2018年12月1日土曜日

宮崎駿(アニメーション映画監督)     ・【スペシャル対談】宮崎駿×中川李枝子

宮崎駿(アニメーション映画監督)     ・【スペシャル対談】宮崎駿×中川李枝子
中川李枝子(絵本作家 「グリとグラ」の作者)
宮崎駿さんの映画 「となりのトトロ」の主題歌「散歩」は実は中川李枝子さんの作詩です。
映画の上映が終わっても、子供達に歌い継がれる曲にして欲しい、という宮崎さんの依頼に応え、子供達に大人気の主題歌は中川さんの手によって誕生しました。
それから30年来親交のあるお二人が宮崎さんのアトリエで子供をテーマに対談しました。
宮崎さんのアトリエは大きな木々に囲まれた一軒屋で、隣には10年前に宮崎さんがスタジオのスタッフの為に建てた保育園がありました。
https://asuhenokotoba.blogspot.com/2015/05/blog-post_6.html参照

宮崎:学生の頃、1962年『いやいやえん』が出た時は驚天動地というか、今でも思いますけれど素晴らしいものが出たと思いました。
保育園の中が海になって、クジラが泳いできてそれが全く不思議ではなくて、謎のガスコンロがあり、中川さんに説明を聞くまでは判りませんでした。
これはとんでもない本が出たと思いました。
中川:子供達はニュースをよく見ているんです、南極から帰ってきた人たちが、花束を貰うシーンが子供達には面白かったらしくて、海の方に行っては帰ってくるんです。
その遊びを見ていました。
子供達と話を作ろうと言ったら、クジラ取りの話から始まりました。
ネタを貰ってその中から話ができました。
宮崎:これを映像にするにはどうしたらいいか考えました。
中川:あの短編映画には吃驚しました、あの通りになったので。
宮崎:図書室に地下に自家発電機があるが、そこの階段は急でそこには絶対子供はいかない。
子供達は物凄く敏感なんです。
『いやいやえん』は今までの児童文学とは違っていた。
保育園の遊びがそのまま教室が海になってしまうので、映画にしようとすると考えますよ。
理屈で映画にしようとすると、海になりましたと突然カットが変わってもだめなんです。
子供の時にはそれがなれるんですよ、それを映像にしてみたい、ただそれだけです。
中川:小さな無認可の保育園の主任保母に成れるという事でそこに就職したんです。
園長から、子供が毎日喜んでくる保育園にしてくださいと言われて、保育以外は何もしなくていいと言われました。
この仕事はもうからないから、楽しまなければ割が合わないと言われました。
親からお前も保育料を払えと、言われました。
自分も楽しんだので、今思うと私も保育料を払うべきだったと思います。
そこは駒沢のオリンピック公園になっているが、その当時は駄々っぴろい原っぱでした。
天谷保子さんが質素なバラック小屋を建ててそこで「緑保育園」を作って、主任保母を雇うという事で私が来ました。
宮崎:空き地ができると子供達が集まってくる、自由な感じというのはただの空き地の時にあるんですよ。
怪我をしてもいいというような覚悟で、親が遊びに行かしてくれるスペースがあればいいなあと思いますが。
原っぱって、どこに行っちゃたんだろうと思います。
エストニアに行ったことがありますが、古い町が草ぼうぼうでそれが懐かしかった。
草ぼうぼうの原っぱを見ていると、子供時代の自分たちの子供時代が飛び出してくるんではないかと思いました。
中川:存分に遊ばせたい、子供達は走るのが好きで、とにかく走りたい。
駒沢にも小さい山があり、わざと汗水たらして海が見えるだとかアメリカが見えるだとか言うんです。
宮崎:「3匹のクマの家」という保育所、狭いけど作ってみたかったのと、保育園の問題でどうしようかと思っているお母さんがいた時期でした。
中川:嬉しそうに遊び回っているところが一番可愛いです。
喧嘩なんて日常茶飯事ですが、両方の言い分をよく聞かないといけない。
宮崎:子供はでこぼこの石があっても躓かない。
コンクリートは怪我をするが、自然のもの、石、木、草もなじみがいい。
草ぼうぼうの原っぱが欲しいですね。
中川:子供は大事な存在です、このごろはみんな自分の子供だと思います。
児童憲章の三原則、
①児童は人として尊ばれる。
②児童は社会の一員として重んじられる。
③児童は幸せに育つ権利がある。
子供を大事にしていきたい。
宮崎:児童文学を学んでいたころは、破れ続ける可能性がある、次々に可能性を失ってゆくのが子供なんだと、言うふうな問題意識をもっていたが、今もあまり変わっていない。
何か良かったというものに出会えるといいなと思います。
スタッフの子供達も居なくなって、この保育園とどう向き合うか、仕切り直しをしないといけないと思います。
今の世の中では大人がもっと子供にかかわることが、社会を変えることになるのではないかと思っているが、今この国の大問題だと思っています。
中川:関心を持っていないですね。
子供は大人を見てるんですよ、子供に馬鹿にされないように、大人は子供を馬鹿にしない、そう思います。
お子さんを持っている両親は羨ましい、お父さんお母さんが大好きです。
お父さんお母さんより子供の方がみんなちょっと優れている。
子供には自分より優れているところがある。
どんなに私が可愛がってもお母さんにはかなわなかった。
宮崎:息子が二人いるが、二人目が大学に入る時に家を出て行った時、子育てが終わったんだと思いました。
その時までの子育てが一番いい時だったと思います。(後で判ることなんですが)