丹羽薫(プロトレイルランナー) ・私を変えたトレイルランニング
トレイルとは未舗装の道のことです。 山や平原、森林など自然の中のおもに未舗装の小道が設定されて、走り抜けるものです。 時に酸素の薄い山岳地帯そして木の根や石が転がるような悪路も走ります。 距離は大会によって幅がありますが、初心者も参加できる10km、20kmの短い距離から100kmを越え、中には400kmを越えるとてつもなく長い距離を競うレースもあり、これがトレイルランニングです。 こういった長い距離の場合は数日に渡って走り続けることもあるという過酷な競技です。 丹羽さんはおよそ160kmを越えるような超長距離と言われるレースを得意としています。 身長152cmと小柄で細身、ショートカットの髪をなびかせ大きなリュックサックを背負って山を駆け抜けます。 これまで世界の多くの大会に出場、幾度も表彰台に立っている日本のトレイルランニング界女性ランナーの第一人者です。 トレイルランニングのキャリアーはおよそ15年、現在50歳と言う丹羽さんです。 ことしは5月にインドネシアで開かれたおよそ160kmのレース、9月にイタリアで開かれたおよそ450kmの距離の大会、11月に南アフリカで開催されたおよそ160kmのレースに挑戦しました。 今年の春左足のじん帯を痛めた丹羽さん、一つ目と、二つ目のレースは途中でリタイアです。 しっかり治療して臨んだ南アフリカの大会では完走して上位の十位でレースを終えています。 丹羽さんにトレイルランイングの魅力、50代を迎えてのレースの向き合い方を伺いました。
南アフリカの大会では33時間28分4秒、世界中から実力のあるランナーが集って、男女合計150人が参加。 女性ランナーが25人で6位に入りました。 レベルが上がていて30時間を切らないとトップ5に入れなかった。 自分としてはいいレースが出来たと思います。 いいレースをした後は回復も早いです。(3日後には走れるようになった。)
高校時代は柔道部、大学はヨット部、就職してからは馬に乗ったりスキーをしたりしていました。 35歳の時にトレイルランニングと出会い、20km程度の短いレースに参加しました。 トレイルランニングはずっと走り続けなくてもいいので、登山の延長の様な感じで自然の中を走るので五感を刺激して、自分にあってると思いました。 マラソンは出た事は無いです。 練習は基本的にはロードとか山道を3,40kmをほぼ毎日走っています。 筋トレもしています。 レースの前になると一日7,8時間走っています。 一人で走るのは辛いので犬と一緒に走っています。 完走するというのは強い心を持って諦めなければ、多くの人ができることだと思います。 海外のレースなどは可能な限り早く現地に入ってコースを辿ってチェックしておきます。 試走して、食べるもの、水分の量などを決めます。
毎年クラウドファンディングをして海外遠征費を皆さんに支援してもらっています。 走っている時には戦略的な事とか補給のタイミングなどを考えながら走っています。 360kmのスイスのレースに出た時に、男性が財布を落としたと思ってみたら唯の石で、そういった幻覚を見ました。 他にも幻覚を見ています。 睡眠不足で認知機能が低下しているようです。 そのペースで走ると遅くなるので、5分ぐらい寝るというのも一つの戦略です。 2023年 イギリスのウエールズで開催された時には、最後の頃も身体が動いていて、順位を上げて行って、ラストの4kmぐらいで一人抜いて4位に入賞したことがあります。 興奮状態でそれまで感じていた足の痛み身体の痛みが全部吹っ飛びました。
超長距離になると経験がものを言うレースかと思います。 身体にいろいろなトラブルが起きるので、経験が多いとトラブルシューティングの引き出しが増えて行きます。 後半になってペースを上げることは怖いです。 そのテクニックも経験の多い方が対応が出来ます。 これから後何年続けられるか判らないですが、、毎日コンスタントに練習が続けられる限りは、頑張りたいと思っています。 目が衰えて来て、夜走る時には苦労します。又デジタルの時計では最近色々な情報が入って来るタイプだと見にくくなってきましたが、最新式のものは明るくて便利です。
関西には100マイルレースが少なくて、周回レースも面白くなくて、関西でも作りたいと思って、始めました。(5年前から) 人気のレースになってきています。 女性も30%ぐらいいます。(普通10%程度) 3県にまたがるコースなのでいろいろなところに許可を貰ったりするのに、一回目はほとんど自分でやったので大変でした。 今は実行委員会があって運営を分担してやっています。 世界でも女子が3人ぐらいしか完走していないレースがインドネシアであり、完走して表彰台に乗りたいです。 あと今年棄権した450kmレースで表彰台に立ちたいと思ってます。