2024年9月27日金曜日

大西優子(おおにしわかさんの母)     ・〔ことばの贈りもの〕 “がんばりパワー!”で世界の人を笑顔に

 大西優子(絵本作家おおにしわかさんの母)     ・〔ことばの贈りもの〕 “がんばりパワー!”で世界の人を笑顔に

2年前に12歳で息を引き取ったおおにしわかさんの母、大西優子さんのお話です。  大西(42歳)さんは岡山県倉敷市生まれ。(現在東京住まい。) 結婚後二人のお子さんに恵まれました。  長女のわかさんが4歳の時に小児がんと診断されます。 入退院を繰り返していたわかさんはお絵描きや工作が大好きで、夢は絵本作家になる事でした。 大西さんはわかさんが病気と向き合った体験をもとに描いた、絵本「ビーズのおともだち」を出版社に持ち込みます。 プロの協力を得て絵本が完成し、2年前わかさんの12歳の誕生日に出版されました。 わかさんは夢だった絵本作家デビューを果たしました。 その数か月後にわかさんは息を引き取ります。 絵本作家になったわかさんのさらなる願いは、世界中の人を自分の絵本で笑顔にすることでした。 そこで母親の大西さんは絵本の英語の翻訳に取り組み、今年4月から英語版が一般に販売されています。 わかさんが絵本の中に残した言葉「頑張りパワー」を心の支えに、絵本の紹介を続ける大西優子さんの思いを伺いました。

絵本「ビーズのおともだち」表紙がとってもかわいいです。 日本語版は城をベースにピンク色の服を着た可愛い女の子が外を見ている絵が描かれています。 英語版はタイトルが「My Precious Beads」。 日本語版の表紙の絵はプロのイラストレーターが描いた絵で、英語版はわかが描いた絵です。 私とわかにとってとっても思い出のある絵です。 わかは「フーリン(Foorin)楽団」というグループのメンバーでした。 2020年とその先の未来に向かって頑張っているすべての人を応援するNHK2020応援ソングプロジェクトの為に結成された「フーリン」と「パプリカ」を踊っていました。 「フーリン(Foorin)楽団」はフーリンの5人と病気や障害のある子どもたち10人の15人のメンバーで、小児がんと向き合うなかでもわかにしかできない経験をさせて貰えて、サポートをいただけてとってもありがたかったです。 新型コロナウイルスにより風鈴楽団」はパフォーマンスを持てないまま、2021年秋に解散が決まりました。 それで次の目標として絵本を作るという事になりました。

小学校に入学したころから夢は絵本作家になる事でした。 最初は折り紙を絵本の様に小さくたたんで絵を描いていました。 タブレットを扱えるようになって、動画になってわかの声もはいったりして、成長を感じる楽しい時間でした。 原作は治療を頑張ってもらった宝物のビーズが・・・(声を詰まらせ泣き出す。) 妖精さんになったらすてきね、という会話から生まれました。  がんの医療を受ける子供達が治療を受けるたびに貰えるビーズです。 カラフルなビーズは手術、点滴、検査などを表わしていて、そのたびに受け取ります。 子供たちに勇気を与えてくれる存在になります。 このビーズが絵本のなかでは妖精に変身します。  名前、衣装などわかのこだわりが込められています。 

わかの絵本の夢を叶えてやりたい私は、出版社に相談することにしました。(2021年秋) 完成が2022年4月、わかの誕生日でした。 わかの笑顔が見たい、と言う事が原動力でした。  わかの原作を元にプロの作家さん、イラストレーターさんに協力してもらいました。 わかが納得いくまで一緒に進めました。 

絵本「ビーズのおともだち」

「シトシトシト ザーザーザー 雨が強くなってきました。 ベッドにいる私の心も雨が降っているみたい。 一人ぼっちでさみしいなあ。 ここは病院です。 治療に検査、毎日頑張ることがいろいろあります。 でもそのたびに一つ ビーズを貰えるのがとっても嬉しい。 はい、今日はこれだよ。 お姉さんんがビーズを呉れました。  わーきれい 有難う  ・・・ 貰ったのは虹色のビーズ。 ・・・虹色のビーズは蝶々みたいな形に変わったと思うと元気な声で言いました。 「はじめまして 私はビーズの妖精レイです。」・・・レイちゃんはこんな言葉を唱えました。「頑張りパワー」 レイちゃんは「私ここに住みたーい」と言いました。 ・・・「大丈夫、明日もうまくいくよ」と言ってくれました。  次の日も雨、レイちゃんの励ましで頑張ることが出来て、二つ目のビーズを貰いました。  今日は星のビーズだよ。 ・・・ビーズは冠を付けた星の妖精になりました。 「はじめまして キラです。」 ・・・「頑張りパワー」キラちゃんがその言葉を唱えると星の世界は宇宙図書館。・・・キラちゃんの優しい声に皆ウットリです。 次に貰ったビーズは白いビーズでした。 ・・。「僕はてんてんてんくんです。」・・・僕たちはコツコツと頑張るのが好き。  「頑張りパワー」・・・積み木を本物のお家にしてしまいました。 妖精の仲間みんなで住めるよ。・・・ 一人だったベッドに秘密基地が出来ちゃった。一つ思い出しました。 コツコツ頑張るとは時々お母さんが言っている言葉です。・・・私はみんなに約束しました。 笑顔で元気にコツコツと「頑張りパワー」そういった時でした。  窓の外に大きな虹がかかっていました。 ・・・みんなのお陰でずーっと頑張れそうです。」

私の生まれは岡山県倉敷市です。 小さいころは泥団子を作るのが好きで夢中で作っていました。 リスを飼っていました。(多い時には12匹) ひまわりを育てて種をリスに食べさせるとがとっても楽しい時間でした。 大切にしていることは夢を見るという事です。  人とのご縁を大切にしています。  私の見た夢を叶えるのは周り人のご縁のお陰だなと思えることが沢山あるからです。  絵本を通じていろいろな出会いを体験して、その出会いを大切にしていきたいです。  今年6月に開催された第16回国際小児がん学会アジア大会があり、そこで絵本を紹介しました。 「世界中の人を笑顔に」の夢を叶えることができると感じて、とっても嬉しかったです。 

ある作家さんからいただいた言葉で「わかちやんは作家さんなので、これからも沢山の人と出会い、人の心の中を生き続けるのだと思います。」と言っていただきました。 わかがお空から見守っていてくれるから、私も頑張ろうと思って生きています。 今も一緒にここにいてくれるんじゃないかと、強く感じるんです。 私が絵本「ビーズのおともだち」をみんなに知ってもらう活動を続けることは、わかが絵本作家として、沢山の人と出会い人の心の中を生き続け、世界中の人を笑顔にすることができると感じています。 わかは辛いことが沢山あったのに、そんなことを感じさせないぐらい明るくて、笑顔で私に幸せを与えてくれました。 わかのことをこうしてお話が出来て、繋がりが出来ている快感があると、嬉しいです。 

「ビーズのおともだち」のステージや、絵本展などを開催して、皆のところに会いに行く機会を作っていきたいです。  わかの貴重な経験を道徳の教科書や沢山の人が読めるように、乗せて欲しいなあとおう願いがあります。 小児がんと診断される子が日本では2000~2300人ぐらいと言われています。 他にも沢山の障害の人がいると思います。  わかの経験をみんなが共有できれば、本人、家族、周りの人の経験知?になれるのではないかと思います。