2017年4月13日木曜日

吉村孝司(天草エアライン社長)    ・たった1機の航空会社

吉村孝司(天草エアライン社長) ・たった1機の航空会社
天草エアラインは所有する旅客機が1機と言う航空会社です。
熊本県天草空港と、熊本、福岡、大阪の間を一日10便が運航しています。
社長の吉村さんは62歳、日本航空で主に営業を担当し、20014年天草エアラインの社長に就任しました。
社長自らが搭乗前の手荷物検査、機体の清掃などを担当するなど社員全員が出来ることを何でも担当するという社風で逆境を乗り切って来ました。
1年前、熊本地震が起きた時には臨時便を運行するなどして、地域の足としての役割を果たしました。
小さな航空会社の経営をどうかじ取りし、大手航空会社にはないサービスを展開しているのか伺いました。

最新型の飛行機、「ATR42」フランスとイタリアの合弁会社の飛行機で日本で初めて導入、音も静かです。(プロペラ機)
1200m~2800mぐらいの低い高度で飛ぶので眺めがいいです、
天草空港がベースで10便飛行して居ます。(天草、福岡、熊本、大阪)
天草空港は午後8時30分までなので、それを超えると入れないので最悪欠航となることもあります。
就航率は過去5年間95%は就航しています。(大手とは引けを取らない)
安全が第一だがお客さんが定時に出発できるように皆が心がけています。
熊本地震から1年になるが、その時熊本市にいて吃驚しました。
2回目の地震の時に熊本空港が閉鎖になり、新幹線も止まってしまい、天草空港は使えたので、天草と福岡を飛び続け臨時便も出したりしました。
交通網が遮断した時に我々の飛行機はずいぶん役に立ったと思います。

熊本県と天草西町で80%ぐらいの出資比率で、残りが天草の民間企業と言うことになります。
天草は島なので不便さを解消しようと言うことで設立されました。
天草は医療施設が沢山ありますが、医者の数が不足していて、天草以外の所から来るときに飛行機を使って通勤代わりに使っている人が30名ぐらいいます。
命の翼と言われていて、そういった関係で毎日運航できるようにしています。
コスト削減のために最低限の社員しかいないので、手伝いすると云うことで私を含めて営業の人達などもヘルプする体制になっています。
手作り機内誌もコストをかけないでお客さんに喜んでもらうというコンセプトで作られました。
一人何役もこなすが、コスト削減と大手航空会社にはない温かみのあるサービスをコンセプトにやっています。

私は日本航空に40年近くいました。
一番長いのは営業です。(旅行代理店との団体営業が主)
日本航空は2010年に経営破たんしたが、その時は鹿児島支店長でしたがびっくりしました。
飛行機は飛ばさなければいけないので、従来通り一生懸命やらないといけないという記憶があります。
去って行く従業員がいて心が痛みました。
2014年に社長に就任することになりました。
前社長もJALのOBで、退任すると云うことで後任にどうかという話があり、そういういきさつで受けることになりました。
どんな会社かということはあまり判りませんでした。
天草エアラインに乗ってみて経験したことのないほっこり感を感じました。
2008年ごろ会社そのものが経営危機に見舞われた。(まだ私が会社に入る前)
リーマンショック、東日本大震災がありお客さんが低迷した時期でした。
債務超過に陥る時期でした。

整備費用がかかるので補助をいただく事と、お客様も増えてきて利益が出るようになりました。
前任者の社長が社長室をぶっ壊してみんなと同じように坐って、コミュニケーションを図ったり、機体の掃除も社長も参画してみんなでやるようになった。(危機感の共通化)
16年前にたちあがった会社で、当時からのスタッフが殆どです。
2009年以降決算が黒字になっています。
市をあげてサンタの街ということで年間を通してイベントをやっているので、クリスマスにサンタの恰好をしてもらっていただけると3000円と破格の割り引き運賃を導入したりしました。(一カ月間座席のコントロールもしながら)
かなりのお客様に利用していただいて大成功でした。
マスコミにも取り上げられ集客につながりました。
ANSB(天草をなんとかせねばいかんばい)という組織を作って、いろんな人がアイデアを出したものを吟味して、その活動で色んな事をやっています。
梅雨の時期に黒い傘を使うが、レインボウカラーにした方がいいと言う事で導入したり、そういった積み重ねで、お客さんが喜んでもらえるようにしています。

あっという間の40年でした。
高校時代に或る放送会社で1か月の派遣の話がありヨーロッパに行く機会があり、見るもの触るものすべて初めてで、心に残って世界と一緒に関わっていきたいとJALに入りました。
天草に来てここはパイロットも客室乗務員も整備、営業、総務もオペレーションも全て同じところにいるので、航空会社にいるんだなと、ここに来てよかったなあと思います。
事業を拡大することは難しく、いかに一機を大事に飛ばしてゆくかと言うことと、費用は決まっているのでいかに収入を増やしてゆくかを考えていかないといけないと思う。
高齢化で年々人口が減っていくのでお客様を増やしてゆくのは厳しいが、天草以外の方々を呼び込むしかないと思う。
外国の方はあまり見かけないので、天草にも外国の方を呼び込むための企画商品、外国人が来やすい様にやっていきたいと思います。