2025年12月3日水曜日

松井佑介(きつ音の子どものためのスポーツ教室)・自分らしく、自信をもっていい ~きつ音を乗り越えた当事者が伝えたい思い~

 松井佑介(きつ音の子どものためのスポーツ教室)・自分らしく、自信をもっていい ~きつ音を乗り越えた当事者が伝えたい思い~

現在はほとんど吃音は出ませんが、幼少期から思た通りに言葉を出すことが出来ず、人前で話す機会を避ける日々を送って来ました。  しかし学生時代に得た小さな自信をきっかけに、いまではスポ―ツ教室を始め、富山市や金沢市で様々な吃音当事者への支援活動を行っています。 今年8月には吃音当事者の自己表現と啓発を目的に3年おきに開かれている吃音世界大会に日本人として唯一出場し、大会を主宰する国際吃音協会の理事にも就任しました。 自ら苦しんだ吃音に向かいあい続ける松井さんに、吃音当事者に何が必要なのか、伺いました。

吃音を感じ始めたのは4,5歳の頃です。  吃音の症状は3つに分類されていて、①連発(あああああありがとうございます。)、②新発(あーーありがとうございます 言葉を伸ばす。) ③難発(うううありがとうございます 最初の言葉が出てこない。) 小学生にあがる前には7~8割は自然消滅すると言われています。 症状は個人によって様々です。 

4,5歳の頃兄の友人から「あいうえお」と言ってみろと言われて、ちゃんと言えなくて大爆笑されたことがありました。  小学校4年生の頃には授業中に答えを回避したり、先生にさされて言いにくい答えだと判りませんと言ったりしていました。 自分に劣等感を抱きました。高校1年生の時にくじ引きでクラスの会長になってしまって、 「起立」「礼」「着席」の号令をかけなくてはいけなくて、ちゃんと対応できなくていじめみたいなことや、仲間外れとかが起こってきました。  先生から号令について指導されましたが、なかなかできなくて、会長の任期の最後に、「最後ぐらいちゃんと言えよ。」と先生から言われて、それもショックでした。 父に対して「こういう身体に産んだ親が悪いんだ。」ともっと酷い言葉を投げかけました。 

2年生になる前に担任になる先生に吃音のことを打ち明けました。  大学では受ける授業によってメンバーが全然違うので、最初に自己紹介タイムが設けられていて、又アクティブラーニングが多い授業はいけなくて、午後2時ぐらいに起きる生活をしていました。 アルバイトにチャレンジしようと思いました。  焼肉屋のキッチンのアルバイトがありました。(人と話すことはないと思った。)  行ったら接客係が足りないのでそちらに回って欲しいと言われてしまいました。  接客も工夫したりして段々自信が付くようになっていきました。   アルバイト後も吃音はありましたが、心理的症状が和らいだのか、今に繋がっていきました。  

4年前からきつ音の子どものためのスポーツ教室「ドモスポ」の運営をしています。 自分自身辛い思いをしてきたので、今の活動をしています。  吃音は百人に一人居る障害と言われています。  前半は僕が考えているスポーツプログラムで後半は子供たちがプログラムを考えて実施してゆきます。  対象は小学生、中学生です。 吃音を前向きにとらえて挑戦している子が少しづつ増えてきています。  

今年8月フィンランドで開催された、当事者が自らの経験を発信する吃音世界大会に出場しました。  吃音で悩んでいる人に、堂々と発表する姿を見せて希望になればいいかなと思いました。  吃音があっても自分らしく生きれるし、選択できるんだという事をメッセージとして最後に伝えてきました。  世界吃音協会の理事を決める総選挙にも立候補し、就任しました。  世界の吃音の人たちにも力になりたいと思いました。  

学校で悩んでいる子が多いので、そこに直接働きかけないと根本の問題解決にはならないと思います。  先生が気付いたら、フォローしてあげる姿勢が凄く大切なんだと思います。  吃音の正しい知識が不足していると思います。  経験した声は貴重だし、届けやすいと思います。  吃音には触れない方がいいという意識が働いているかと思いますが、そこは大きく変えていきたいと思います。  それが核になっている。  積極的に介入していただければと思います。  悩みを一人で抱え込まないで、周りの大人の人に相談していいんだよと言いたいです。