山﨑徹(歌舞伎附け打ち) ・〔にっぽんの音〕 能楽師狂言方 大藏基誠
附け打ちは多くは歌舞伎で使われるものですが、登場人物の動きや 演技に音を付けます。 舞台で打っている姿も見ていますが、気は付いていない方が多いかもしれません。 附け板と言う板があり、けやきの一枚板で出来ています。 厚さは七分ぐらい。 打ちながら削ってゆくので消耗品です。 附け木は樫木で出来ています。 2本あり真直ぐになっています。 手前がちょっと丸味がある。 軽く握る。 左が先で打って右で終わる。 丸味のところを先に打って次に真っすぐなところで打つ。 力強い人、子供、女形が出てきたりするので、それによって緩急をつけてゆく。 立ち回りもいろいろと間合いを取る。 センスにゆだねられるところがあります。狂言では使われていないが、狂言に附け打ちをやってみる。
山崎さんは1969年2月生まれ。 岡山県倉敷市出身。 高校卒業後テレビや舞台を制作する会社に入り、舞台に関わる仕事をスタート。 20歳で上京して歌舞伎の大道具に携わるようになる。 附け打ちの世界に入る。1992年23歳の時に、新春浅草歌舞伎で初舞台、以来国内外の歌舞伎公演に出演するほか、附け打ちのワークショップも積極的に行っています。 今月は劇団新感線の井上歌舞伎爆烈忠臣蔵に参加中。普通の現代劇にも嵌めたもの。 普通の歌舞伎公演の10倍20倍の稽古をしました。 時間も長くて3時間半ありました。
附け打ちに入るきっかけは舞台の裏方の仕事をしていて、こういったお芝居の世界がるんだという事を知って、東京に出て行きました。 歌舞伎の世界にも入って行って、附け打ちを知ることになりました。 現在附け打ちの専門職として12人います。
歌舞伎では見せ場が出て来ますが、舞台から花道を入ってゆく事なんですが、附けを派手に入れて打ち込んでゆく。 勧進帳で弁慶が花道を引っ込むときに、役者と附け打ちが一対一でお客さんから見えているのは二人だけで、その時には緊迫感がります。
日本の音とは、附け木など命を頂いているもの、そこから生まれた音と言う事だと思います。(先輩から教わりました。) 命を吹き込むように我々が打ってゆく。 日本の伝統芸能で使われているものはすべてそうじゃないかと思います。 「芯」」の有る音を出しなさいと言われます。 芝居に合わせた音、役者の心情を組んで打って行かなけらばいけない。 役者の気を感じて打ってゆくという事が大事です。 体験をしてもらうようにワークショップをやっていて今年で10年目になりす。