2026年2月13日金曜日

落合恵子(作家・子どもの本の専門店主宰)  ・「“わたし”を生ききる覚悟~前編」

落合恵子(作家・子どもの本の専門店主宰)  ・人生のみちしるべ「“わたし”を生ききる覚悟~前編」 

落合さんは1945年栃木県宇都宮市出身。(81歳)  明治大学文学部英文学科卒業後、昭和41年に文化放送アナウンサーとして入社、人気アナウンサーとして活躍します。   29歳の時に文化放送を退職し、作家として本格的に執筆するようになります。  現在は子供の本の専門店のほかオーガニックレストランなどを東京と大阪で主宰、小説、エッセイ、絵本の翻訳のほか、フェミニズム、人権、平和、環境など社会的なテーマにも取り組んでいます。 落合さんは去年12月「がんと生き切る 悲観にも楽観にも傾かず」と言う本を出版しました。この本は落合さんが2023年にステージ3Aの肺がんと診断されてからの日々、心境や闘病の記録を綴ったものです。 

昔は夜更かししてお日様が登るころに寝ようかなと言う様な状態でしたが、今は朝5時には起きます。  種を蒔いて芽が出て来るのを何十年とワクワクしています。  「がんと生き切る 悲観にも楽観にも傾かず」を出版。  肺がんを公表しました。  ゲラ刷りを病院のベッドでチェックをしていました。 (旅先でチェックをしているように見せかけるためにメールでやっていました。) 周りに告げなかった最大の理由は一人で考えたかった。 自分で答えを出さないと、結果についても責任を持てないと思いました。 選択するか、選択しないか。 自分の渦に誰も巻き込みたくないという思いもありました。  自身の経過、患者と医師との関係などいろいろ悩みました。  医師になかなか全部相談できない自分、あるいは他の患者さんの様子を眼にしてきました。  

最初のページには23年と25年の2枚の写真があり、23年の方には髪の毛が全くありません。(自撮り)  必ず生えてくるからねという事を知って欲しかった。  元気でありたいけれど元気ではない人もいます。  自分も受け入れ、社会も受け入れる柔らかさを持ちたいと思います。  「辛いよ。」と言えるような人間関係と場所とスペースを作りたい。  夢を持つことは人間を元気にしてくれる。  自分の声をちゃんと聞いてあげるという事は他者の声も聞く事になる。 

「病はすべて身体的にも精神的にも個人差があり、あらゆる人に万能な治療法はないのではないかと考えて来たし、今もそう考えている。 ・・・可能な限りこのかけがえのない体験を重ねようと自分と約束した。 それが自分に対する責任の取り方だと思うから。・・・どんなに抵抗しても私は私から逃げることは出来ないのだから。 だから自分が選ぶ!」 ここから話が始まります。 (「がんと生き切る 悲観にも楽観にも傾かず」の冒頭部分。)

一番最初の一番大きな迷いは、治療を受けるか、受けないか。  がんであることはほんの私の一部でしかない。  自分の気持ちを書いておきたいという思いがあって、文章をスケッチブックに書いていました。 10代になって女性週刊誌に載って原稿料を貰って、こんなに入るんだと嬉しくなりました。  母は結婚しないで大好きな人の子(落合恵子)を出産した。  母を介護するようになって、病院の母のベッドの隣に寝ていたある夜、こっちをすっと見て急にニコッと笑って、「あのね、私あなたのお父さんが大好きだったの。 お休み。」と言って、ちょっと泣けちゃいました。  「貴方の人生だからあなたが決めていきなさい、何してもあなたが責任を取ればいい。」と言われました。 病気になった時に独りで考えたいと思ったのも、母からどこかで受け継いできたものかも知れないですね。  

「言葉って何だと思う。  言葉にならない思いがここにあると指さすのが言葉だ。」    長田弘さんの詩の一節。

昨日書いた言葉が、今日は消す場合もある。 人生はやり直しが出来ないと言いますが、言葉はやり直せる部分もあるし、自分がその言葉を内側に受け入れた時は、それを大事に握って行こうと思います。 「闇の中で座っている人は、自分の夢に灯をともしている。」というドイツの女性の詩人の詩があります。 闇の中に座っていても、明るい光を自分の側から生み出すこともできる。   そんな仕事が出来たらどんなにうれしいか。  言葉に出会う人がもっと増えたら、もっと人は人に優しくなれるかなと思いました。  本の活字が誰の気持ちをノックするのか、それも考えたいという気持ちが凄く強かったです。 

レイプ、セクハラ、など言葉にならないと、その事実はないと同じような扱われ方をする。  セクシャリティーに対する差別、年齢に対する差別、いろんな差別があるという事を見直さなければならない。  時代よりも早く作品が生まれて来ています。  嬉しいのは、当時出会った人たちが今でも元気にしていてくれて、いろんなところで出会います。 

2022年に出版した「わたしたち」 女子校で出会った4人の少女の友情とそれぞれの自立した人生が長きにわたって描かれる。 「大事なのは何になるのかではなくて、私が私になってゆく事。」  人は自分として生まれてきている。  自分はこうでありたい、私はこういう道を生きたいと思っている自分に向かって自分を作って行く、その作ってゆく側の一人が自分なんだ。  人生の岐路に立った時に大事にしているものとは、「私が考え、私が感じ、私が決める事。」  「がんと生き切る。 悲観にも楽観にも傾かず。」