徳本修一(農業法人代表) ・I AM A FARMER
徳本さんは50歳、鳥取市で110ヘクタール(東京ドーム24個分)の大規模な面積で米作りを行っています。 田植えを行わず、水を張った田に直接種を蒔く灌水直播や水を張らない田に、種を蒔く乾田直播、ドローンの活用など革新的な技術で低コストの米作りを成功させ、SNSで動画配信しています。 徳本さんは消防士、タレントのマネージャ―、歌手、ITベンチャー役員など遍歴し、2012年に故郷鳥取にUターンして、農業を始めました。
米の出来は全体的には悪くなかったんですが、後半で直接種の物が取れなくなってしまいました。 鳥が田んぼに蒔いた種を食べていくんです。 対策はしてきたんですが、想定していなかったようなことが起きてしまいました。 灌水直播の為の専用の機械はあります。 ドローンで種を蒔くアプローチもしています。 7割が灌水直播で3割が田直播です。 2019年から始めましたが、最初は田植えをしていました。 直蒔きには切り替えたいとは思っていました。 直蒔きの試験は繰り返していました。 倒伏しづらくて収量が多い品種を選ぶようにしています。 「虹のきらめき」、「しきゆたか」など。 「コシヒカリ」などは茎が細くて上に伸びる品種なので倒れやすいです。 110ヘクタールを2人で管理することになりました。 農地は全て借りています。 地権者は約200人です。 出荷先はJAと民間、半々ぐらいです。
鳥取のJAは生産費?払いと言う形で農家さんから米を引き取るというやり方に変えました。 (経費プラス儲け) 鳥取では1ヘクタール未満の耕作者は84%です。 面積が小さくなるほど生産原価は高くなる。 60kgで2万2000円です。 うちでは生産原価は60kgで1万円はきってくるぐらいにきています。
ドローンで種を蒔く以外に肥料を撒いたり農薬を散布したりしています。 ドローンに衛星のデータを読み込ませて、地力マップ、稲の生育状況などをドローンに読みこませるという様な技術が進んできていて、葉っぱの緑が濃いほど肥料が効いていて、薄いとチッソが不足しているので、濃淡に合わせてドローンが勝手に調整してくれるんです。(必要な場所に必要なだけ肥料を撒く) 10~15%肥料代の節約になります。 トラクターの自動運転システムを使っています。 SNSで動画配信しています。 見る人は農業経営者が一番多いです。
今年で7年目になります。 消防士を5年間やって、歌手になりたい夢があって東京に来ました。 オーディションをけてそこそこ行きますが、デビューまではたどり着けなかった。 芸能マネージャーをやって、それがデヴィ夫人でした。 海外にもいろんなところへ連れて行って貰えました。 いろいろの人と会う事によって、自分はいかに狭い世界で生きてきたのか、という事を学びました。 日本は本当に恵まれ国だという事も判り、挑戦しないと駄目だと思いました。 又音楽の道に入って行きました。 路上ライブもしましたし、いろいろ売り込みもしました。 いかにして足を止めてもらうかを考えました。 デビューは結果的には出来ませんでした。 結婚することになったので稼がないといけないと思いました。
IA産業で働きたいと思って、六本木の飲む場所でバイトをしながら経営者と仲良くなっていき、ある会社に参画しました。 営業からスタートして、成績がどんどん良くなっていきました。(ストリートライブなどで鍛えたことが幸い。) 最後には取締役になりました。 収入が何十倍にもなり一時家にも帰らずに毎日飲み歩いていました。 二人目の子が出来て、家事もいろいろやって調理の材料がいまいちだと感じて、鳥取の原風景を思い出して、人間の幸せとはああいう事なのではないかと思いました。 子供たちにそういった豊かさを味わってやりたいと思いました。 リーマンショックで会社も非常に大きな打撃も受けました。 これからは農業が重要になるのではないかと思いました。
農業をやるなら最初から事業でやりたいと思いました。 有機農業は流通の全体の0,4%ぐらいです。 これを10%にしようと、これを大規模化を掲げてスタートしました。 最初はジャガイモなどの野菜の大規模化を始めました。 信じられないぐらいの失敗の連続でした。(3年続く 地域の信頼もなくす。) 全国の優秀な農家さんを渡り歩きました。得たものは農業は科学、と経営だというキーワードでした。 土壌分析をして土作りも科学的視点を持って、野菜に関しても科学的視点から見つめ直して、段々畠の様子が変わって来ました。 収穫量が変って来て、有機農産物も軌道に乗りました。 適時適作、その土地ににあった作物を選ばないと農業は成長していかない。 鳥取のエリアはほとんどが水田です。 水はけが悪い。 野菜の一番の天敵は湿害です。 米作りにシフトしていかなければいけないと思いました。
2019年に米作りに転換しました。 最初は7ヘクタールからスタートしました。 失敗もありますが野菜より楽で、失敗も投資だと思います。 これからは大規模農業経営が求められて来ます。 リスクが有るが新しい生産性の高い技術を試しながら、水田技術も変化していかなければならない。 田んぼは信頼性がないと貸して頂けないので、野菜で失敗して大変でしたが、地域の方はちゃんと見てくれていると思います。 生産性の高い米作りをやってゆく必要があると思います。 2030年には1000ヘクタールを30人程度を考えています。 水路の管理が大変です。 土砂が溜まったり、イノシシなどが増えて畔を崩して水路が埋まったりします。 田んぼのインフラの維持をどうするかという事が非常に大きな問題としてあります。 少ないマンパワーでも維持できる方向にしていかなければならない。 3枚の田んぼを1枚にまとめ畔を少なくするとか、水路ではパイプラインで地下に埋めるとか、インフラをリフォームしていかないとコメの生産基盤の維持が難しくなっている。
農業は本当に素晴らしい仕事だと思うようになって来て、自分で作詞、作曲をして「I AM A FARMER」という曲を4年前に作りました。
*「I AM A FARMER」 詞、作曲、歌:徳本修一