウミガメクラブという名前ですが、彼はインストラクターと言う形で活躍してます。

サーフセラピーに関する本をいろいろ読んで勉強しました。 戦争で心の傷を負った軍人の方向けのサーフセラピーとか、自閉症の子供向けのサーフセラピーとかあります。 それに対する研究も進んでいます。 名古屋の中部大学と言う所の准教授の先生と一緒に研究するようになりました。 去年の5月からスタートしました。 身体的幸福度とか、心理的幸福度、親子関係、学校関係などが少しずつ良くなっていきました。 親御さんにとっても良いセラピー効果が出てきていると言うことをわかりました。 効果の側面は3つあると思います。1つは海とか自然の持つ癒す力、2つ目は波に乗ることによって、現在に集中する。過去とか、未来に対する不安をなくせる安心できる。 三つめは独りでやるのではなくメンバーと一緒に味わう事で、互いに歓びを感じる。 場所、安心できる仲間がいる。

私は大学を卒業しようとするときにある企業は内定していましたが、卒業旅行でバリ島に行って、ビーチで貧しい人たちを含めてみんなが満たされる気持ちになっている姿を見て、幸せってなんだろうとその時に感じました。 サラリーマンになることへの疑問を感じて、内定辞退しました。 老人ホームを見る機会があり、その施設に配属になることになりました。 

ある認知症のおばあさんと出会って、その人はつばをはいだり、暴言を吐いたりしていました。 通常は午前中にお風呂に入れることになっていましたが、たまたま午後に入れることになり、その時は鼻歌で笑顔でそのおばあさんはお風呂に入ってました。 お風呂に入れる時間を変えたり、こちらの接し方を変えることによって本人も心の状態が変わってくると言うことをその時初めて気づきました。認知介護の奥深さを感じました。

その後介護の仕事にどっぷりつかるようになりました。 介護の会社を自分で作るようになり、現在に至るようになりました。 サーフィンをしている人たちが楽しんでいるのを見ることによって、ボランティアをしている私たちも幸せになって、私たちボランティアが1番セラピーの恩恵を受けてるのかなと言う思いもあります。 セラピー効果をいろんな人たちに味わっていただきたいと思っています。 インクルーシブサーフィン、いろいろな障害のある人、あるいは障害のない人を含めて一緒になって楽しむ、みんなで一緒になると言う事がビーチから広がっていければいいと思います。